いつのまにか消えてしまった、あの子への手紙
アナタと出会った時のことは、とてもよく覚えています。私が肉巻きを食べていると、突然アナタが現れました。
「それ美味しい?私にもちょうだい?」
アナタの涙目に、つい一つ上げてしまったことから、私たちの関係は始まりました。
目立ちたがり屋というか、なんというか。とにかく表情が読み取りやすい、明るい子でしたね。
ご飯を食べたときは、とてもわかりやすくって。
つい、私が笑ってしまったとき、アナタと喧嘩になったこと、覚えていますか?
あの時の私は正気を失い、ボロボロと涙を流しました。その時のアナタの顔は、呆気に取られていて。
それが原因でしょうか。アナタは私の前から、なにも言わずに消えてしまった。最初はうるさい奴、と思っていたのに、いなくなってしまうと、なんだか落ち着かなくて。
いつものように、明るい声で、笑顔で、
「美味しいね!」
そう言うアナタを想像してしまいます。
ああ、どうか、一度だけ顔を見せてください。そしたら、帰ってもらって構いませんから。身勝手だ、自己中だ。そう言われても構いません。最後にお別れの言葉を言いたいだけなのです。
ねえ、お願いです。
口内炎さん。