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第2章 第3話  「第101補隊所属試制増強小隊」

20210219公開





 最近整備されたばかりの駐屯地の真新しい練兵場に、女性が発する裂ぱくの声が響いた。

 


「小隊長に敬礼!」


 

 閲兵用の高台に乗った僕に向けて、18人の兵士が敬礼をした。

 うん、普通の9歳の子供なら、その迫力に涙目になってもおかしくないと思うよ。

 普通の9歳児ではない自覚が有る僕は、当たり前の様に返礼をするんだけどね。

 僕が手を下ろしたタイミングで、兵士たちも手を下ろす。



「今日から君たちを率いる事になる小隊長のエルリング・ヴィストランドだ。こうして見ると、タダ村の戦いで一緒に戦った戦友が多くて、頼もしい限りだ」


 一旦、言葉を切った。

 僕を見るみんなの目が熱い。正直なところ、鍛え上げられた男たちにそんな目で見られても嬉しくは無いけどね。

 あの会合の後、第2太后陛下が画策して皇主様の名の下で新設された「第101補隊所属試制増強小隊」には、僕が名実ともに『神童』だと確信した多くの補士が志願して来た。

 その志願した補士の中から、圏外魔術アウタムマギアを扱える人材で、動かしても元の部隊が崩壊しない人員を集めた。

 そんな訳で、制限は有ったけれど、少なくとも上位50人からかき集めた18人が目の前に整列している。

 一番多いのは士家出身者で、次男三男の為に士家隊に入れずに立身出世の為に補隊に入って来た連中だ。

 庶民出身者からも3人、採用した。

 この小隊は徹底的に実力主義で固める方針だからね。才能と能力と士気が基準よりも揃っていれば出身は問わないよ。

 唯一の例外が副隊長だ。ある意味縁故採用だ。

 エミリア・ペーデル、22歳、うら若き女性だ。もし僕が15か16ほど歳をとっていたら口説きたくなる美女だ。知的な美人という感じかな? でも既婚者だ。もっとも結婚相手は皇国なんだけどね。

 なんせ、彼女は第2太后たいこう陛下の目であり、腕だから。

 何故、我が祖国の歴史書に必ず出て来る有名なペーデル家出身の彼女が補隊に所属しているかは知らない。

 まあ、知り合って未だ数日だから、その内に分かるだろう。



「この小隊に所属しているという事は、ある意味では諸君は選ばれた兵士と言える。だが、それだけでは全くの不十分だ。小官が満足出来ない。この小隊では未だ誰も何も為していないからだ。この小隊で祖国に尽くしてこそ、初めて一人前になったと胸を張れる。諸君の献身に期待する」

「小隊長に敬礼!」



 さて、最初の挨拶が終わったので、僕が部下に期待する基準を教え込む予定だ。


「射場に移動する! R班より小隊長に続け!」


 

 本来、この国の射場は屋外の開放式だ。

 だけど、この駐屯地の射場は四方を高い土の壁で覆われている。

 理由は2つ有る。

 まず1つめは機密漏洩防止だ。


 これから行われて行く事になる訓練は、国家機密に近い。

 なんせ、『エクスカービン』を補隊で扱うのだから。

 もちろん、僕の様に魔術マギアで再現する事はさすがに無理だ。

 使うのは魔鉱で製作した魔道具だ。

 魔術マギアの『M4』を開発するまでの間、しばらく使っていた試作品の魔道具を量産し易いように改良したものを使う。『エクスランチャー』はさすがに全員が無理でも『エクスカービン』が使えれば、飛躍的に火力が強化されるから、それでも十分なんだ。



「さて、これから見せるのは、小官が以前に使っていた魔道具だ。威力に関しては魔術マギアの方を見た者も居るだろうが、改めて見せよう」


 従兵のトムスから懐かしいМ4もどきを受け取る。

 慣れた形の方が使い易いだろうと、外見はМ4カービンに似せてある。もちろん可動部は本物と違って極端に少ない。細かい部分も省略もしている。

 それでも、構えれば馴染む。

 ラッチを押して、弾倉を取り出す。弾倉に開けてある小窓を見て、最大装弾数の25発がこめられている事を確認する。

 弾倉を装着し直して、初弾を薬室に送り込む。従兵の3人が整備をしているから特に問題なく動作した。強いて言うならバネを造る技術が未熟な為に、コッキングレバーの動作は本物に比べて頼りない感じがする。


「標的は1ミチ(約150㍍)先に置いてある重装甲金属鎧だ。それでは始める」



 この駐屯地の射場の四方が高い土の壁で覆われている理由の2つめは危険防止だ。

 慣れない魔道具を使う為に、暴発の危険は常に有る。

 弓矢なら飛んでも1ミチ(約150㍍)ちょっとだ。だけどМ4もどきはその2倍から3倍は飛んで行ってしまう。

 高い土の壁で覆わないと事故の原因になる。


 溜めも造らずに25発全てを連発で撃ち尽くしたところで、みんなの方を見ると目が点になっていた。

 まあ、そりゃあ、重装甲金属鎧がココから見てもボロボロになっているのが分かるんだからね。



「威力はこの通りだ。この魔道具を小隊の初陣までに使いこなして貰うぞ。何か質問は?」



 質問内容は割愛するけど、取り敢えず子供の様なキラキラとした表情で質問して来たとだけ言っておこう。



お読み頂き、誠に有難うございます。

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