第三十六話
もう気づいてると思いますがタイトル、あらすじを変更しました。
リア達がルームへ入ると、黒羽があからさまに安堵して駆け寄った。
「無事だったか。すまねえな、俺たちが不甲斐ないばっかりに。」
申し訳なさそうにする黒羽に、運搬組は首を振って否定した。
「違います。僕らが悪いので、黒羽さん達が気にすることなどありません
ご迷惑をおかけしてすみませんでした。」
謝罪する遊覧に続いてリア達三人も頭を下げる。
その後、全員で食事をとり黒羽の提案で運搬組は休むこととなった。二時間しっかり休み全員の体力が回復する。
「じゃあ探索を再開するか。並び順なんだが、変えようかと思う。
先頭から順に、狐、リア、瀬人、打点、零、雨、パック、鋼、遊覧、はいど、涙、鯱、キラー、俺で行く。いいな?」
黒羽が確認し全員が頷いた。この並び順は前後に均等に戦力を分けて柔軟に対応するためだろう。
戦力の順は、1狐、2黒羽、3瀬人、4キラー、5打点、6鯱、7零、8はいど、9パック、10鋼、11遊覧、12雨、13涙、14リア。運搬組を攻略組の間にバラバラに入れたのは、一人に対して二人か三人で護るためだ。これなら列が分かれてしまっても運搬組だけが取り残されてしまうことはまずない。
二十階層を出発してから特に問題もなく、二十三階層に到達した。
ここからは攻略が困難になってくるだろう。
ここへ来るまでに皆レベルが上がっていたらしく、足を引っ張るような事はない。
それに、狐のレベルは28。二十三階層であれば皆を気にしながら落ち着いて進むことのできるレベルだ。黒羽や瀬人だって、レベルが24になり対等にはやりあえていた。
問題は二十五階層以降だ。
ここにいるメンバーは誰一人として到達したことがないため調査から始めなくてはならない。
__配布したマップには、順路やモンスターのレベルを記載しているだけで、詳細や出現するモンスターが載っていない。書かれたものを配ることもできるのだが、事前に全てわかっていては難易度なんてあったものではないし、ダンジョンに潜る面白みがなくなってしまう。だから、大まかなマップやレベルのみ記載して、隠しルートやトラップ、出現モンスターは記入しなかったのだ。
そこで、狐、黒羽、瀬人の三人のみが二十六階層に進み、残りは二十五階層の最終ルームで待機することとなった。
最高レベルの三人がいなくなる事に不安は残るが、三人のうちの誰かがこちらに残ると調査するための戦力が心もとないだろうし仕方が無いというのが皆の最終的な結論だ。ルームに入るための通路は一つ。モンスターが来ても複数人でなら仕留める事はできるというのが決め手だろう。
それに、待機組に何かあればリアがバレぬように対処すれば良い。
リアはルームに近づく敵を到着する前に全て消す作業をこっそりしながら、三人の帰還を待つのだった。
○○○
「思ったよりも余裕やな。」
二十六階層を進み始めてから1時間。狐ら三人は二十五階層を進んでいた時よりも順調だった。
それもそうだ。庇いながら動く訳では無いし、敵が格上という訳でもないのだから。
「狐はまじでもうパーティー登録しねぇのか?効率悪いだろ?」
「問題ない。というか、登録したら問題が起こりそうやろ?」
メンバーの事を匂わせながら狐は黒羽の方に視線を向けた。
「俺の仲間が失礼して悪かった。別に悪いやつって訳じゃないんだが…」
黒羽は申し訳なさそうに頭をかいた。狐はため息を吐いて気にするなと言う。
「純粋すぎるのも直した方がいいと思うで」
苦笑しながら「わかってる」と呟く黒羽はホッとしたように視線を落とした。
それからも何事もなく、二十六階層の探索は三人の想像した以上に楽に終わってしまう。
だからこそ、油断したのかもしれない。
「戻らず二十七階層も行ってみるか?一回一回迎えに行くのは効率悪ぃし、ここで待機させるより二十五階層の方が安全だろ?」
「それもそうやなぁ」
「そうしようか」
黒羽の提案はもっともで、狐も瀬戸も賛成した。
そして、三人は己の実力も知らずに、迷うことなく下へ降りる選択をしたのだった。
瀬戸が全然話さない。
読んでくださりありがとうございます。




