渦
ぐるぐる。
渦ってのは おなじ方向へひたむきに
ぐるぐるやってたから 渦を巻けたのであって
やっぱり 反対巻きが正解だったかと
思い至ったとしても
まわれみぎしてやろうだなんて
おいそれとするもんじゃない
巻き戻ることなく
えいやって 裏返って済むものなら
思い切ってみるのも悪くないけど
やっぱり また気が変わって
ぺったん ぺったん 何度も裏返ってみせるのも
節操なくて感心できないや
そもそも 裏返るために
あしもとからひっぺがしてやれるのかって
問題もあることだろう
だから たいていのばあい 渦は
それ相応の覚悟を決めて
やっぱり 反対巻きが正解だったと結論づけてから
まわれみぎする
反対巻きになるとちゅうで
ぐるぐる巻いてあったぶんを
すっかり逆行しちまって
どっちむきの渦でもない ゼロにまで
じぶんのことをリセットしなくちゃならないんだから
周回が減って半径が小さくなるごとに
これでほんとうによかったのか
不安は反比例するように大きくなることだろう
だからこそ ぼくは
そんな渦の勇気を褒め讃えたい
新しくうまれた反対巻きの渦が かつてより
周回が減って 半径を小さくしていたとしても
そのきもちは変わらないよ
渦をみると、指で反対側にぐるぐるやって、巻き取れないかなって思ってしまいます。