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<1>

「桃と檸檬と精霊と」二作目です。

よろしくお願いします。

R15は保険です。

<1>


 海が見える小高い丘の上に煉瓦造りの学校がある。

二階建てで中央部分は塔になっている独創的な建物だ。

ここは大宝特別支援学校といって、体の不自由な子や病気の子供が通う学校である。


「理事長先生!桐島 桃ちゃん、来てませんか?」

 激しいノックと共に入ってきたのは、桃の担任の福本 清美先生である。

一見、若くて可愛らしく見えるが、その中身は楽天的でサバサバした性格だ。

息を切らしているのは、走り回ってきた為だろうか。

秘書の間宮 玲と顔を合わせた後、理事長の大谷 光輝は首を振った。

「いえ、朝は顔を出しましたが…。桃ちゃん、いなくなったんですか?」

福本教師は大きく頷いた。

「昨日、算数の小テストをしたんですよ。

引き算のテストだったんですが、桃ちゃんってば、マイナスの記号に縦棒を書き足して、全部足し算にしちゃったんです!」

「は?」

「それで叱ったら逃げ出してしまって!」

 そう言って、福本教師は扉に手を掛けた。

「お忙しいところ、申し訳ございませんでした。他を探してみます。」

 扉が閉まると、光輝と玲は声を出して笑った。

「やっぱり可愛いね、桃ちゃんは。」

「賢いですよ。苦手な引き算を棒一本で足し算に変えるなんて。

普通は嫌いだから、苦手だからと言って、

問題の方を変えるなんてそんな発想はできませんからね。」

良くも悪くも、桃贔屓な二人である。

「外には出て行っていないと思うけど、一応、びとーに確かめておこうか。」

 光輝の言葉に頷いて、玲がライターを取り出す。

小さく揺れる炎に呼びかけると、十五センチ程の精霊が現れた。

「担任の先生が桃ちゃんを捜しに来たんだけど。」

 光輝が言うと、びとーはニヤッと笑った。

「先生がいない間にちゃっかり教室に戻ったぜ。

叱られた後だ、先生がいると教室に入りづらいらしい。」

「やっぱり賢いですね。」

 玲の言葉に、笑いが弾けた。



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