プロローグ
不定期更新です。別の小説よりも好評だったらこっち優先します。
~日本国内某町~
過疎化が始まっている内陸部の町は活気はないが平和で穏やかだった。今日もまた、山と畑で囲まれた盆地で唯一ある高等学校へ学生たちは登校する。その生活が最後とは知らずに……。
「おはよ~!」
「オッス、蒼真」
「柑奈、碧人、おはよう」
彼らもまた後に起こることの被害者だ。
「ねぇねぇ、今日三人で街に行こうよ。明日は土曜日だし」
「おっいいね!」
「お前課題は終わったのか?先週だって提出期限前日に課題見せてくれって俺に泣き付いてきただろ」
「うっ……終わったよ?終わった、終わった」
「この様子を見ると柑奈ちゃん絶対終わってないなー」
田舎では小、中、高と一緒の学校へ行く可能性が高く幼馴染みであった三人は仲が良い。たわいもない話をしているうちに学校へと到着する。教室へ入ってすぐに不快な光景を目にする。
「板東達の野郎、校舎内で谷島のことを……」
荒瀬蒼真の隣で碧人は一人の女に対して三人で絡んでいる男達と女一人を睨む。
「谷島ぁ、俺最近金欠でさ金がねぇんだわ。なぁ貸してくれよ?」
「わ、私だって余り持ってないよ」
「嘘つけ!お前の腹の贅肉を見ればそこそこ持っていることは分かってるんだよ!!」
「安彦、それ名推理」
男達と女は下品な笑い声を教室中に響かせる。それを見た蒼真は呆れて、柑奈は哀れみ、碧人は絡まれている女の前に飛び出した。
「てめぇら!よって集って恥ずかしくないのか!?」
「あ?んだよ桐村ぁ…俺らは楽しく会話してるだけだぜ?」
「谷島さんが可哀想と思わないの?板東君達がやっていることをいじめって言うのよ!!」
谷島と呼ばれる生徒の前に出た者がもう一人いた。いじめている側は笑うのやめて不快そうな顔をする。一方谷島は怯えた様子でいる。
「いいの碧人君、草野さん…私のことは放っておいて……」
「でも…谷島さんは……!」
「谷島もそう言ってるのが分からないの?だからあんた達も席に戻りなさい」
ここぞとばかりに板東浩司の彼女、溝渕が冷酷に言うが、彼らのやり取りを聞いていたクラスメイトの視線を浴びたじろぐ。
「な、何よ!」
今にも怒りが爆発しそうになったので蒼真は彼らに近づく。
「なぁ、まだやるのか?」
人数が増えてきてさすがに板東達も手を引く。その行動を見て群れないと何もできない奴等とはまさにこの事だと全員が思った。
「ちっ萎えちまった」
ようやく席に着く。たびたび板東達は暴力的だったが遂に学校でもそれが現れて清々しい朝の教室のはずが居心地の悪い教室へと変化した。しかし、その空気の悪さを解消させるような元気な声でその教室の担任はやって来た。
「おっはようございま~す!!ってあれ?何か重い感じ?」
「先生、実は……」
いじめられた谷島をかばった草野のがこれまでの経緯を語ろうとした瞬間全員、いきなり目の前に強力なライトでも当てられたかのような光に包まれる。思わず目を閉じて次に瞳を開けた時にはいつもの教室の風景はなかった……。
そう、クラスメイト計22名は広大な草原の上に立たされていたのだ。
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