同居人(第3話)
ライトはベッドに座り、目の前の3人の少女をじっと見つめた。
銀髪少女は元気よく手を振り、黒髪少女は優雅にお辞儀、赤毛の少女は小さく手を振る。
「改めまして、よろしくお願いします!」
「……えっと、こちらこそ」
「よろしくね、みんな!」
銀髪少女の名前はリリィ。おしゃべりで好奇心旺盛、今日もテンション高めだ。
黒髪少女はカレン。冷静沈着で、ライトの奇行にツッコミを入れるタイプ。
赤毛の少女はエマ。おっとりしていて、ライトのぼんやりした様子に優しく微笑む。
ライトは深呼吸して、自分もあいさつする。
「……わ、私は雷光=ライト=ローゼンクランツ、よろしくお願いしますの……」
しかし、やはり信じてもらえず、3人はくすくす笑う。
「ふふ、まあ、いいよ。ここでは名前だけで十分だって」
「そうそう、身分なんて関係ないからね!」
3人とライトは軽く自己紹介を終えると、リリィが元気よく言った。
「さて、まずはこの教習所のルールを覚えないとね!」
カレンはノートを取り出し、教習所の基本ルールを説明する。
教習はまじめに取り組むこと
乗り物ごとの装備は必ず正しく着用
教官の指示に必ず従うこと
危ないことは絶対にしないこと
みんな仲良くすること
ライトは小さく顔をしかめる。
「ふふ……皇女としての威厳は……消え去るのですのね……」
エマが微笑みながら、ライトの肩に手を置く。
「まあまあ、ここではみんな平等。だから気楽にいこうよ」
リリィが手を叩く。
「よし! じゃあお昼だ! 午後の教習に備えて力をつけるぞ!」
4人は部屋を出て、食堂へ向かう。廊下を歩くと、豪華な城の廊下とは全く違う、質素ながらも活気ある校内の雰囲気に圧倒される。
食堂に着くと、すでに他の生徒たちが昼食を楽しんでいた。
ライトも席に座り、周囲の視線を感じながら小さくつぶやく。
「……ふふ、やはり私は特別扱いされないのですのね……」
リリィが大声で注文した料理を運んできた。
「ライト、これ食べなきゃ! 午後に備えてエネルギー満タンだ!」
姫は目を丸くしつつも、料理を口に運ぶ。
「……う、うむ……これは……思ったより……美味……しいですの……」
カレンはライトの様子を見て、にっこり笑う。
「ね、ここではみんな普通の生徒。だから少しはリラックスしていいんだよ」
エマも、にっこり笑いながらライトにお茶を注ぐ。
「午後からは各々の乗り物の先生の紹介があるって!楽しみ!」
ライトはふぅとため息をつきつつも、少しずつ心が和らぐ。
「……ふふ、仕方ありませんわね。いやいやながらでも、この合宿を乗り切ってみせますの……」
こうしてライトは、同室の3人の少女と軽く打ち解け、教習所のルールを学び、昼食を終えると午後に備えることになった。
皇女としての威厳は失われたが、笑いありハプニングありの合宿生活は、すでに動き始めていた。