魔王様、主人公と話す
シリアス回になります
新たに亡霊の名前をなろう民と名付けた私は魔王様とともに主人公Aに近づく
私からは何も言うことは無い
きっと魔王様には主人公の運命を変える方法を分かっていらっしゃるだろうから
そして魔王様はAに話す
「少し時間をいいかな?」
Aはびっくりして振り返る
「僕に何か用ですか?」
「何か困っていることがあるんじゃないか?」
Aの警戒が増す
見ず知らずの、青年の男2人に急に話し掛けられたらそうなるのも仕方ない
豪華な装飾ではないが、魔王様のお顔、佇まいに少し高価な服を来ているだけで貴族に見え
執事服を着ている私がいるのだから、余計にそう思うことでしょう
しかも、彼は平民出身 身構えるのも無理はありません
「お前の職業」
Aはやはりと警戒心を最大まであげる
魔王様は気にすることなく続けた
「職業が上手く使えず困っているんだろう?俺が助けてあげよう」
「結構です」
当たり前だが職業なろう系は誰も見たことのないユニーク職業
ならば今までも、奇異の眼差しで見られ、時には怪しい人たちに狙われることもあったでしょう
そうした過去から来る警戒
一筋縄ではいきません
「メイ!」
メイ、冥王からとったのでしょう
ハデスと呼ぶ訳にはいきませんからね
ですが、メイは少し抵抗が、、、いえ何でもありません
魔王様の望む通り、なろう民たちを使い情報を読み取る
彼ら今まで見てきただろう、光景を投影魔術を使い映しだす
それは、Aがパーティーから追放されるところだった
近い未来に訪れる光景
亡霊もといなろう民たちが幾度もみたその映像を見て主人公Aは悔しく悲しい表情をする
こうなることを自分でも気がついているのだろう
「こうはなりたくないだろう。だから助けてやろう。」
しかしAは首を振るう
その目に光はなく悟った表情をしている
諦め
もう無理だと、自分に思い込ませている
先程の鍛錬のようなフリは自分はやったと思い込ませる言い訳を作っているだけ
Aからはそれが読み取れる
その時、魔王様の魔力が膨れ上がった
魔王様はあれを使うおつもりのようだ
魔王様の足元に魔法陣が現れ、光が降り注ぐ
そして、光はすぐに消えた
一見何も怒らなかった
「諦めんなよ」
だが
「どうして諦めんだよそこで」
魔王様の雰囲気が変わる
「本当に頑張ったのか?死ぬ気で頑張ったのか?全てやり尽くしたのか?」
これは降霊魔術
異世界の偉人の魂を召喚し、自分に定着させ、偉人の力を使うことができる魔術
呼び寄せたのは異世界の太陽神
弱った気を復活させることができる異世界の神
「もう無理だ。俺は十分やった。辛いのは俺だ、そう思ってるじゃないだろうな?」
Aは否定できないと俯く
「お前の選択で悲しむ人(魔王)が出てくることをどうして分からないんだ!」
ようやく主人公が反論する)
「そんなことは分かってる!あいつ(恋人)が悲しむことは。でも、こんな俺じゃあいつを幸せにできない。」
「できるよ」
「無理だと言ってるだろ」
「できる。お前はやり方を知らないだけだ。1人で頑張ってると思ってるだろう。違うよ。お前が苦しんでる時、嬉しい時、悲しい時、怒った時いつも一緒にいたこいつのことを知っているか?」
魔王様は主人公の胸を指指し言う
「ここに何が?」
「お前の職業の力。なろう系がいる。感じ取れないかもしれないけど、強い職業の力には意思がやどる。1番悔しくて苦しいのはこいつなんだぞ?お前に力を与えたい。なのにできない。そんなことを思ってるんだぞ?何でできないって?お前が応えてやらないからだろう。」
主人公は胸に手をやり
「ここになろう系がいるのか?」
深く意識を集中するが、何も起きない
「ダメだ。できない。何かあるのは感じでもできない。」
Aは必死に念を送っているように見える
それを見て魔王様は
「頑張れ頑張れできるやれるって、死ぬ気でやってみろよ。なろう系も頑張ってるんだから。」
そう言いながら、光線魔法を使い指に光が集まる
そして、Aの心臓をそれで貫く
文字通り死んでこいと言わんばかりに
Aは心臓から血を出し、その場で倒れる
いくばかりの時間が流れただろうか
主人公Aの身体が光出し
そして立ち上がる
魔王様が貫いた傷口も塞がった
スキル自動回復
職業なろう系を使えるようになったようだ
定番だが1度死にかけることが、発動条件
Aは目を開ける
その目には光が宿っている
陰鬱な雰囲気の欠片もない
魔王様お見事です
この物語はフィクションなので実在の人物等と関係ありません