表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/1

開幕





 ようこそ。


 ここは現世(うつしよ)常世(とこよ)の狭間でございます。










    


 










 さあ、お気づきですか?



  今、貴方様の目の前には、ゆらゆらと揺れる青白い蝋燭ろうそくが並んでおります。



 その数、ちょうど百本。



 その炎の一本一本に、名も無き者どもの怨念と記憶が宿っております。

 

 さて、『百物語』という風習をご存知でしょうか。


 古来より、夜の帳が下りた頃、人々は蝋燭を百本灯し、怪談を一話語り終えるたびに、その炎をひとつ、またひとつと消してゆくのです。


 やがては百話目の怪談が語り終えられ、最後の灯が闇に飲み込まれたとき──本物の怪異が現れると言い伝えられております。


 現代を生きる皆さまは「ただの迷信だ」と笑うかもしれません。


 ですが、これほど科学が進歩しているにもかかわらず、世の中には解明できない摩訶不思議な現象や伝承・伝説がたくさんございます。


 人の見えない悪意。土地が生み堕とす呪い。あるいは陰の次元の隙間からこぼれ落ちた奇奇怪怪は、今も確かにあなたのすぐ隣に潜んでいるのです。


 今宵、ここに集う語り部たちは、皆、その“非日常”に惹かれ、触れて、時には理不尽に囚われてしまった哀れな者たちばかりです。()の者らが体験した、身の毛もよだつような恐怖を、これから一つずつお裾分けいたしましょう。



 されど、ご用心ください。


 百物語は『死に近しきもの』を呼び寄せる代物です。


 途中、貴方様が闇の向こう側に引き込まれぬためにも、案内人としてここで三つ大切なお願いがございます。




 一、決して途中で逃げ出さないこと。



 二、語り部たちの言葉を侮らぬこと。



 三、 蝋燭が消える瞬間をしっかり見届けること。

 



 もし、禁忌を破られた場合、貴方様の安全は保証できかねますので、くれぐれもどうかお忘れなきよう。

 


 さあ、そろそろ皆々様がお待ちかねです。



 ……準備はよろしいですか?




 では どうぞ──


    

        



        逝ってらっしゃいませ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ