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真夜中の不可解な音

   真夜中の不可解な音


 時計を見なかったのでそれが何時だったのかわかりませんが、家族も寝静まっていましたし、体感的に三時とか四時位の事だったと思います。

 お酒を飲んで良い気持ちで熟睡していた私は、部屋の扉の前で飼っている犬が私を呼ぶように鳴くので目を覚ましました。

 眠い眼を擦りながら、案の定私の部屋の前に居た犬をなだめてからまた布団に入りましたが、今一つ眠気が来ず、黙って目を瞑っていました。

 物音も無い静寂な空気。

 私の耳元で秒針の……チッ……チッ……という音が聞こえ始めました。


 私の部屋に時計は無いのですが、何の音だろうと思い耳を澄ましていると、


 ……チッ……チッ……チッチッ

 

 チッチッ……チッチッチッチッチッチッ


 時計の秒針の様に規則的な風ではなく、そして徐々に早くなっていることに気付きました。


 なんと無く怖くなってきて、固く瞑った瞳を開けられなくなった私は、ただその秒針の様な音を聞いている事しか出来ません。


 …………チッチッ……チッチッ……チッチッチッチッチッチッ! チッ! チッ! チッ! チッ! チッ! チッ! チッ! チッ!


 その音が大きく、激しくなっていくのに合わせて、私の右耳の方にその音の正体が近付いてきている気がしました。

 いっそう固く目を閉じた私の右の耳元で


「アケナクテヨカッタナ」


 野太い男の声がして、私の気は遠くなりました。


 気付くともう日の照った朝でした。

 あれは夢だったのでしょうか? しかし犬をなだめる所までは実際の事だったと思います……というか何故うちの犬はあんな時間に起きてきて吠えていたのでしょう?

 思えばあのチッチッチッという音は、男が舌打ちをする音に似ていた様な気がします。

 私があの時瞳を開けて音の正体を見極めようとしていたならば、私はあの野太い声の男にどうされたのでしょう……

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【実話怪談を収集しています。心霊、呪い、呪物、妖怪、宇宙人、神、伝承、因習、説明の付かない不思議な体験など、お心当たりある方は「X」のDMから「渦目のらりく」までお気軽にご連絡下さい】 *採用されたお話は物語としての体裁を整えてから投稿致します。怪談師としても活動しているので、YouTubeやイベントなどでもお話させて頂く事もあるかと思います。 どうにもならない呪物なども承ります。またその際は呪物に関するエピソードをお聞かせ下さい。 尚著作権等はこちらに帰属するものとして了承出来る方のみお問い合わせよろしくお願いします。
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