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一風変わったサバイバルゲーム  作者: サヌキノミヤツコ
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第一部 1話 『サバイバルゲーム』

~一人称~

「は?」


「え?」


誰かがそう呟く。全てが一瞬のことで皆何も分かっていないのだろう。数秒の沈黙の後ざわつき始める。無論俺も何も分からない。


「……ここはどこだ?」


心の中で思っていることをつい口で言ってしまう。


「こ、これは!転移だ!!僕達は異世界に転移されたんだぁぁ!」


「あ…本当に…異世界!?」


しばらくして岡橋と南田は訳の分からないのことを叫んで喜んでいる。転移?異世界??


「岡橋君、どういうこと?」


柑奈はたまらず岡橋に質問する。


「倉富さん、君分からないの?ラノベでよくあるクラスメイト全員で異世界に転移されたんだよ!異世界ではね魔法とかがいっぱい使えて……」


「そうそう!私達がここで勇者とかになって活躍するの!」


本当に嬉しそうにふたりははしゃぐ。本当にそうだろうか?否、乾燥した空気、水平線まで続く草原、そしてまばらに生えている木々を見るとここはただのサバナ気候だ。


「岡橋、南田、悪いがここはそういう世界じゃないと思うぞ。見るにここはサバナ気候、いわゆるサバンナってところだ」


俺は現実を彼らにぶつける。


「いいや、そんなことないよ!それじゃあ荒瀬君、何で僕達はいきなりここにいるの?そうだ友美、きっと何かイベントがあるよ行こう!!」


「うん!」


「おい、ちょっと待てよ!」


急に岡橋と南田は走り出してしまう。確かにいきなり転移したのは分からないが……。


「はっ!どうせ何かのドッキリだろ?俺達をビビらせて観察する気だ。俺らも適当に行くぞ」


「おい、お前らまで!」


板東グループ四人も何処かへ行ってしまう。結局残ったのは16人になった。


「な、なぁ蒼真、俺は頭が悪いからよ何が起こってんのか全く分からないんだ……」


少し前まで凛々しく板東達に立ち向かっていた碧人も不安そうな顔をして俺のところに来る。


「さぁな、俺にだって分からないさでも、とにかく……」


ここでいつまでもだらだらとしているよりも行動は早くした方が絶対にいい。自分の長所は冷静なところだそれを最大限に活かす!


「みんな!聴いてくれ」


それぞれ混乱してざわついたのがいるのが静まる。


「ここは異世界やテレビのドッキリなんて甘いやつじゃない、現実のサバンナだ!そして俺達が持っているのは何だ?制服と体、そして知識だ」


彼らはさらに混乱する。駄目だ。混乱しちゃ駄目なんだ。もし岡橋が言う異世界やドッキリだったらどんなに楽なことか、しかしここはサバンナ。強いものが弱いものを支配する大自然だ。それを頼むからしっかり受け止めてくれ!


「突然のことで意味が分からないだろうけど目の前の事を受け止めるんだ!感覚があるから夢なんてものでもない、これからはサバイバルすることになる」


「サバンナ?」


「サバイバル…?」


あぁ…やはりそうか。そうだよな。ここで混乱しないでくれという方が難しいのは分かっていたつもりであったが皆やはり困惑する。しかしようやく彼らは現実を受け止めたのか段々と困惑が恐怖に変わっていくのが感じ取れた。


「サバンナってことはライオンもいるよな?俺達食われるのか!?」


「母さん…父さん……」


慌てふためく者や泣き始める者までいる。唯一、困惑にとどまり状況を把握できたのが俺を含め3人いた。


「蒼真、俺はいつだってお前に助けられ導いてくれたよな?だったら今回もお前なら解決してくれる。なぁ俺は何をすればいいんだ?」


「荒瀬、やはり頼れるのは君だけのようだ。低脳の奴等とただ慌てる者とは違って君は僕と同じ考えだ」


碧人は自分が頭が悪いと言ったがそうではない彼には臨機応変という能力がある。そして冷たいことを言ったのは薫だ。薫はもともと頭が良い。俺も薫を頼りにしているのだ。


「ありがとう。それじゃ……」


「蒼真…怖いよ」


いきなり柑奈は俺に寄ってくる。ふざけて寄ってくる時がたびたびあるので少々寄りすぎだといつもなら突き放してやるところなのだが今日はそうはしないでゆっくり肩を掴みしっかりと顔を見る。


「柑奈、いつもみたいに明るくいけよ。俺も皆がついてる。こういう時こそ男子が格好よく女子をサポートしないとな!」


恐怖を和らげるため皆にも聞こえるように笑って大きな声でそう言う。柑奈はちょっと赤面する。やべっ俺にしては少々熱くなりすぎた。


「おいおい、何一人だけかっけぇところ見せつけてんだよ蒼真!」


「そうだ!そうだ!俺もそんなセリフ言ってみてぇ……」


「悪いな翔馬、樹。お前らに活躍の場は与えないぞ?」


男子は今ので大分立ち直れただろう。一部には笑いが見られる。女子ももう少しで立ち直れそうな雰囲気だ。


「荒瀬、さっきただあいつらのことを慌てる者と言ったが取り消そう」


薫も何か感じたのかさっきの冷たい発言を取り消すと言ってきた。プライド高そうなのによく言えたなと俺は思う。…よし、俺も心の余裕が出てきた。転移だが超状現象だが知らないがこのメンバーで必ず生き残ってやる!


16人は荒瀬蒼真によって希望を持ったが現実は、大自然は厳しいものだとすぐに思い知らされる……。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

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