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スカイライン
スカイライン
どうも俺の彼女が見えているらしい。
奈良県の有名なスカイラインに夜景を見にドライブに出掛けた日の事だ。
彼女は五島列島の出身で、つい最近関西に出て来たので、そこがデートスポットであると同時に、自殺の名所として昔から知られる心霊スポットである事なんて知る筈が無かった。
「本当にデートスポットなんだねー、人がいっぱいいる」
曲がりくねったスカイラインを運転していると、彼女は道路脇を眺めながらなんでも無いことの様に言う。
しかし、そこには暗い夜道と夜景があるだけだ。
俺は怖いから無視した。
やがて頂上付近にまで来て展望台に続いた駐車場に着いた。
駐車場からは暗いシルエットになった東屋が見えているんだが、彼女は車を降り立つと一番に
「わぁ、手振ってるー」
と言って展望台に向かって手を振り始めた。
俺はゾッとして、彼女を助手席へと押し込んでその場所を後にした。
駐車場には俺達の乗って来た車しか無かったからだ。