表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/160

えっちな幽霊

   えっちな幽霊



 私が会社の寮でひとり暮らしをしていた頃の事です。


 その社員寮は築五十年にもなり、かなり老朽化していました。


 私はこんなボロい寮を早く出たく出たくて堪りませんでした。


 シャワーの水圧は弱いしトイレは和式。極め付けは、何か水場に居ると視線のようなものを感じるのです。


 ある日私がシャワーをしていると、浴室ドアの向こうに黒い人影が立って、こちらを覗く様にスモーク部分に頭を押し付けていたのです。


「キャアッ」


 そう小さく叫ぶと、その人影は消えていました。


 昔から私には、いわゆる霊感があって、このような事も過去数度あったので、家の中に誰もいない事だけ確認すると、平静を取り戻して肩を落としました。


「もう、絶対さっさとここを出てやる」


 シャワーを出て体を拭いてから、パジャマに着替えてトイレに向かいました。和式の便器が私を迎えます。


「あーもう嫌!」


 便器に跨がって腰を落として用を足していると、足元の虚空からヌッと無感情な表情の中年男性が顔を出した。男の顔の上で尿が跳ねている。


「うわあああ!!」


 男はまたスッと消えました。


「まさかトイレにまで出てくるなんて……」


 何と無くトイレだけは聖域というか、霊にもデリカシーがあって、守られている場所だと思っていたので大変ショックでした。


 トイレから出てため息をつくと、私の耳元で男の声がした。




「ごちそうさま」


「…………ッッ!?」


 変態の霊なんて始めて出会った。これが決めてとなって、翌日私はそそくさとその寮を出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【実話怪談を収集しています。心霊、呪い、呪物、妖怪、宇宙人、神、伝承、因習、説明の付かない不思議な体験など、お心当たりある方は「X」のDMから「渦目のらりく」までお気軽にご連絡下さい】 *採用されたお話は物語としての体裁を整えてから投稿致します。怪談師としても活動しているので、YouTubeやイベントなどでもお話させて頂く事もあるかと思います。 どうにもならない呪物なども承ります。またその際は呪物に関するエピソードをお聞かせ下さい。 尚著作権等はこちらに帰属するものとして了承出来る方のみお問い合わせよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ