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霊感

   霊感


 大学を出て企業の受付に就職した私は、同じ受付の川嶋先輩に良くしてもらっていました。

 川嶋先輩は私よりも五つ歳上で、凛とした感じの大人の女性といった風で、私も川嶋先輩の事を好いていました。

 ある日の週末、仕事終わりに駅の近くで川嶋先輩と二人でお酒を飲みました。その時に川嶋先輩が頬を赤らめてこんな話をするのです。

「私ね、見えるの、そう。霊みたいな物が昔からね」

 その話にゾッとした表情を浮かべると、川嶋先輩は興が乗って来たように饒舌に語り始めます。

「あの田辺部長ね。私すれ違うときいつも身震いしちゃうの……あの日と最近離婚もしたし、色々ついてなかったでしょ? あれね、女の霊が憑いてるからよ」

 カウンターに肘をついて川嶋先輩はジョッキを口元に近づけました。

「川嶋先輩は、どんな霊が憑いてるかもわかるんですか?」

 私が尋ねると川嶋先輩は得意そうな表情でビールを飲んで言いました。

「うん、昔からね、見えるみたい。あはは、大丈夫大丈夫! あんたには憑いてないから」

 そう言って快活に笑う川嶋先輩の直ぐ背後に、暗い表情で恨みがましく睨んでいる兵隊がずっと居ることは、川嶋先輩は気付いていなさそうでした。


 私が入社して初めて川嶋先輩に会ったときから、彼はずっとそこで彼女を睨んでいます。

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【実話怪談を収集しています。心霊、呪い、呪物、妖怪、宇宙人、神、伝承、因習、説明の付かない不思議な体験など、お心当たりある方は「X」のDMから「渦目のらりく」までお気軽にご連絡下さい】 *採用されたお話は物語としての体裁を整えてから投稿致します。怪談師としても活動しているので、YouTubeやイベントなどでもお話させて頂く事もあるかと思います。 どうにもならない呪物なども承ります。またその際は呪物に関するエピソードをお聞かせ下さい。 尚著作権等はこちらに帰属するものとして了承出来る方のみお問い合わせよろしくお願いします。
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