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女神様の御使いになりました。私と家族の恋と日常と平和貢献の物語。  作者: 彩音
外伝-アースパラレルワールド-
40/62

外伝01.二度目の転生

ここからは外伝となります。全16話。

舞台は異世界アイリスではなく、現実世界・地球と似た地球のパラレルワールドとなります。

のでその舞台設定がお好きではない方は番外編までで外伝はお読みにならない方が良いかもしれません。

大丈夫という方は引き続き外伝も是非よろしくお願いします。

ちなみに本編と番外編よりも主人公が女子をやってる感があるかなって思います。

それから外伝は本編と番外編と違い、すべて主人公の視点で物語は進みます。

◇<ユイ>

 終わりが近いことには数日前から気が付いていた。

 何しろ魔法の発動に時々失敗するようになっていたから。

 それに魔力を作る器官である心臓の痛みが日に日に強くなっていっていたから。

 ああ…、ここまでなんだな…って。私は諦めにも似た境地でリーシャに私の状態を伝えようとして、しかし思ったよりも早く崩壊の時が来てしまった。


 最後に聞いたのはリーシャの恐慌の悲鳴。

 強く強く強く後悔した。もっと早く伝えていれば最愛の人の苦しみを少しは和らげることができていたかもしれない。どうして私は早く伝えなかった。どうして私は最愛の人にあんな悲鳴を上げさせた。どうして私は…。

 

《リーシャ!!》


 体から魂が剥離した私はリーシャへと手を伸ばす。

 その手は彼女に届くことはない。

 何処かに引っ張られていく。私の意識はここで途絶えた。

◇<結衣>

「は?」


 次に覚醒した時、私は間抜けな声を出した。

 見たことのある場所。左側に複数の窓、右側には前と後ろに廊下へと続く左右開きの扉がある。

 中央はニューテッセラコーロンの床に鉄と木材で作られた机と椅子が複数が並んでいる。

 その中央部の前部には黒板と教卓。

 

 ざわざわと騒がしい声が聞こえてくる。

 その声の主は襟は黒で襟ラインは白、袖口は黒で袖口ラインは白、リボンタイは黒で他全体の布色はグレー、胸ポケットに校章が入っている。スカートとソックスも黒なセーラー服に身を包んだ女子高生たち。


(えっ? なんで?)


 激しく動揺して混乱する。訳が分からずパニックに陥りそうになる。

 そんな中、私に話しかけてくる一人の女子高生。


「結衣? 鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔してどうしたー?」


 若干釣り目で面長な顔。耳にピアス。染めた茶色のロングヘアなその娘のことは何処かで見たことがある。

 

(何処で…)


 思い出そうとするとちょっとした頭痛が起きて同時に記憶の濁流も起きる。

 思い出した。私の。ユイ・ナナセじゃなく七瀬結衣だった頃の友達・園部敦美。


「結衣?」

「………敦美?」

「おーぅ。敦美さんだぞー。結衣弁当一緒に食べよっ」

「えっ…。あ……お弁当?」

「あ? 結衣どしたん? まじ変じゃね? 四限終わったんだから弁当食べるっしょ?」

「えっと…。そう、だね」


 ここで私の体を見降ろして見る。

 私も皆と同じセーラー服姿。

 何気なく机を漁って見ると教科書が出て来てそれを見ると高校二年の時のものだった。

 

「腹減った。腹減ったー」


 敦美がガタガタと机をくっつける。それから鞄から取り出されるお弁当。

 全体的に茶色い。野菜がない。というか肉しか入ってない。

 そう言えばこの()はいつもこんな感じだった。

 対する私は彩りを考えて作った自身の手作りお弁当或いは母親が作ってくれた栄養バランスが考えられた愛情いっぱいのお弁当。

 かつての体が覚えている動作でお弁当を取り出すと今日は私が作ったものらしかった。


 のりたまなふりかけご飯に唐揚げ、ウィンナー、卵焼き、ポテトサラダ、レタス、花形に切った人参と少しだけひじき。

 楕円形の容器にそれらが綺麗に入れられている。


「イリス様。今日も私たちに生きる糧をお与えくださりありがとうございます。いただきます」


 困惑している最中でもお腹は空く。食欲強い。いつものお祈りを済ませてお弁当に手をつけていたら敦美が変な顔でこちらを見ていることに気が付いた。

 もぐもぐもぐ…。ごくんっ。

 口に入れたものを咀嚼して飲み込んでから彼女に尋ねる。


「どうかした?」

「イリス様って誰? ってか何その祈り。アニメにでも影響された? え? 結衣ってアニメ好きだったっけ? 今日の結衣まじ変だよ。保健室行った方が良くね?」


 あ~~~。なんて言ったらいいのだろう。

 軽く笑って誤魔化そうとするも敦美は誤魔化させてはくれず私の額に手を当てて熱を測りだす。

 敦美の手が私に触れたことでこれは夢のできごとではないと認識した。夢であればそんな風にハッキリ認識できる筈ないもんね。


「熱はないか」

「ないよ。ねぇ敦美、変なこと聞いていい?」

「いいけど何? 今以上におかしなこと言ったら保健室連れていくっしょ? それでもよければ何でも聞いてみ」

「ありがと。…今って西暦何年? ここって私立燈華(とうか)女子高等学校であってる?」

「よし! 結衣、今すぐ保健室行くっしょ。すぐ行くべきっしょ。そうしよう」

「敦美。ちょっと待って。保健室行く前に質問に応えて」

「今は――――」


 私は敦美に手を引かれて保健室に連行された。



「特に異常はないみたいだけど、念のために休んでいきなさい」


 連行された後、保険医の先生に熱を測られ、簡単な問診に応えた。

 結果異常はないと判断されたものの休んでいくよう言われたので有難くベットを使わせてもらうことにする。

 スカートのホックを外して脱いで畳み、リボンタイも外して畳んだスカートの上に置く。

 ベットに潜り込んで目を閉じるとひと心地。この状況を考える余裕ができた。


(どういう理屈か分からないけど、過去に飛ばされてる…んだよ、ね)


 さっき敦美から聞いた西暦。私が高校二年生をしてた頃のその年で間違いない。

 どうしてこうなった…? 二度目の死を迎えたから? でも二度目の死後はイリス姉様のところに行って姉様のお仕事のお手伝いをする筈だったんじゃ。分からない。何がどうなってるのか。


 考えても、考えても、分からないものは分からない。

 頬を抓ってみる。痛い。やっぱり夢じゃない。現実。

 

 幾つか推測をしては脳内で処理しているうちに段々と疲れてきた。

 一旦忘れよう。ちょっとオーバーヒート気味の脳を休めるために少し寝よう。

 もしかしたら寝て起きたら状況が変わってるかもしれない。

 そう思って思考を停止しようと思ったんだけど…。


「こんにちは。立花先生いますか?」


 聞こえてきたその声にがばっと半身を起こし、プライバシー保護のため外からの目隠しの役割を担ってくれているカーテンを雑に引いた。

敦美はギャルなんですが、ギャル語ワカリマセン。

なのでエセ関西弁ならぬエセギャル語なのはごめんなさい…。

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