第四十四話
本日五話目の投稿です。
リア達の前にいるのはルームの三分の一くらいの大きさの亀と蛇が一体となっているモンスター。
三十八階層の階層主、玄武。レベルは43。リアならスキルがなくとも倒せるだろう。
リアはモンスターの情報を狐にも伝えた。
「こいつはモンスターなのか?玄武ってたしか東の神様だったよな?霊獣?だったか?」
「確かそうにゃ。でも、これを倒さない限り先には進めにゃいにゃ。」
「レベル43って事は、今の俺でも倒せるのか?」
今の狐はレベル30、リアのスキルが発動しているのでステータスはだいたい45くらいになっているだろう。
だが、嫌な予感がする。
「出来ると思うにゃ。」
リアは渋々答えた。リアの嫌な予感は増していく。
「じゃあ俺がやってみてもいいか?強くなったと調子に乗ったつもりは無いが、どれくらい上がってるのかきになるんや。」
(あーーーやっぱりぃぃ、)
リアは予感が的中して耳を下げた。
なぜだかココ最近、パーティーを組むとリアが戦わせてもらえないのだ。皆が強くなったと思えば良いのだろう。だがリアとしては自分が必要なくなってしまったような気がしてしまうのだ。
「だめか?」
リアが返事をしない事に不安になった狐が眉を下げ尋ねる。
「別に構わにゃいけど気をつけて欲しいにゃ。」
「ありがとう。」
狐は嬉しそうに頬をかいてニコッと笑った。それを見て、やはり狐の表情がコロコロ変わるなとリアは思った。
狐は刀を構えゆっくりと玄武の方へ近づいていく。その度に下駄がカランコロンと音を立てた。
深呼吸して恐る恐る進む狐に、リアもなぜだか緊張して息をするのを忘れてしまう。
狐は自身の刀と足に強化魔法をかけると、一気に距離をつめて懐へ潜り込む。
キーンという固いものがぶつかる音がルームに響いた。玄武は相当硬いのだろう。まるで刀で岩を切りつけたような音だった。
狐は三メートルくらいの高さまで跳躍して蛇の攻撃を避け、飛んだ先にあった壁を蹴り再び切り込んだ。先程よりも勢いが増して玄武の足に傷が入る。狐はその傷に己の刀を刺しこんで横に切り裂いた。
玄武は右の前足を失いバランスを崩す。その隙に蛇を根元から切り落とす。
その途端、玄武は表現し難い悲鳴を上げて倒れ、光の粒子となって消えていった。
「えっと、玄武って蛇が本体だったのか…?」
「……た、ぶん?」
狐はただ攻撃手段を減らそうと切りつけたようで、まさかこれで倒されると思わなかったのか呆気に取られていた。
「まあ、階段が出てるから大丈夫だと思うにゃ。時間的にも良いくらいだから戻るかにゃ。」
「そうやな。もう3時やで急いで戻ろうか。」
それから二人は一度階層を降りてから三十階層へと引き返して行くのだった。
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三十階層へ戻った時には5時をまわっており、既に戻っていた攻略組がリア達を探していた。
狐と黒羽の元へ向かい、帰ったことを報告して集めた果物を渡した。
「へぇ、こんなにも取れたのか。」
「偶然沢山なっている場所を見つけたんです。それで、その、」
「話があるんやが、ちょいと良いかい?」
リアが言い淀んでいると、狐が割り込んで代わりに説明をした。
黒羽に話した内容はこうだ。
・リオが王都にいる知り合いに会いに行くこと。
・狐は出口まで同行するついでに攻略組を抜ける事。
なぜこの内容にしたのかと言うと、二人で旅に出ると馬鹿正直に言えば何か企んでると思われかねないと判断したからだ。それに他の意味でも捉えられそうなので、1番納得できるであろう内容にしたのだ。
「まあ、別に強制参加ってわけでもねぇし構わねぇよ。メンバーには俺の方から伝えておくぜ。」
「ありがとうございます。」
「ありがとうな」
それから二人はカインとレインにも同じように報告した。二人は少し残念そうにした後、それでもリアのやりたい事だからと意見を尊重してくれた。
「あ、そうだ。ガルスに会ったら俺らの事もよろしく言っといてくれよ。」
去り際にカインが大声で言って、リアは振り返り大きく頷いた。
自身の荷物は全て持ったし、二人分の食料はお詫びのために置いてきた。これで準備は完了だ。
「じゃあ、さっさと攻略するかにゃ!」
それを掛け声に、二人は六十階層を目指し足を進めた。
これで今まで遅れていた分も回収できたかな!多分!
しばらくはリアと狐の旅になります。まだ2章は程遠い…(白目)
今まで会話の後に『そう言って』ってつけてたんですが、母から「言ってない会話文があったら持ってこい。」と言われてしまった。ので少しずつ編集で消していきます。
いや、だってさ?他の小説でも『そう言って』って書いてあるじゃないですか。ワタシワルクナイ。
母曰く、そう書いてあるのは小学校低学年の教科書までだそうです。解せぬ。
読んでくださりありがとうございます。




