第四十九話
文章が迷子すぎて読みにくいですね。すみません…
リアが寝ている間にも何事も無かったようで、二人はゼルの所へお礼をしに向かった。
「本当にありがとうございました。こちらは魔石というものです。道具などに役立つと思いますし、私達のお礼の気持ちですから受け取ってください。」
狐が言って、リアが魔石が百個ほど入った袋を差し出した。狐が私と言ったのは敬意を表するためだ。
なぜ金銭ではなく魔石にしたのかと言うと、こちらではお金というやり取りはなく全て物々交換であるとゼルから聞いたためだ。
「こんなに貰ってもいいのでしょうか?こちらはただ部屋を提供しただけですし、情報も頂いています。これほどのお礼をされる覚えはございません。」
ゼルが謙遜するのも無理もない。4時間ほど部屋を借りるのであればそこまで金額もかからない。ぼったくり商売でも魔石一つあれば2日間は滞在できるのだ。
「これからも友好な関係を築きたいからですよ。時間が経てば他の冒険者も訪れるようになりますし、宿を作って下さるのであれば費用もかかりますでしょう?」
宿を作るというのはゼルと話し合った結果だ。宿泊商売をしたいというドワーフが数名いたため前向きに検討することになったのだ。
「ありがとうございます。またぜひ遊びにおいでください。その時は全力でおもてなし致します。」
ゼルが納豆したように受け取ったのを確認し、リア達は六十階層を後にするのだった。
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リア達が三十階層にたどり着いたのはあれから二十時間後のことだった。ほぼ丸一日、全力で走り続けて二人ともくたくただ。
その頃カイン達攻略組はレベリングに向かっているようで、運搬組以外誰もいなかった。
二人は枯れた巨木の中の空洞に隠れ休息をとる。
その間、その木の存在は誰も知らないようで、見つかるどころか誰かが近づく気配すらなかった。
外が騒がしくなり、攻略組が帰ってきたことを暗に知らせる。
「ちょっと外に出てくるにゃ。」
「大丈夫なんか?一応ダンジョンを出たことになってるやろ?」
「こっちの格好で会うのは初めてだし、マップを渡すだけだから問題ないにゃ。」
それだけ言ってリアはカイン達のいる湖周辺へと向かって走っていった。
姿が見えてきたところで声を掛ける。
「カイン。レイン。ちょっといいかにゃ?」
「「リア?!」」
振り返った二人は驚いたように声を上げた。その声に、周りにいた攻略組のメンバーも駆け寄ってきたリアに注目する。
訳が分からないという顔をしたカインは首を傾げて素直に疑問を口にする。
「こんな所でどうしたんだ?王都に行ったんじゃなかったのか?」
「みゃーがいない間に攻略が進んでしまえば困るとおもってにゃ、王都に行く前にマップを作っておきたかったのにゃ。一応六十階層のセーフティーポイントまでマップを描いたから、しばらくは大丈夫だと思うにゃ。」
「「「「「「「「「「六十階層!?」」」」」」」」」」
リアの言葉に、その場にいた全員が目を見開き声を上げる。
その声は大きな落とし穴のような階層でやまびこのようにしばらくこだまし、やがて奥へと消えていく。
リアは当然と言わんばかりに「そうにゃ。」と頷いた。
「まあ、わかった。六十階層まで行ったってことは今レベルいくつなんだ?」
「それは後で伝えるにゃ。」
「あ、そっか。」
レベルのことはここでは言えない。ガルスやカイン、レインに狐は教えても大丈夫だが、ほかのプレイヤーがいるこの場では口にすることはできないのだ。
「ってことは更に突き放されたって事だな。」
「大丈夫。カイン達も十二分に強いにゃ。」
苦笑いしたように顔を歪ませたカインは「それでも足りねーんだ。」と、口をへの字に曲げた。
にゃははと笑ってリアはカインの肩をぽんぽん叩き忠告する。
「強さがすべてじゃないし、それを求めすぎて他を見失わないよう気をつけるのにゃ。」
「わかってる。」
カインが肩を落として呟いた時、森の奥から黒羽が走って寄って来る。
どうやらみんなの驚いた声を聞いて駆けつけてきたようだ。
「あんたがリアか!?」
駆け寄ってきて早々口にした第一声がそれである。
「多分カインから聞いたかもしれねえが、俺は攻略組リーダーの黒羽だ。まあ、カインやレインにはかなわねぇけどな。」
リアはあきれ半分に、自嘲する黒羽を見つめた。
(どうせ指導してくれとか言うんだろうな…)
そんなリアの予想は大当たりで、一応初対面であるはずのリアに向かって、黒羽は膝をつき頭を下げた。
「突然で失礼だとは思うが、その、よければ戦闘の指導をして欲しいんだ。」
それに対してリアは深くため息をついた。
黒羽は別に悪い奴ではない。それはリオとして関わった時にわかっていた。ただ夢中になると視野が狭くなるタイプなのだろう。会話の流れも考えず、自分の望みを口にする。
確かにリアは遠回しの態度は好まないし、実際、カイン達が接触してきた時にすぐに本題に入らせた。だがそれは会うのが二度目だったからだ。
リアとは初めて会うはずの黒羽の態度はあまりにも不自然であり、お世辞にも好ましいとは言えなかった。
カインから聞いていたとはいえ順序があるのだ。
「申し訳にゃいけど、みゃーはこれから忙しいのにゃ。早急にこなさなくてはならない依頼もあるし、それに黒羽のメインは剣、みゃーは体術。教えれることは少ないのにゃ。」
少々冷ために黒羽を突き放す。それはリアがいつ守れるか分からない約束をしないために何度かやってきた事だった。
「…なんで俺のメインが件だと?」
苦し紛れの質問だろう。
「逆に、腰に剣を携えた体術使いや魔法使いを見てみたいにゃ。いても魔法剣士だけにゃ。」
リアが言った理由も事実だが、リオとして見てきたので、それは確信しての発言だった。
それを聞いた黒羽は肩を落とす。
「ま、剣ならみゃーよりもカインの方が断然特化してるからカインに教えてもらうと良いにゃ。」
去り際にそれだけ伝え、リアはその場を離れるのだった。
読んでくださりありがとうございます。
次話は10時頃投稿予定です。




