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女神様の御使いになりました。私と家族の恋と日常と平和貢献の物語。  作者: 彩音
外伝-アースパラレルワールド-
47/62

外伝08.デート その1

◇<結衣>

 瞬く間に日にちは過ぎていった。

 その間私は学校できちんと授業を受けているものの、何処となく浮ついた雰囲気だったとは敦美と桃山さんを始めとしたクラスメイトの証言。

 ちなみに里紗先輩はあれから何度か私を誘いに来て隙あらば頭を撫でたり、笑顔で「楽しみ」を連発して私にデートを忘れさせないようにするという作戦を展開して私の心を大いに搔き乱した。



 今回は合コンの時とは違う。朝早くに起きてお風呂に入り、体を綺麗にして鏡の前で何度も何度も自分の身だしなみをチェック。問題ないことを確認したら化粧水で肌を潤わしてから乳液とクリームを顔に薄く塗ってコンシーラーで整える。次にリキッドファンデーションを手に取り、それを頬などに乗せていく。終わると薬指でチークを薄塗り、これで顔表面は終わり。

 次は顔のパーツ。アイシャドウで眉を少し塗ってアイラインをアイライナーで調節。マスカラも塗る。唇にはグロスリップでメイク終わり。ナチュラルメイクを施した。

 だけじゃなく爪にクリアネイルをして、ハンドクリームを縫って、トドメにエクラドゥアルページュを手首にひとふり。ここまでして私は服を着替えて家を出た。


 待ち合わせの時間まではまだ余裕がある。

 なので鏡のような効果で自分の姿が映るガラス張りの建物の前で立ち止まって自分を映す。

 白のカーディガン、白の長袖ボウタイブラウス、黒のタックスカート、黒のリュックサック。

 子供っぽかっただろうか? 高校生な女の子らしいものを選んで着たつもりだけど少し心配。

 それにしても、こんなにも準備万端に気を使って外に出たのはいつくらいぶりだろう。

 なんだかんだ言って里紗先輩とのデートを意識していることに笑ってしまう。

 里紗先輩の刷り込みのおかげかな。

 前髪をちょっと直して私は再び歩き出す。


 三十分前に駅前到着。

 里紗先輩はまだ来ていないよう。

 それなら駅の中で本でも読んでようと思い、移動を始めたところでチャラそうな三人組の男たちに声を掛けられた。


「ちょっといいかな。この辺に天使が飛んできたってさっき通りすがりの人が話してたんだけど、君知らない? ……って君のことだね。天使さん、こんなところで何をしているの?」


 うわぁ。引く。ナンパするのももうちょっとセリフを考えて欲しい。

 返事をするのも面倒臭いので聞こえなかったフリをして通り過ぎようとする。

 しかし回り込まれた。


「天使さん、無視は良くないよ。俺ら泣いちゃうよー」


 それでも無視。くるっと半回転して中にいるのを諦めて再び外に出ようとする。

 関わりたくないのだということを察して欲しい。

 このまま黙って見逃してくれたらいいのにと思いつつ歩き出すと今度は腕を掴まれてしまった。


「どっこいくの~?」

「痛っ。離してください」

「やっと喋ってくれたね。天使さん。下界は初めてでしょう? 俺らがいいところに連れてってあげるからさ、着いてきなよ」

「嫌です。私、ここで人と待ち合わせしてて」

「いいからいいから」

「離して! お願い」

「まぁまぁ」


 私の訴えも聞くことなく男たちは私の手を引っ張って歩き出す。

 なんとか逃れようともがくが一般的かそれ以下の女性の力しかない私が男性に敵う筈がない。


「離してってば」

「煩い天使さんだなぁ。無理矢理口塞いじゃうよ?」


 どんどん引っ張られていく。周りの人たちは私が連れ去られようとしていることに気が付いている筈なのに誰一人として助けてくれようとはしない。

 

「離して!! 痛い! 痛い!!!」

「天使さんが暴れるからだよ。大人しくしてなって」


 やがて見えてくるのは多分男たちの車。

 こういうのもなんだけど、薄い本なんかで拉致に定評のある白のあれ。


 血の気が失せる。このまま乗せられたら私は終わり。

 もがきにもがいて…。


「ねぇ、私の彼女を何処に連れていくつもりなの?」


 声がした。今一番聞きたかった人の声。

 男の一人が不意を突かれて地面に沈む。

 それに気が付いたらしい二人目がその人に殴りかかろうとするもその人は余裕綽々と言った表情でそれを躱し、助走を軽くつけて男の股と股の間にある弱点を全力で蹴り上げた。


「うぎっっっ!!!」


 あれは痛い。私は無いからどれくらい痛いか分からないけど多分すっごく痛い。

 最後の一人が私の手を離す。


「てめぇ。いきなり何しやがる」


 大振りの右ストレート。その人はそれを躱して円を描くように体を動かし男の背後へ。


「じゃあさようなら」


 そこから股と股の間に蹴り。最後の男も悶絶して地面に沈んだ。



 それを見届けて先程まで掴まれていた腕に視線を送る。

 最悪だった。手の痕くっきり。どれだけ強い力で掴んでたんだよって死体蹴りしたくなる。

 服に異常がないからまだ良かった。もし袖とか破られてたりしたら本当に死体蹴りしてたかもしれなかった。

 このデートのために私がどれだけ準備をしたか。こっちの事情も知らないで迷惑な男たち。

 

「大丈夫?」


 男たちをノックアウトさせた人・里紗先輩が私のところへ駆けて来てくれる。

 先輩は私の腕を見て男たちへの殺意を漲らせる。


「こいつら殺す?」


 ってそこまでしなくていいです。お気持ちだけもらっときます。


「いえ、結局先輩のおかげで無事でしたし大丈夫です。そのお気持ちだけもらっておきます」

「そう? じゃあシルアに連絡しておくね。結衣ちゃんは心配しないで。後は全部こっちで片付けておくから」


 里紗先輩。黒いオーラが駄々洩れですよ。私が心配するべきなのは男たちの行く末なのかもしれない。

 明日辺り海に浮いてそう。私は自分の考えに身震いした。




 何はともあれデート開始。

 駅前から移動してまずは大型のショッピングモールへ。

 ここは駅のすぐ隣にあるから移動といっても一分から二分もあれば到着する。

 一階の食品フロアはとりあえず無視して最初に行く場所は二階のファッションやグッズなどの販売フロア。

 流し見するだけ。試供品があれば試したりして二人でわいわい喋りながらお店を冷やかす。

 ここで私は漸く里紗先輩の恰好をまじまじと見た。

 白のニット、デニムパンツ、黒のダウンジャケット。シンプルだけど大人の色気が漂っている。

 里紗先輩の体系って、すらっとしてるから服が似合って端的に言って格好いい。

 それに比べて私の子供っぽいこと。落ち込みそうになる。

 ため息を吐くと先輩が私に顔を寄せてきた。


「結衣ちゃん。今日の恰好可愛いよ。化粧(メイク)もしてきたの? いつも可愛いけど今日もすっっっごい可愛い」


 落ち込みから一転して舞い上がりそうになってしまった。欲しい言葉を欲しい時にくれる。狡い。

 照れくさい。頬の熱を感じつつ「今日の里紗先輩は格好いいです」って消え入りそうな声で言うと里紗先輩はそれでもちゃんと聞こえたみたいで「ありがとう」って喜んでくれた。



 まだまだ適当に店内をぶらぶらする。

 そのうちやって来たのは何故か玩具屋さん。


「先輩、子供の玩具に興味なんてあるんですか?」


 だとしたら意外。先輩はそういうの興味ないって勝手に思ってた。

 里紗先輩は曖昧に笑って奥へ移動する。

 そこはぬいぐるみコーナー。大小様々な愛らしいぬいぐみたちがそのフロアに並んでいる。

 私と同じくらいの身長のくまのぬいぐるみ、手乗りサイズの豚のぬいぐるみ。

 ぬいぐるみに着せるための服なんかも売ってて楽しい。

 気がつけば私の方が夢中になっていた。


「結衣ちゃん、何か買う?」

「あっ。え~っと…里紗先輩はどうするんですか?」

「ん~、抱き枕になりそうなのを探しに来たんだけど、どれも結衣ちゃんには敵いそうにないかな~って。だから今回はパス」

「私ですか?」

「うんうん。こないだ抱き枕になってくれたでしょう? あれ良かったんだよね。だから代わりを買いに来たんだけどやっぱり無いみたい」

「そ、そうですか…」


 ああ、うん。どういう反応すればいいのかな。

 恥ずかしいのに嬉しいって思う私もいる。

 里紗先輩と目が合ってニヤニヤと笑われた。


「また抱き枕になってね。今度はは・だ・かで」

「~~~~!!!!!」


 なんてこと言うかな。この人。いや、揶揄われてるのは分かってるよ。分かってても気持ちと心が追い付かなんだよ。ダメだ。このままじゃ遊ばれ続ける。話題転換だ。話題転換。


「せ、先輩、他のコーナー行きましょう。他のコーナー」

「ぬいぐるみはいいの?」

「荷物になるんでいいです。また今度買いに来ます」

「そっか。じゃあその時はプレゼントさせてもらうね」

「い、いや。いいですよ。そんな悪いです」

「いいからいいから。その代わり私のお願い聞いてね」

「うっ…。はい」

「言質取ったからね!」


 転換失敗したらしい。スマホを見せびらかす里紗先輩。

 さっきの会話録音されてた。言い逃れできない。

 スマホを最初に作った人に悪態をつく。無駄に高性能にしすぎ。これだから技術者は。

 まぁその恩恵に預かってる私が言うことではないけどね。開発ありがとうございます。



 続いて来たのは雑貨コーナー。

 大人気のくまのキャラや特撮物のキャラがプリントされた小物が売られている。

 それらは普通なんだけど、樹木くんっていう名前のゆるキャラらしいキャラ。

 これはなんぞや? 某有名RPGのトレントっぽい。あんな怖い顔じゃなくて穏やかな顔だけど。

 

「キーホルダーとストラップ買おうかな」

「えっ!?」

「えっ!?」


 先輩は宣言通りその二つを持ってる。

 買うの? 樹木くんとかいう謎のキャラのグッズ。

 もう一度樹木くんを見る。何度見てもトレント。


「本当に買うんですか?」

「もう買っちゃった」

「はやっ!!」

「結衣ちゃんはキーホルダーとストラップどっちがいい?」

「えっ?」

「学校の鞄に付けてお揃いにしたいなってどうかな?」

「そういうことなら」


 ストラップの方をもらった。

 値段こっちの方が安かったから。

 しかしこうして掲げてみるとさっきまで可愛くないと思ったのが可愛いと思うようになってるから不思議。

 里紗先輩とお揃いだから。

 私は里紗先輩からもらったそれを大切にショルダーバックにしまい込んだ。

 

「そろそろご飯にする? 」

「そうですね。朝食べてないのでお腹空きました」

「朝は食べないとダメじゃない。って私も今日は食べてないけどね」

「人のこと言えないじゃないですか」

「あははははっ。で、結衣ちゃんは何が食べたい?」

「レストラン街に行って決めませんか?」

「それもそうだね」


 さぁてご飯。レストラン街に移動するよー。

インカント チャームとかチェリーブロッサム オードトワレとかもいいですよね。

後、高校生だとエンジェルハートなんかも定番だったような。作者の高校生の頃ですが。

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