第五十六話
投稿遅くなりました!
理由?そうですね、読んで下さればわかると思います。
「リア様、とてもお似合いです!」
専属を持たない侍女と思われる女性がリアを持ち上げるように褒め称えた。
王城内の丁寧に手入れされた客室。そこでリアは、貴族の恋愛を描いた少女漫画かなにかかとツッコミを入れたくなるようなドレスに身を包んでいた。
何を隠そう。リアはこれから王城で開かれる夜会(舞踏会のようなもの)に参加することになっているのだ。
話は数時間前、闘技後にまで遡る____
「リアに狐と言ったかな?君たち、騎士団に入らないか?君たちの実力はかなりのものであるし、本音を言うのであれば私は君たちが欲しい。興味があるのであれば言ってくれればすぐにでも手続きをしよう。」
その国王の言葉に、王妃以外の全ての者が言葉を失った。あるものは歓喜し、あるものは衝撃に打ち震え、あるものは屈辱で顔を歪ませる。
国王直々の勧誘とはつまり専属騎士として来るよう言われたのと同義である。実際、国王はリア達が頷けばそうするつもりだった。リア達をよく知らない誰もが、彼女らを羨ましそうに次期専属騎士として眺めた。
しかし、彼らの予想を裏切る返答を口にした。
「申し訳ないけど、みゃー達にはやることがあって忙しいのにゃ。別事に時間をさく余裕は今はにゃーのにゃ。」
「そうやな。俺らは依頼を受けててな、ここまでついてきたのも、情報があるかもしれないとふんだからや。」
悩む事無くその提案を蹴った二人に、国王は「依頼とは?」と質問した。その意図は、国家機密を探る目的であった場合を考慮してだ。
「人魚を襲う半魚人と人面魚を止めて欲しいという依頼にゃ。人魚のいた都からだとみゃー達は泳げないから向かうことができにゃあ。だから今は、水の都と繋がる水地のある迷宮を探しているんだにゃ。」
「だから、ここに来れば多少なりとも情報が入るかもしれないと思ったわけですね?」
王妃の問にリア達は素直に頷いた。
「では、今夜開かれる夜会に参加してはいかがですか?そこなら地方貴族も多く来ますし、領土内に迷宮を持つ領主からも話が聞けるかもしれません。」
その王妃の提案はとても魅力的でありがたいものだった。
「お願いしたいにゃ!」
____そして現在に至るわけである。
トントンと扉がノックされ、侍女が小さく戸を開ける。
「リア様。そろそろお時間だそうで、お連れ様がおいでです。」
「い、今行くにゃ。」
狐の格好は、首元の緩い赤と黒のシャツに黒のスキニーのようなズボンととてもシンプルだった。
「おまたせしたかにゃ?」
そう問いながらリアは狐の元へ近寄るが、狐は目を見開いて固まっている。
やはり変だろうか?
そう思ってリアは困ったように眉を下げた。
「狐?」
「……あ、いや、大丈夫や。」
ハッとしたように返事をする狐は耳が少し赤いのがわかる。
「行こうか。」
「いい情報が手に入るといいにゃあ」
「そうやなぁ。あ、話し方は気をつけるんやで?」
「わかってるにゃ。みゃーはなんでも出来るから、そこら辺は安心してくれにゃ。」
ドヤ顔で言うリアに、狐は苦笑いを返す。
「まだ直ってないけど?」
「……今くらいいいかなと思ったの。令嬢の話し方も出来ますから別に気にしなくても良くってよ。」
リアは狐に大丈夫だと言うように貴族令嬢の話し方で返事をしてみせた。
リア達の立ち位置は他国から来た招待客。これは冒険者だと平民と侮られて対応して貰えないかもしれないという王妃の采配だった。リアが貴族令嬢で、狐が従者という設定だ。
「行きましょうか」
狐がそう言いながら手を差し出し、リアはその手に自分の手をのせる。
そうして二人は、既に始まっている夜会の会場へと足を踏み入れた。
挿絵つけてみました(笑)
絵を描くのにかなり時間を割かれましたねwww
読んでくださりありがとうございます!




