表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/160

騒々しい部屋

   77.騒々しい部屋



 少し離れた大学に通う為に実家を出てアパートで独り暮らしを始めた時の話です。


 トタンで出来たそのボロアパートには、どういう訳か自分以外の住人は居ないようで、駐輪場には僕の自転車が一台停まっているだけでした。


 夜寝転がってテレビを観ていると、友人から電話があった。


「おー、どうした」

『今何しとるの?』

「いや暇してるけど」

『え、なに?』

「なんにもしてねぇよって」

『え? 何だよパチンコ中?』

「はぁ?」


 まぁ確かに他に住人が居ないのでテレビの音量は大きかったから、僕は起き上がってテレビを消した。


「暇してるって。なに集まるの?」

『あぁー、うるせぇよそこ、ちょっとメールするわ』

「はぁ? テレビ消したって」


 通話は切られました。辺りはシンと静まり返っているのに妙だと思っていると、友人からメールが来ました。


『何処にいるの? うるさくて何も聞こえんわ、今からカラオケ行かねぇ?』


 部屋の窓は開いてもいないし、何を言っているのかわからずメールを返した。


「うるさいって何だよ、俺今部屋に一人だけど」


 そう返信すると間も無く友人からこんな文章が届いた。





『すぐににげろ』



 とにかく僕は訳もわからずに再び友人に電話した。するとすぐに応答があった。


『もしもし! お前そこやべぇよすぐ逃げろって』

「何から逃げるって言うんだよ」

『わかんねぇけど、ずっとお前のすぐ近くで何人かが喋ってんだよ!』

「え?」

『今も聞こえるんだよお前のすぐ近くで何人か凄いはっきり喋ってる! ていうか何かみんな怒り狂ってる様に聞こえるからとにかくそこから出ろって! 迎えに行くから!』

「マジか」


 俺は手近に放り投げてあった上着だけ羽織って、その静まり返っている部屋を出た。やがて友人といつも集まるコンビニまで辿り着くと、友人に電話を掛けた。


「コンビニ着いたぞ!」

『……』

「あのボロアパートマジでヤバいわ霊が憑いてんのかな!?」

『……』


 通話は切れてしまった。そして程無くしてメールが届いた。


『もう着くから早くその部屋出ろ』


 



 コンビニで友人の車に乗り込むと、何が聞こえたのかを聞かされた。


 女の金切り声や、バンバンと壁を叩くような音、怒り狂ったような野太い男の声で「何やっとんだお前! ぶち殺すぞ! おい!」などとかなりはっきりと聞こえたのだとか。


 最後電話をした時にも同じ様に聞こえたらしい。


 僕は最後通話した時には既にアパートを出ていたという事を話せなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【実話怪談を収集しています。心霊、呪い、呪物、妖怪、宇宙人、神、伝承、因習、説明の付かない不思議な体験など、お心当たりある方は「X」のDMから「渦目のらりく」までお気軽にご連絡下さい】 *採用されたお話は物語としての体裁を整えてから投稿致します。怪談師としても活動しているので、YouTubeやイベントなどでもお話させて頂く事もあるかと思います。 どうにもならない呪物なども承ります。またその際は呪物に関するエピソードをお聞かせ下さい。 尚著作権等はこちらに帰属するものとして了承出来る方のみお問い合わせよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ