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いつか書く  作者: サラダ
カーボ
3/8

3.祈りの少女と独りの少年

 ———白光と黒炎が、激しく衝突した。


 まるで、叫ぶように。

 または、滅ぼすように。


 轟音を立てて、辺りは光に包まれた。




 煙が晴れる。

 静寂が訪れた。




 騎士団長は肉片となって崩れ落ちていて、




 リンの腹には大穴が開いていた。



「———姉ちゃん!!!!」


 信じられないような顔をして、カーボは姉に駆け寄った。



「…僕のせいで!なんで、なんで姉ちゃんが!!」


「あー、これは回復できないなー」


 絶望した顔をしているカーボに向けて、リンはやらかした、といった顔で言った。


 そして、リンは、笑った。


「カーボ、この世界はクソだよ」


「でもさ、それでも輝いている人とか、守りたいものとかってのはあるんだ」


「だからさ、もしそれらが誰かに理不尽に傷付けられたり、苦しんでたりするんだったら」



「やってやれ、カーボ」


 カーボに抱き着いた。


「クソみたいなら、変えてやったらいいんだ。カーボが、決めてやったらいいんだ」


 そして、魔法を使った。


「私は、楽しかったよ」


 本当の笑み。だって、()()()()()()()()()()()()()


「≪創造魔法:魂魔法≫」


 それは、創造魔法の一種。いたって単純な魔法。


 魔力器官を、誰かの魔力器官に合成する。


 調魔剤を作る魔法。


 そして、血の繋がった人間の生きた魔力器官を使うのなら、その効果は永遠だ、と昔読んだ本に書いてあった。


「…!!」


 カーボはリンから離れようとした。リンの大切な何かが自分に入ってきてしまっていると感じて。


 でもリンは離さず、言った。


「ありがとう、頑張ってね」


 リンの人生は、まるでリンの願い通りだった。


 ———カーボとずっと一緒に居れなかったということを除いて。


 カーボの幸せを願って、リンは最期に笑った。



「姉ちゃん、姉ちゃん!!姉ちゃん!!!!」


 慟哭が響き渡る。


(だって、僕が守りたかったのは、姉ちゃんだったのに!)


 自分を呪って、カーボは姉に縋り付いていた。


 ただ、泣いて、苦しんでいた。





 カーボは、立ち上がれる気がしなかった。


 リンの様に、抗える気がしなかった。


(僕は、姉ちゃんみたいに、強くなれない)


 現実を避けるようにして、カーボは蹲って泣いた。




 どれだけ泣いたか分からないほど時間が経って、カーボは死のうかと思った。


 でも、できなかった。


 自分のために死んだ姉のためにも、死ねなかった。


 姉の魂が、自分の中にある。

 それを感じようとしても、悲しくなるだけだった。


「≪ファイア≫」


 ずっと使いたいと思っていた魔法が使えるようになっていた。


 嬉しくはなかったが、また涙が出てきた。


「≪イリュージョン≫」


 自らの姿を別の姿に幻視させる魔法を使って、カーボは結界と逆の方向へ歩き出した。


 世界が小さく見えた。


 そこへ逃げ込みたくて、走り出した。

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リンが魂魔法を覚えたのも、騎士団長の魂装の見様見真似です。

死んだ魔物の魔力器官を扱う調魔剤の製造と比べて、自分の魔力器官だから扱いやすかったという理由もあります。

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