第二十四話
遅れました。毎度すみません。
「ま、嬢ちゃんは優しすぎんだよ。お節介なくらい他人想いなのは、お前らも多少はわかっただろ?」
空気を換えるようにガルスはにやっと笑って二人に言った。
レインもカインも笑ってそれに返す。
「前々から気づいてましたよ。」
「確かにな。」
状況が掴めていないのはリアだけのようで、「どういうことにゃ?」と首をかしげた。
「ほら、もう疲れも取れたろ?そろそろ行こうぜ。」
そう言ってガルスは先陣を切って歩き出す。
三人もそれに続いて十五階層へと下りていった。
リアはもう気を張ることはなかった。
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二十階層に入っても、前回のように大量発生してるわけもなく、階層主もいなかったためすんなりと次の階層に足を進めた。
「そういえば、レベルはどこまで上がったのにゃ?」
この感じだと、かなり順調だ。
どの階層でもそれなりに動けているし、カインとレインの二人だけでも倒せるようになってきていた。
「俺はまだ32だから、1しか変わらねぇな。」
「俺はなんかかなり上がってる。今のレベルは17だけどもう少しでまた上がりそうだ。」
「私もカインと同じ感じですね。リアはいくつなんですか?」
「みゃーはさっき43に上がったにゃ。」
リアは普通に答えるが、三人ともかたまってしまった。
何か間違ったことでもあっただろうか?
キョトンとするリアに、ガルスが三人を代表して質問した。
「なぁ、冒険者同士の探り合いは禁止だし今まで聞かねえようにしてたが、嬢ちゃんの成長スピード異常じゃねぇか?昨日40だっただろ?」
そう。リアの成長スピードは他者の1.5倍。
しかし、そのことを三人は知らない。当然の疑問である。
リアは己のスキルの[主導者]についてを包み隠さず説明した。
「なるほどなぁ」
ガルスは顎に手をあてて唸るように考え込んだ。
「ですが納得しました。
まだリアなしで潜ったことはないのですが、パーティー登録をすると体が少し軽くなる感覚があったのです。それがステータスの上昇だったわけですね。」
「貰える経験値が上がるそれって、仲間が敵を倒したときも1.5倍貰えるのか?」
「そうだにゃ。自分に入る経験値は全て1.5倍になるにゃ」
ちなみに、これはカインたちと組んだ時に発覚した事だが、モンスターを倒した際にパーティーに入る経験値は、もらった経験値の五割をパーティーメンバーに均等に分けられるという事だ。
つまり、二人パーティーの際に20の経験値が入るモンスターを討伐した場合、仲間に入る経験値は10、三人パーティーの際に20の経験値が入るモンスターを討伐した場合、仲間に入る経験値は5ということになる。
計算式としては、[討伐により入る経験値÷2÷仲間の人数=仲間に入る経験値]となる。
リアはそれに1.5倍された経験値が入るのだ
「リアってかなりチートだよな。」
「それくらい気づいてるにゃ。でもインチキじゃないにゃ。
スキルは本人の中にある才能を具現化したもの。みゃーの才能にゃんだにゃ。」
そう。スキルとは、本人の持つ才能や、また、本人の努力などが形となって現れたものの総称。
そのスキルを持つことができるかは本人次第なのである。
「知ってるよ。特にリアは面倒見もいいし仲間想い。人を先導する力があるから主導者ってのにも納得できる。」
「そこは分からにゃいけど、誰かのために行動するのはすきにゃ。それが生き甲斐なのにゃ。」
胸を張ってそう答えるリアに、今まで黙っていたガルスが真剣な表情で口を開いた。
「嬢ちゃん。そのスキルの事、もう誰にも明かすなよ。
そのスキルがバレれば厄介なことになる。恨みを買うし悪用されるかもしれねぇ。」
リアは驚き無言で頷いた。
このスキルがすごいのであろう事は知っていた。だが、それによる弊害など気にしたことがなかったのである。
「それと、レベルを聞かれても答えないことだな。俺らの前で言うのも誰かに聞かれてるかもしれねぇし、レベルを聞いたやつが怪しむかもしれねぇ。最悪、最低限に誤魔化すのもありだろう。」
「わ、わかったにゃ。」
確かにその方がいいだろう。バレないに越したことはない。
それに、レベルやスキルが知られれば余計なしがらみに巻き込まれることになるだろう。
リアもその意見には賛成だった。
「そもそも、レベルなんて概念は冒険者の中だけだしな。誰もレベルを知らない謎多き冒険者ってのもいいんじゃねえか?」
「それはちょっと恥ずかしいにゃ。」
ふざけたガルスの言葉に、三人は吹き出した。
それから三人は更に順調に進み、三十階層で休憩をとることにした。
サブタイトルが付けられていないので少しずつ考えていくかタイトルをなくすか考えてます。
内容には支障ない…と思います。
読んでくださりありがとうございます。
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