第四十七話
投稿が遅くなりすみませんでした。
ゆっくりなペースの更新になりますがお付き合いいただけたら幸いです。
「こちらでお待ちください。」
五十四階層、水中宮殿。シンプルなデザインのドレスで着飾った__侍女と思われる__人魚に案内されて、リア達は宮殿内の客室のような部屋にあるソファに腰を下ろした。
室内はこれでもかと宝石が埋め込まれた家具がいくつも置いてあり、どこを向いても飽きそうにない。
しばらくして、ようやく巫女と呼ばれた少女が部屋を訪れた。
少女と表したのは、見目麗しく幼い顔立ちだったからだ。美しく青白い肌に乗るふっくらしたピンク色の唇はプルンとして艶があり、宝石のように透き通る瞳は鮮やかな瑠璃色だ。
「急にお呼びして申し訳ございません。私はアクエリアス様より遣わされた巫女、天人族のアクリスと申します。」
アクリスと名乗った少女は、丁寧にカーテシーをするとリア達の正面のソファに腰を下ろす。
「突然で失礼かとは存じますが、長くなってしまうと思いますので早速ですが本題に入らせていただきたく思います。」
真面目な顔つきになり「よろしいですか?」という目でリア達を見るアクリスに狐は続けるよう促した。
リアは頷く事で了承する。
「本題を簡素に伝えると、私の眷族たるこの地に住む人魚達を助けていただきたいのです。
私の眷族は、他の種族との不可侵条約を結んでおりました。ですが、ある日を境に突然襲われ始めたのです。海の眷族は大まかに、人魚、半魚人、人面魚の三種に分けられます。元々人魚以外の二種は好戦的で、両者は争いを頻繁に起こしておりました。その時は良かったのです。私達は何もしなければ巻き込まれなかった訳ですから。」
原因を要約するとこうだ。
交戦中、仲間とはぐれた半魚人が人魚の地へと迷い込んだ。そこで半魚人は、一体の人魚を襲い食べたのだという。それだけでも人魚達にとっては許されざることなのに、本当の地獄はここからで、その人魚を食べた半魚人が急激に強くなったのだ。
人魚の血肉。それを一口食べればあらゆる傷が無くなり不老になると言われるモノ。
急激に強くなったのはその副作用かランクアップが原因だろう。もしくはその両方か。
それがわかれば必然的に起こるのは人魚狩りだ。
強くなれるとわかって手を出さない者など少数だ。強さを求める者たちは争いを投げ出して人魚を襲った。
「つまり、やめさせてほしい。ということかにゃ?」
「はい。ですが私が通路を作れるのは私の統べるこの地のみ。ここからかの者達の場所へは行くことができないでしょう。」
アクリスが言うには、水の都は他の地の迷宮やダンジョンと繋がっており、泳いで行き来することができるのだそう。しかし、リア達はアクリスや人魚達と違い泳いで行けないのだが、アクリスが通路を作れるのはこのダンジョン内だけなのだとか。
「だからその迷宮へ直接潜り解決をして欲しい。って事か?」
「お願い出来ませんか?お金…というものがないので金銭は払えませんが、お金になる品や役に立つ道具ならば報酬としてお渡しできます。ですから、この通り。」
アクリスは膝に額が付きそうになるほど深々と頭を下げた。
「わかった。一度六十階層まで潜ってからになるんやが、それからすぐにでもそこに向かおうか。リアもそれでいいやろ?」
「愚問だにゃ。こういうのみゃーはほっとけないのにゃ。」
「ありがとう存じます。」
顔を上げたアクリスは幼さの残る表情に戻っていた。
[特別クエストを受託しました。]
「あ、そだ、この階層の通路って維持できるかにゃ?通路が無いと自由に下へ行けなくなるにゃ。」
「それくらいなら構いません。第一、水を張っていたのは最初にここにいらっしゃった方にこのお願いをするためですから。」
当然のように言ってのけるアクリスに、リアと狐はやられたという顔をした。
断りようのない状態で交渉の場に着かせ、下手に出つつも有利に交渉を進める。アクリスの方がリア達よりも上手だった訳だ。
そもそもリアに交渉するつもりなど甚だなかったが、狐は少し違ったようだ。
「それじゃ、また来るにゃ。」
アクリスとの面会が終わり水中宮殿を出たリア達は、早急に次の階層へと足を進めるのだった。
イラストを描いていたんですがなかなか難しいですよね。気絶しそうになります(笑)
読んでくださりありがとうございます




