第二十一話
本日二話目の投稿です。
「だけどダンジョン内は移転不可能にゃ。ダンジョンに入ったら戻るか死ぬかでしか出られないにゃ。そこは二人とも大丈夫かにゃ?」
そう問いかけながらリアはコマンドを使い検索する。
[ダンジョン内のログアウト方法]
ダンジョン内では移転が不可能となっており、外に出なければ基本はログアウトができません。
ですが、ダンジョン内でスリーブモードとなることでログアウトが可能となり、再びログインするとその場から再会されます。
※スリーブモードの間、アバターはその場に残されるので、モンスターには十分ご注意ください。
「なぁ、レイン。移転とログアウトって同じ扱いなのか?」
「知りません。が、恐らく種類は同じだと思われます。」
なるほど。寝ている間はログアウトできるという。安全ではないが見張っていれば大丈夫だろう。
あとは二人次第ということだ。
「どうするよ?リアの知り合いってことは多分俺らより相当強いだろうし、二人ともダンジョン内に泊まるみてぇだから俺ら無理じゃね?行き来するにも足手まといだろ?」
「そうですね…。とりあえず、調べてみてログアウト出来そうなら連れて行ってもらう形にしましょう。」
さて、これをどう伝えればいいのだろう。
二人がスリーブモードを知らない場合、寝る方法から教えなければいけないのだ。
「そうだな。ダンジョン内でログアウトできないとレベリングに支障が出るしなんか方法があるだろう。」
リアが検索をしている間にどうやら話し合いは終わったようで、二人は頷き合うとこちらに向き直った。
「一度戻って確認してみます。出発は明日の朝ですか?」
「そうにゃ。時間は決まってにゃいが、だいたい7時くらいに集まればいいと思うにゃ。」
「わかりました。では、その時に。行けそうであれば、その時はお願いします。」
レインはそういうと、丁寧にお辞儀をする。その姿は、なかなか様になっていた。
「まぁ、二人には結構ハードににゃるが、みゃー達がいるからよほどの事が無い限り大丈夫にゃ。」
そう言ってリアは二人の背中を押す。
「ありがとうございます。それでは、また明日。」
「またな。」
用件が終わったら二人はそれだけ言って宿を出ていった。
まったく、マイペースな二人である。
(あれ、何か忘れているような…)
そしてリアは、ログアウトの方法を伝え忘れたことにあとから気づいたのだった。
○○○
「ねえ、アレ見た?」
暗い部屋にいるうちの一人が、もう一人に向かって問いかける。
「あぁ、赤狼がプログラムにない動きをしたやつね。」
「こんなにも早い段階でシンギュラリティーが起こるなんてね。」
二人の口の端は、面白そうに釣り上がる。
「そうだね、想像以上だ。」
「このままいけば、案外早い段階で計画が実行できそう。」
話し声は静かだが、とても楽しそうである。
「いや、まだ、しばらく先だろう。」
「??そうかなぁ。」
相手の確信めいた発言に、話しかけた者は右手を顎の辺りに持ち上げて首を傾げる。
その者は反応見て楽しそうにしながら、その理由を口にした。
「あぁ、だって、彼女はまだ__」
○○○
夕食前、先にお風呂を済ませた玲は掲示板を開いていた。
リアのいる宿から出た後、レインたちはダンジョンに向かった。そこでログアウトできるかを検証した結果、メニュー欄にあるログアウトが選択できなくなっていたのだ。
街に戻りログアウトした後、説明書や公式サイトを確認しても、ダンジョン内ログアウトについての記述がない。
その為、一か八か掲示板に情報を求めたのだ。
掲示板開にはかなりの数コメントが来ていた。
玲の知りたかった情報もいくつか見つかる。
===
【タワロゴ】ダンジョン内ログアウトの方法【情報求む】
1:名無し
タワロゴのダンジョン内でのログアウトができなかったのでこれに関して情報を持っている方いませんか?
ログアウト、移転系はできないっぽいです。
よろしければ教えてください。
2:名無し
え、ログアウト出来ないの?初耳。
3:名無し
それ俺もあったんだけど、ダンジョン内でメニュー開いたらログアウト選択できなくなってた。
4:名無し
多分なんだけどデスペナ回避のために死ぬ直前でログアウト~とかそういうのを回避するためとか?
それが出来たらあとは誰かに敵倒してもらうの待ってから再ログインすれば死ぬことはないしデスペナの意味がなくなると思うから。
5:名無し
なるほど。説得力あるな。
6:名無し
でもそうなるとダンジョンに一日中(ゲームでいう三日)潜るのも難しくなるよね。
ご飯とか諸々あるし、どんなに頑張っても深層には行けなさそうだぞ?
7:名無し
たしかに、上層しか潜れないよな。どうやっても攻略出来なさそうだ。
○○○
「先輩、これみてください。。ログアウト方法に関する事が掲示板に出てるんですけど、情報流しますか?」
ほとんどの照明が切られた薄暗いオフィス内で、話しかけた男がパソコンの画面を女に見せた。
「あ~、ダンジョン内ログアウトか。別に問題ないぞ。
それに、どうせこちらが言わなくても管理部がプレイヤーを通して情報でも流すだろうよ。」
「なるほど、じゃあ大丈夫そうですね。」
男は頷くと、掲示板に向かって打ち込んだ。
===
56:内通者
えっと、ダンジョン内では移転が不可能になってて、外に出なきゃ基本はログアウトができないっぽい。
だけど、例外としてダンジョン内でスリーブモードにすることで、ログアウトが可能になるらしい。
再ログインすると、移動させられてない限りスリーブモードにした場所から再会できるって言ってた。
注意事項としては、スリーブモードの間、アバターはその場に残されるから、モンスターに襲われても無防備だから殺られるらしい。
57:名無し
情報ナイス
…
……
………
62:内通者
追加情報としては、ダンジョン内に限らずログアウトは限られた場所でしかできないよ。
===
○○○
「なるほど」
結果としては、一応ログアウトは可能のようだ。
問題はスリープモードの間は無防備になるのため、リア達に迷惑をかける事になるのだが、今回は夕飯を食べてからの参加になるので、二日間フルに潜ったとしても現実では14時間。朝8時までになるから中断する心配はいらないのだ。
もっとも、この事に気づいたのは掲示板に情報を求めた後だったのだが、この情報はこれで今後の役には立つだろう。
海星にはチャットでまとめて情報を送る。
その後、親に頼み込み普段より早い時間の夕飯を終えた玲は、6時15分より少し前にログインして宿屋の前で海星と合流した。
ゲーム内の時間は6時45分。リアと集合するのにはちょうどいい時間だろう。
そう判断した二人は、宿屋の中へと入っていった。
文章読みにくかったらすみません。
視点は、リア→謎の○○→玲→運営→玲 と切り替わっています。
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