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女神様の御使いになりました。私と家族の恋と日常と平和貢献の物語。  作者: 彩音
外伝-アースパラレルワールド-
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外伝03.残念なお姉ちゃん

◇<結衣>

 家族揃っての食事を終え、宿題を済ませてからお風呂。

 凡そ三十分から四十分くらいで浴室を出て脱衣所に行き、バスタオルで体を拭いて、それを巻き付け、フェイスタオルで軽く頭を拭いてからドライヤーで髪を乾かしていると脱衣所の扉が急に開いた。


「お、お姉ちゃん!?」


 開けた犯人は憂お姉ちゃん。いつも私が最後でこの時間は私がここにいることを家族全員知ってるから脱衣所の扉を開くなんてことはない筈なのに。

 ドライヤーのスイッチを止めて放り投げるように元の位置へ。

 胸を手で隠してお姉ちゃんを睨む。お姉ちゃんは面白い物を見てるっていう感じの表情。


 何しに来たんだろう? 用がないならさっさと立ち去って欲しいのに扉を開けたままそこから動かない。

 他の誰かが来たらどうするの。特にお父さんが通りかかって裸見られたりしたら私はお父さんのこと嫌いになるかもしれないよ。理不尽? 年頃の娘はそういうものです~。


「扉閉めてよ」

「ああ、ごめんごめん」


 少し低い声で怒りを滲ませて訴えたらお姉ちゃんはちゃんと扉を閉めてくれた。

 閉めてくれたけど、どうして内側に入って来るのか。何がしたいのかこの姉は。対処に困る。


「えっと?」

「結衣。お母さんに抱き着いたって本当?」


 さっきの表情から変わって真剣な表情でお姉ちゃんが言う。

 どうしてそんな顔をするんだろう? 何か怒ってる? なんで? お母さんはお姉ちゃんのお母さんでもあり、私のお母さんでもあるんだから抱き着いたって別にいいよね?


「私も」

「えっ?」

「私にも抱き着いて来て」

「え? 今?」

「今」

「……私の恰好見えるよね?」

「うん、眼福」

「……殴っていい?」


 言いながらお姉ちゃんにチョップしようとしたけど、あっさりと躱された。

 やっぱり運動神経も本来の私に戻ってるね。

 そして私はお姉ちゃんに捕獲される。

 私を抱き締めてお姉ちゃんは変な声を漏らした。


「ぐえっへっへっ。いい体してんなぁ。結衣」


 お尻を触られて"ぞわぞわ"と鳥肌が立つ。

 抵抗するけど、お姉ちゃんよりも力の無い私はこの変態さんを引き離すことができない。

 

「う~ん。私が知らない間にすっかり女の子になってたのねぇ。結衣」


 人のお尻触りながらしみじみと言わないで!!

 

「お姉ちゃん!」

「は~い」

「もういいでしょ。いい加減にして」

「もう少しもう少しだけ」

「っこの」


 なんか腹立ってきた。

 制裁加えてもいいよね。正当防衛だよね。やるぞ~、やっちゃうぞ~。


「お姉ちゃんの…」

「んっ?」

「ド変態!!」


"バッチーーーーーーン"脱衣所に乾いた音が大きく響き渡った。




"パチャパチャ"私の部屋に響いているのは水の音。

 コンビニやドラッグストアで七百~八百円くらいで売ってる化粧水を顔の肌に染みこませている音。

 これは三種類のヒアルロン酸が使用されているものだ。

 少しとろみがあるおかげで手から零れにくくつけやすい。

 潤い、肌に吸い付いてもちもちの肌になる。

 使うとさっぱりして気持ちがいい。

 

 使用して終わると軽く柔軟体操。アイリスではシルアたちがいたけどここにはいない。

 なら体のメンテは自分でちゃんとしないとね。今のプロポーションを保ちたい。欲を言えばもう少し胸が欲しい。もう無理かなぁ。成長期は過ぎてるし。


「ん~~~」


 ぐぐぐ~っと。体を伸ばしたり、捻ったり、逸らしたりしてみたり。

 一通りを終えて後は寝るだけ。ベットに入ろうとしてそれまで視界に入れないよう気を付けていたものが目に映る。無視しようとしたら声を掛けられた。


「ゆ…結衣。いや、結衣様。申し訳ありませんでした」

「……ちっ」

「舌打ち!?」

「視界に入れないように気を付けてたのに。入ってこないでよ!! もう」

「ほんとにごめんなさい。調子に乗り過ぎました。この通り。赦してください」


 頬に見事な赤紅葉。謝罪の言葉を吐きながら私の部屋の扉前で土下座しているのはお姉ちゃん。

 あの後お母さんにもきつく怒られたらしい。親しき中にも礼儀あり。同性でもセクハラは成立するのよって。

 で、反省して私に謝りに来てる。

 実はもうすでに怒ってないんだけど、すぐに赦しちゃうとまた調子に乗りそうだから私はわざとお姉ちゃんに辛辣な言葉を投げかけることにする。


「赦すねぇ。ん~、セクハラ魔を赦すのってちょっとねぇ。性犯罪は再犯が多いらしいし?」

「そこをなんとか」

「どうしよっかな~」


 何か考えているフリをしてちらっとお姉ちゃんを見る。

 綺麗な土下座を決めたまま。大人しくしておけば美人さんなのにこういうところが勿体ない。

 まっ、反省してるみたいだし、これ以上意地悪するのは可哀想か。


「お姉ちゃん、反省してるみたいだし。今回は…」

「赦して~。減るもんじゃないんだし、そこに可愛いお尻があったから仕方ないんだよ。結衣も分かるでしょ? ねっ、ねっ?」

「よ~し、いい度胸だ。お姉ちゃんは一晩土下座の刑!!!」

「ちょっ!! 結衣」

「おやすみなさい」

「待って待って待って~」


 机の引き出しから耳栓を取り出して装着。

 正しい手順で装着するとほぼ無音の世界。

 最初に耳栓を揉むように少し押し潰して、装着する耳とは反対の手で装着する耳を上に引っ張り、それから先に押し潰した耳栓を耳の穴に入れる。これが正しい手順。説明終わり。

 ではベットに潜り込んでおやすみなさーい。

 翌朝起きるとお姉ちゃんは本当に土下座し続けていた。

 途中で抜け出したかもしれないけどね。そこまでは知らない。

 無理な姿勢をずっとしてたから体中が筋肉痛で辛いって言ってた。

 さすがに可哀想になって学校に行く前にマッサージをしてあげたんだけど、別の意味で悦んで…。

 私のお姉ちゃんが残念美人さん過ぎて私も残念だよ!!

ちなみに作者はロ〇ト製薬の化粧水も好きですけど、無〇良品の化粧水も好きです。使いやすい。

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