20/160
ベッドの下
ベッドの下
とても短い話なのですけれど。
その日私はいつもの通りにベッドで寝転びながら、だらだらと過ごしていたんです。
観てもいないテレビを替えようと、そちらの方を見もせずに、ベッド横に並べた小さなテーブルに手を伸ばしました。
ガチャ、とリモコンらしき物がテーブルから落ちる音がしました。
私は溜め息をついて渋々とそちらに顔だけ向き直ると、床を眺めてリモコンを探しました。
しかし床に落ちたはずの物が見当たらないので、ベッドの下に滑り込んだかと思い、携帯のライトをつけると、寝転がったまま上半身を乗り出した。
埃の溜まった狭いベッドの下を照らしながら覗き込むと、目と鼻の距離に、逆さになった男の巨大な顔があった。
脂でテカった大きな顔。逆さになってだらりと開いた口元を印象的に覚えている。
私は飛び起きて、距離を置いてまたベッドの下を覗き込んだのだが、そこには黒いリモコンが落ちているだけでした。
あれが何だったのか未だにわかりません。




