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信号待ち

   75.信号待ち



 学校終わりに駅前の横断歩道で赤信号を待っていた時の事だった。


 街頭も少ない薄闇の中、ヘッドライトを点けた車が四車線もある車道を無数に行き交っている。


 そろそろかと思い、手元の携帯に落とした視線を上げたが、信号はまだ赤だった。


 また視線を落とそうとすると、あちら側の歩道から、まだ車が行き交っているのに、髪の長い女性がこっちに渡ろうとする様に一歩車道に踏み出した。


 アッと思ったが、俺の前をトラックが横切って一瞬向こうが見えなくなった。


 直ぐにトラックは通り過ぎて、向こう側が見える。そこにはやはり、悠然とこっちに向かってくる女が横断歩道の真ん中辺りにまで来ていた。


 そして行き交う車が通り過ぎる度に、女はコマ送りの様にしてもの凄い速度でこちらに向かってきていた。


 いやに足の早い事など気にもしないで目を凝らしていると、また目の前を赤い車が横切って一瞬見えなくなった。


 車が通り過ぎてまた視界が開けると、女は俺の目の前に立っていた。


 驚いて後ろに仰け反ると、女の立っていた車道を軽トラックが通過していった。


 まさかと思ったのだが、衝突音も無く辺りはいつもの通り閑散としたままだった。


 そして女は何処にも居なくなった。


 周囲を見回してみたが、何処にも見当たらなかった。


 高校生の頃に見たあのコマ送りの様にして近付いてきた女が何なのか、未だにわからない。

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【実話怪談を収集しています。心霊、呪い、呪物、妖怪、宇宙人、神、伝承、因習、説明の付かない不思議な体験など、お心当たりある方は「X」のDMから「渦目のらりく」までお気軽にご連絡下さい】 *採用されたお話は物語としての体裁を整えてから投稿致します。怪談師としても活動しているので、YouTubeやイベントなどでもお話させて頂く事もあるかと思います。 どうにもならない呪物なども承ります。またその際は呪物に関するエピソードをお聞かせ下さい。 尚著作権等はこちらに帰属するものとして了承出来る方のみお問い合わせよろしくお願いします。
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