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西陽の中の幽霊


   西陽の中の幽霊


 当時私の付き合っていた彼氏との話なんです。

 時折、彼氏は私に車を貸して欲しいと頼んで来る様になりました。

 何をするのかと聞いても、どこどこに行く。友達と遊ぶ、とお決まりの理由しか述べなかったのですが、まぁお察しの通り、別の女と私の車で浮気をしていたらしいのです。

 当時の私はそんな事を疑いもせず、ふーんそうなんだ、と彼氏の適当な返答に頷いているだけでした。

 そんな事が三度、四度と続く様になって来たある日の事です。

 仕事を終えた私は日暮れの国道を普段の様に車を運転して帰っていました。

 すると正面に西陽が上って来て、目を細めなければどうにもならなくなって来ます。正面に西の空を見ながら帰るのでいつもそうなるのです。

 信号待ちの際、視線を下ろすと、左の視界の端に赤いワンピースの足元が見えました。

 うわっと思って助手席を見上げると、そこに長い髪に埋もれた女が居て、俯きながら

「気をつけて」

 と言って消えて行ったのです。

 ……日頃から幽霊を見る事はままあったのでそうは驚かなかったのですが、どういう事かその女は、彼氏に車を貸す度に、西陽の帰り道の助手席に現れる様になったのです。

「気をつけて気をつけて気をつけて気をつけて」

 次第に狂った様に言う様になった。

 これは何か意図があって出て来ているな、と気付いた私は、その時になってようやく彼氏の怪しい言動について思い当たったのです。


 後日、彼氏を問い詰めると浮気をしていた事を認めたそうです。なんと私の車でドライブデートをしていたと言うことでした。


 気持ちが悪かったのでその人とはすぐに別れました。

 それからは、西陽の中の女はもう現れていません。

 あの親切な幽霊はなんだったのでしょうか。


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【実話怪談を収集しています。心霊、呪い、呪物、妖怪、宇宙人、神、伝承、因習、説明の付かない不思議な体験など、お心当たりある方は「X」のDMから「渦目のらりく」までお気軽にご連絡下さい】 *採用されたお話は物語としての体裁を整えてから投稿致します。怪談師としても活動しているので、YouTubeやイベントなどでもお話させて頂く事もあるかと思います。 どうにもならない呪物なども承ります。またその際は呪物に関するエピソードをお聞かせ下さい。 尚著作権等はこちらに帰属するものとして了承出来る方のみお問い合わせよろしくお願いします。
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