第十六話
一方、二人と別れた後の事。
「やらかしたにゃー!!!!」
リアは部屋で叫んでいた。
「やらかしたやらかしたやらかした!わざわざ宿に来たりギルドへ伝言を伝えなくでも良かったのにゃ!ゲームなんだからフレンド登録すればいつでもチャットが送れたのにゃ。すっぽり抜けてたにゃ。」
フレンド登録とは、プレイヤー同士が離れていてもチャットが出来たり相手のオンライン状況がわかるオンラインゲーム特有の機能の事だ。
リアはずっとログインしているためか『ゲーム』という感覚がなくなってしまっており、フレンド機能の存在を今の今まで忘れていたのだ。
「せっかく初めての友達が出来たと思ったのににゃんでこう上手くいかないのかにゃあ…」
「はぁ…」と深いため息をつく。
「いろいろありすぎてきっと処理が追い付かなかったのにゃ。今日はもう寝るかにゃ」
本当はそのせいではないのだが、リアは処理能力のせいにして休息をとることにした。
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朝。太陽の光が窓から差し込みリアを起こした。
寝ぼけ眼のまま階段を降りて宿の食堂へと移動する。
「おばちゃんおはようなのにゃ。」
いつもの習慣で挨拶をして朝食を受け取る。
「おはようリアちゃん。そう言えば、ギルドから伝言が来ていたよ。ガルスって人が戻ってきたって。」
「ほんとかにゃ!?」
リアは先程まで眠そうにしていた目を輝かせた。
ガルスはこの世界でリアが初めて仲良くなったNPCで、心を許している相手だった。
会うのは実に一週間ぶりである。
と言っても、一週間というのはゲーム世界の感覚であり現実では大体二日とちょっとだ。
余談だが、ゲーム内の時間の感覚での一日は現実世界の8時間になる。
「ごちそうさまにゃ。おばちゃんありがとにゃ~!」
急いで朝食をかきこんだリアはすぐさま準備すると走って宿を出ていった。
ギルドまでの道はまだ時間が早いのか人通りが少ない。
「ミラさーん!ガルスさんはいるかにゃ!?」
ギルドへ入ったリアは大きな声で言いながら受付へと駆け寄った。
すると、食事スペースの方から声がする。
「おう!朝から元気だな嬢ちゃん!」
声のした方を振り返れば、そこには予想通りガルスがいた。
おはようと言いながら近づくと、相手も返してくる。
「ガルスさんが戻ったって聞いて走ってきたのにゃ。いつもはすごくテンションが低いにゃ」
「嬉しいこと言ってくれるなぁ。ってかよぉ、語尾どうしたんだ?そんな喋り方じゃなかっただろ?」
笑いながら話すガルスは一週間ぶりに見るリアの変わりように驚いたようだった。
リアはにゃははと笑いながら近くにあった椅子に座り答える。
「なんかいつの間にかこうなってたにゃ。でもみゃーはこっちのほうがしっくりくるから変えてないのにゃ。
それより、ガルスさんの装備また新しくなってるにゃ?」
「おう、まあな。新調したんだ。似合うだろ?」
いたずらっぽく笑うガルスにつられてリアも笑う。
「いい感じだにゃ。でもお金の使い過ぎは良く無いにゃ。」
「ははは、嬢ちゃんらしいや。そういやぁ、嬢ちゃんのそのチョーカーも似合ってるぜ。服にもぴったり合ってるじゃねえか。」
その言葉にリアはふんぞり返る
「当たり前だにゃ。みゃーに合わないものはないのにゃ。
そうだ、ガルスさんは今回は何日滞在するのにゃ?」
「今回は今日含め三日だな。三日目の夜にはここを出る予定だ。」
今までガルスは長くて二日間の滞在だったようなので、長めである。
「じゃあまたこっちにいる間は一緒に潜れるかにゃ?」
「おうよ!嬢ちゃんと潜るのは楽しいし効率もいいからこっちからお願いしたいくらいだぜ。」
そう言われてリアは「そうかにゃ。」とはにかんだ。
「あ、それとにゃ、みゃーと一緒に潜る仲間ができたのにゃ。まだ弱っちいけど、伸びしろがあって楽しいのにゃ。もしタイミングが合えば紹介したいが、いいかにゃ?」
するとガルスは、少し目を見開いた後、今までにないくらい穏やかな、それでいて切ないような顔になって。
「それは是非とも紹介してもらいたいもんだ。」
と言った。
会話が終わったと判断したリアは立ち上がる。
「それじゃあ、またいつも通りいくかにゃ?」
「そうするか!」
向かいに座っていたガルスも、飲んでいたものを一気に飲み干して立ち上がった。
これから向かうのはもちろんダンジョン。
ガルスの先を歩いていたリアがハッとして振り返る。
「そういえば、ポーション系統がまた減ってきたから途中寄ってもいいかにゃ?」
その問いかけにガルスは笑顔で答えるのだった。
いい最終回だった…。
噓です。まだ終わりません。
なんか、まるで最終回のような文章の書き方だったのでつい…((
一章も二章も長ったらしいのを予定しているので、お付き合いいただければ幸いです。
読んでくださりありがとうございます。
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ブックマークの事をブクマ
好評化の事をポイントと言うんですね。初めで知りました。




