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とある日常とマッスル林檎(前編)

 暗黒大戦歴 ×××年。


 後に、天界十三世界の一つ--炎水界でその名を轟かす凪国上層部の面々も、まだ地位も身分もない一兵士だった頃の事。

 強大で質、量共にずば抜けた神力と、強靱で高い身体能力、膨大な知識は持つものの、当時の彼等はまだまだ経験に浅かった。


 いわば、未熟。


 しかし、後に大国の重鎮となった彼等は言う。


 あの頃が、一番素の自分達で居られたのかもしれない--と。




 それは、果竪がまだ萩波の妻に--食われる少し前の話である。




「んぬぅ~」


 果竪は種を植えた土の上に手をかざす。

 力を込め、頭の中でイメージする。


「ん~、ん~」


 ズポンと土から緑生い茂る葉っぱが飛び出した。


「出来た! 出来たよ大根っ」

「そうか。カボチャの種から大根を作るなんてどういう術の法則をしてるんだよ。成長促進の神術使ってどうして生物変化の効果が出るんだ」


 明睡は頭をガリガリとかくと、ペシっと喜んでいる果竪の後頭部を軽く叩いた。


「成功したのにっ」

「俺は種を実らせろと言った筈だが」

「実ったよ」

「だからなんでカボチャの種から大根が出来るんだよ! 生物体系無視してるだろっ」


 後にも先にも、カボチャの種から大根を生み出すなんて果竪にしか出来なかった。


「お前真面目にやれよっ」

「やってるよ!」


 これ以上ないぐらい真面目にやった。だから大根が実ったのだ。


「というか、どうしてこの俺が教えてるのに大根が出来るんだよっ! 何がどうなってんだよっ! 何が原因だよっ」

「愛」

「愛で大根を作るなっ」

「むしろ愛でしか作れないよっ! 相手は大根よっ、分かってる?!」


 分かりません--とは言えない果竪の気迫に、明睡は思わず「あ、はい」と答えてしまった。それぐらい、果竪の気迫は凄かった。なんか圧力も感じた。


「……もういい。ったく、貴重な時間を損した。返せ俺の時間」

「大根いる?」

「いらねぇよ! あと、お前が今回種から大根作りまくったせいで、しばらくうちの軍の食料事情は大根だらけだよっ! ふざけんなよ、ようやく大根から解放されたのにまた大根かよっ」

「肌にいいよ」


 果竪はぐりぐりと両頬を手で揉み込むようにしながら言った。


「別に肌なんてどうでも」


 良い--と言おうとした明睡は、その視線に言葉を飲み込んだ。


 これ以上言ったら殺される。

 肌に敏感なお年頃の女性陣(平々凡々集団)がこちらを見ていた。嫉妬と殺気と憎悪入り交じる視線で。


 殺られる


 何度も死地を潜り抜け、強敵と戦い、生き残ってきた猛者たる明睡すら心臓がすくみ上がる様な視線だった。


 特に、小梅からの視線は強烈だった。

 彼女はいつも朱詩とどつき合いの喧嘩をしている少女で、古参に準ずるメンバーの一神だった。別に古参とかそれに準ずるから朱詩とどつき合えるわけではない。彼女だから出来るのだ。他の古参やそれに準ずる者達は、誰もが恐れ多くて朱詩をどつけない--ぐらい、朱詩の美貌と色香は際だっていた。飛び抜けていた。もはや、畏怖レベルである。


 しかし、一般神達からすると、畏怖を通り越して即略奪したいぐらいの美貌らしい。そのまま恐れて手を出さないでいてくれればどれだけ楽か。


 というか、萩波の軍の古参メンバー、そしてそれに準ずる者達の多くは、多種多様な美男美女揃いである。男の娘だって男性陣のかなりの数を占めている。美神図鑑、男の娘図鑑の様な有様だ。だから、それはもう四六時中、隙あらば、いやなくても、世界にとっては宝と言わ占める美貌の神々を略奪しようとする者達が襲いかかってくる。


 勿論、それなりに経験は積んできた古参メンバー、それに準ずる者達(美形に限る)だが、こう毎回来られれば苛立ちもピークになる。


 特に明睡は、参謀の纏め役として萩波に付き従う存在--軍のナンバー2である。それなりどころかかなり忙しい彼がどうして果竪の術の練習に付き合っていたかと言うと。


「きっと果物に変えれば良かったのよ。あたし、林檎がいいな」


 小梅は提案した。


「分かった頑張る」

「分かるなっ! あと小梅、お前余計な事言うなっ! さっきもそう言って果竪を横道にそらせただろっ」


 ただし、林檎の種は実ることなく枯れた。種の精気を吸い取ったのか?と問いたいぐらいだった。


 そう--明睡がたまたま得た休憩時間、彼は術の練習をする果竪と小梅を見つけてしまった。と、これだけなら良かったが、そこにはもう一神彼がよく知っている少女が居た。


 涼雪--。


 明睡が密かに--彼の身近な古参メンバー達にはバレているが--恋慕する少女は、果竪の隣で相変わらず柔らかな笑みを浮かべていた。

 彼女は果竪が林檎の種から見事に林檎を実らせてくれることを望んで居た。そしてそれを使って今日の夕飯のデザートを作ろうとしていた。

 しかし結果は枯れた。


 その時の悲しげな表情は、明睡の心にいたく突き刺さった。

 しかも、次に果竪が作ってしまったのは、ムキムキの手足の生えた林檎。いや、正確に言うと、林檎のかぶり物をしたかの様な、首から下の、腹立たしいぐらいのボディビルダー体型を持つ林檎だった。首から下が黒光りするムキムキマッスルな所にかなりイラッと来た。


 それは一通りストレッチ体操をして自分の肉体美を見せつけると。


 よりによって、涼雪に向かって走り出したのだ。


 見事なフォームだった。

 違う。


 ふざけんな。

 そんな俺が求めても得られない代物を晒してビキニパンツ一丁で走るな、涼雪に近づくな。あと小梅、「素敵な筋肉……」とか言うな、朱詩が切れるぞ。


 その後、無事に林檎の術を解いて--解く前に全力で蹴飛ばしてその横っ面を鈍器で張り倒したが--涼雪の危機を救った明睡は果竪の前に仁王立ちになって宣言した。


「俺が教えてやる」

「え? ムキムキ大根の作り方?」


 果竪がお尻叩きの刑にされたのは、それから数秒後の事だった。



 そうしてスパルタ特訓一時間。

 明睡は敗北を味あわされていた。


 実は教える才能にも恵まれていた明睡は、短時間でも相手の才能を見抜くことが出来る。


 果竪に術の才能は無かった。

 というか、成長促進の術だけしか教えてないが、他の系統の術も全滅な事はすぐに分かってしまった。


 むしろ自分が予想したのとは違う方面の効果を生み出してしまう術なんて危なっかしすぎて使えない。それに、あの林檎のボディービルダーなんてもはや生物兵器だ、いや、精神系に来る術だ。


「いや、案外失敗とは言えないかもよ」

「トチ狂ったかてめぇ」


 丁度通りかかった仲間の修羅が、そう言って果竪を庇った。相変わらずの悩ましい蠱惑的な肢体は、完璧と謳われる明燐に勝るずとも劣らない垂涎物だ。

 が、修羅は両性具有。女性寄りの身体ではあるが、確かに下半身に男性の一部を持っている。そして、自身で子を孕む事も出来れば、女性を孕ます事も出来る両方の機能を持つ両性具有の中でも希少な存在。

 普通、両性具有は両性と言われていてもどちらかの機能に偏るし、どちらの機能も機能していないという場合もある。


 しかし、修羅は完璧に男性、女性両方の機能を有している。ただし、身体は下半身の男性の象徴を除けば、完全に女性だ。そのほっそりとした肢体に見合わぬ豊満な乳房も、括れた腰も、形良い臀部も全てが女性そのものだった。


 特に、胸の完璧さは凄まじい。

 大きさ、形、色艶、張りと弾力、触り心地と全てにおいてパーフェクトだった。

 柔らかさも抜群だ。


 その胸に顔を埋めたいと願うのは男ばかりではない。女性ですらその魅惑の誘いを断れないだろう。


 ただし、そうでない者も居る。

 現に、果竪は修羅の悩ましくも魅惑的な胸に顔を埋める形で抱き締められたが


「苦しい」


 と言って、修羅の手から抜け出た。


「くっ……この、この脂肪の塊のせいで」


 修羅は外見は女寄りだが、中身は完全な『男』だった。男であるからには、膨らんだ胸などいらない。むしろ、女よりも女らしい自分の体付きに嫌悪すら覚えていた。


 しかも、過去はどうあれ、可愛がっている妹分に胸のせいで拒否られたなんて、彼の自尊心が許さなかった。


 ただ、その言い草に彼女も許さなかった。


「脂肪って何よ! ならその脂肪を寄越しなさいよっ!」

「はぁっ?! 一体何なんだよ小梅」

「五月蠅いわね! あたしに対するアテツケかっ」


 萩波率いる軍の古参メンバー、またはそれに準ずる者達の女性の美形どもは皆、完璧な胸をしていた。それこそ、年齢に見合わぬ悩ましい胸を持つ者達も多かった。


 反対に、小梅は順調な成長曲線を描き、教科書通りの完璧な発育をしている。いや、むしろ遅れているかもしれない。


 ペタンコでは無いが、それでも慎ましすぎる自分の胸にコンプレックスすら感じている小梅。当り前だ。周囲の美女、美少女達があれほど完璧な胸をしているのだ。同年齢だって、小梅よりも素晴らしい胸をしている。


「胸が何よ! 果竪、ペタンコでも強く生きるわよっ」

「……」


 果竪は自分の胸をぺたぺたと触る。そこには何も無かった。山どころか丘すら無い。いや、どこまでも続く平らな大地が広がっていた。


 果竪の瞳に、うるりと涙が浮かんだ。


「修羅が果竪を泣かせたっ」

「何もしてないだろっ!」


 それには明睡も同意だった。誓って言うが、修羅がしたのは果竪の顔を自分の胸に埋めさせたぐらいだ。


「小梅ちゃん、落ち着いて」


 相変わらず穏やかな笑みを浮かべた涼雪が、それまで静かに見守っていた立ち位置から一歩進み出て、小梅を止めた。


「だって修羅が果竪を泣かせたんだものっ」

「だから泣かせてねぇよ!」

「じゃあなんで泣いてんのよっ」


 勿論、自分の胸がぺったんこだからである。


「果竪ちゃんはまだ十一歳だもの。もう少し大きくなったらすぐに胸も大きくなるわ。ほら、私もぺったんこだし」


 十二になる涼雪は自分の真っ平らな胸に手を当てた。同じく、十二になる小梅も自分の胸を触る。


 そう、果竪は十一、涼雪と小梅は十二。

 胸がぺったんこでも−−むしろある意味ぺったんこでも当然と言える年齢だった。しかし、周囲の同年代はそれはそれは悩ましい体付きをしている。コンプレックスに思っても仕方ない。


「涼雪、それが普通なんだよ。むしろ僕みたいのが異常なんだから」

「そう? でも私、理想は修羅君みたいな体付きなんだけど。百合亜ちゃんもそう言ってたし」

「え? そ、そう? でも、百合亜は今でさえ完璧な体付きだよっ」

「私もそう言ったんですけどね」


 ほぅっと溜息をつく涼雪は年齢相応のあどけなさをしていたが、明睡からすればゾクリとする程に色っぽく見えた。恋する少年の目には特殊なフィルターがかかるらしい。


「……涼雪、ありがとう」

「ん? いいえ、どういたしまして」


 にこにこと笑う涼雪に、修羅は嬉しそうに笑った。


「何? またなんか百合亜ちゃんに対してコンプレックス発動してるの?」

「しゃ、小梅」

「大丈夫よ。なんたって、第1印象がキツくて中身までキツイと思われていて、しかもお局様で、悪役キャラとか思われがちな百合亜ちゃんが他の男に言い寄られるわけがないでしょ?」

「お前、それめっちゃ失礼」

「一般論よ。というか、うちの軍の古参メンバー達やそれに準ずる神達だって、百合亜ちゃんの第1印象で苦手とした神達は多いでしょ?」


 それには明睡も反論は無い。むしろ、そのキツイ眼差しを向けられた瞬間「テメェ、喧嘩売ってのか?」とか思ってしまったし。


「そんな中、修羅は百合亜ちゃんに惚れ込んでるんだから大丈夫よ」

「それはつまり、他の奴だったら絶対に目を付けないからって事?」

「そう。百合亜ちゃんの中身が分かった時にはもう遅いって話。確かに修羅は助けられたって言う恩はあるけど、普通あれだけキツイ印象が強かったら絶対に苦手になるわよ? でも、そんな苦手意識なく百合亜ちゃんの内面も含めて好きになったんだもの。だから見る目はあると思うわよ」

「……」


 なんか色々と言われているが、言いたい事は分かった。


「まあ、なんというか、認めてるって話?」

「じゃなかったら、百合亜ちゃんの側になんて誰が近づけるか」


 小梅と百合亜は仲が良い。

 百合亜が一番可愛がっているのは果竪だが、小梅、また涼雪とも仲が良かった。彼女達は、果竪には敵わぬずとも、かなり早い段階で百合亜の内面を見抜いていた。


 あれだけキツイ印象の百合亜と仲良く出来る--それだけでも、かなりの大物と言って良いだろう。


「それに、どうしたって百合亜ちゃんの特別は修羅なんだから」

「……は?」

「だよね、特別だよね」

「はい?」


 果竪もうんうんと頷いていた。


「そうですね、百合亜ちゃんが一番仲が良いのは修羅君です。だって、修羅君の隣に居る時が一番柔らかい雰囲気です」

「……そ、そうかな」

「とりあえず、良かったなと言っとく。あと、話戻していいか?」


 一応祝福の言葉を向けつつ、明睡は修羅に話しかけた。


「ん?」

「だから、果竪の術が成功って話だよ。何処が成功なんだ」

「いや、だってマッスル林檎だろ? 普通の林檎があんな筋肉質のマッスルボディーになったんだよ? あれはしっかりとした成長促進だって」

「……」


 明睡は両手で顔を覆った。

 しかし、すぐにある事に気付いた。


「はっ! もしやあの術をかけてもらえば、俺も筋肉ムキムキにっ」

「アレハヤサイヤクダモノシカキキマセン」

「なんで片言なんだよ」


 果竪は真顔で拒否った。


「いいからかけろっ!」

「ヤダ!」


 明睡の無理強いに果竪は断固拒否した。


「林檎のムキムキは良いけど、明睡のムキムキはヤダっ」

「ヤダっ?! お前、産まれてから今まで筋肉を求めても無駄だった俺の悩みを一言で拒否るんじゃねぇよ! やれっ」

「私のは大根限定だもんっ」

「大根じゃなくて林檎をムキムキにしただろっ」


 嫌だと騒ぐ果竪に詰め寄る明睡。いつもより壮絶に色っぽい。色香の無駄遣いである。というか、あの色香の前で平然と嫌だと拒絶出来る果竪は偉大だった。

 が、困った男だと溜息をつける小梅も凄いし、苦笑する涼雪もやはり凄かった。


「礼は十分してやる」

「いらない」

「欲しいものなら何でも手に入るぞ?」


 明睡が本気で望めば、彼の為に全力で彼の望みの代物を差し出す者達は腐るほど居る。しかし、果竪はぶんぶんと首を横に振った。


「欲しいものは自分の手で手に入れるものよっ」


 勇ましい口調。

 ダンッと腰に手を当てて仁王立ちしての宣言。


 明睡だけでなく、修羅もキュンっと来た。


「それに、私の術は不安定なんだからダメ! 危険だものっ」


 それは分かっているのか。


「だが--」

「それに明睡、今の時点で筋肉あるじゃない」

「ねぇよ!」

「いや、明睡の筋肉は目立たないだけだよ。ほら、無駄のない綺麗な筋肉だから目立たないだけだよ」


 綺麗なのに目立たないとはどういう事か。


「自然な筋肉とか実用的な筋肉っていう奴だから」

「そんなに筋肉があるのに、俺は男に追いかけ回されるのか?」


 沢山の男達が明睡を『女』として認識し、囲おうと狙ってくる。


「俺は逞しくなりたいんだよっ」

「元々逞しいですからもう十分かと」


 涼雪の言葉に、明睡は固まった。


「そうよ、そんな筋肉隆々にならなくても良いじゃない。そのままで十分よ」

「今のままの明睡が好きだからそのままで良いよ」

「僕は? 僕の事はどう?」


 修羅が負けじと聞けば、果竪、小梅、涼雪の三神は口を揃えて言った。


「好きだよ」

「嫌いなら一緒に居ない」

「大好きです」


 修羅は嬉しそうに笑った。それは、年齢相応の少年らしさを含んだものだった。







 萩波の軍は、『華原平原』と呼ばれる場所に駐屯していた。

 ここから先に行く為の許可待ちをしている為である。


 この先--『平原』から少し言った先に、『泰平国』と呼ばれる国があった。その国は、この暗黒大戦の中でも、国としての機能が成り立っている国だった。

 国の規模は中程度だが、神力操作に秀でた者達が多く、術者を多く抱える国でもあった。


 一応、中立派の立ち位置ではあるが、裏では革命軍寄りである事は諜報活動から情報を得ており、こうして国を通る為の許可を申請しているのである。

 もちろん、許可を出せば向こうは天帝軍に目を付けられる。しかし、既に天帝軍もこの国に数々のイチャモンをつけており、国の中では正式に革命派を謳おう--という声が上からも下からも出ていると聞く。


 後は、王や上層部の今後の行動次第であるが。


 そしてその行動がそろそろ実行に移されると聞き、萩波は軍を率いてきた。彼等がこの国を通る事が、その宣言にも繋がる。

 しかし、前もってやりとりをしていた宰相から「すまん、少し時間がかかるかもしれない」と言われたのは、この『平原』に辿り着いた頃の事だ。

 今から十日前に、その報せを受けた。


 これには、すんなり事は進むと思って居た者達は「話が違うのでは?」と困惑したが、実際に軍を率いる萩波は「そういう事もあります」といつもの笑みを浮かべて受け入れた。


 国の根幹にも関わる事だ。

 そうすぐには事は進まないと萩波は落ち着いた調子で言い、古参メンバー、またはそれに準ずる者達も同意した。

 彼等が納得しているならと、それ以外の者達も受け入れ、その後『平原』に留まり続けている。


 物資の補給は、秘密裏に『泰平国』から行われているので問題無い。それに、もし天帝軍が襲ってきても、返り討ちにするにしろ、逃げ出すにしろ、この『平原』は動きやすかった。


 それに、最近は常に進軍を続けていた為、少し休む時間も必要だと萩波から言われれば、軍の者達も「そうかな……」と言うしかなく、今では結構くつろいでいたりする。


 普段は出来ない事に着手する者達も居た。


「ん~~」


 果竪は大根の種に術をかける。


「……」


 種は見事な大根と化した。


「完璧だわ」


 そして次に、林檎の種に術をかけた。




 シュタタタタタタタタタ



「ぎゃあぁぁぁぁっ! ムキムキマッスル林檎が襲撃してきたああぁぁっ」

「ひぃぃ! 何あの化け物っ!」

「化け物、化け物が来たわぁぁぁぁっ!」


 なんか全力で素晴らしい完璧なフォームで走る、まるで林檎のかぶり物をしたかの様な逞しいムキムキボディビルダー林檎が駐屯地を走り回っていた。


 Tバック一枚しか身につけず、その惜しみないムキムキマッスルをこれでもかと誇示するかの如く走る林檎の姿に、古参メンバー達、そしてそれに準ずる者達でさえ恐怖に戦いた。


 しかもあの筋肉量に対して、とんでもなく足が速い。


 それが全力で迫ってくるのだ。


「あ--」


 その進行方向先に、涼雪が居た。

 彼女は洗濯物の入った籠を抱えたまま、向かってくる林檎を見つめた。

 林檎はそのまま涼雪に。


「死ね」


 ドゲシ--という変な音を立てて、林檎は吹っ飛んだ。ボディービルダーでも唯一鍛えられない、男の繊細な部分に一撃を入れられて。


「まあ、明睡様」

「相変わらず鈍くさいなお前はっ! お前のせいで、あんな変なのに触らなきゃならなかっただろっ! (怪我が無くて良かった。もしお前に何かあったと思ったら俺は生きていけない。お前の為なら、あれを蹴り飛ばすぐらいわけがない)」


 明燐は兄の言いたい事が分かった。彼女はたった一神の兄の言葉をそれは正確に意訳した。しかし、その意訳を涼雪に伝えるには距離がありすぎたし、あの恥ずかしがり屋の兄がそれを許すとも思えない。

 だから、明燐はどこか黄昏れた瞳で彼等を見つめていた。


「相変わらずだよね、あの二神も」

「相変わらずなのは明睡だけでしょ」


 朱詩と茨戯が呆れた様に明燐の側に立って、やはり明睡のツンデレツンツンな発言に呆れていた。


「お兄様は奥手なのです」

「喧嘩売ってるようにしか聞こえないよ」

「お兄様はツンデレなのです」

「そのうち、涼雪に全力で拒否られそうでアタシ恐いんだけど」


 麗しい美貌の男の娘の容姿を更に引き立てる美しい女物の衣装に身を包んだ茨戯は、本物の女性、いや、王族の妃すら顔負けの優雅さと高貴さを匂い立たせながら溜息をついた。

 その隣では、やはり麗しい清楚可憐で愛らしい美貌の男の娘である朱詩が、疲れたように溜息をついていた。その疲労感すらも酷く色っぽいが、明燐はそれらに当てられる事なく自分の兄を見つめていた。


「というか、普通はシスコンの妹って兄に好きな女性が出来たら嫌がるもんじゃない?」

「心外ですわ、茨戯」


 明燐は茨戯に向かって胸を張った。その際、それは悩ましい胸が誘うように揺れる。


「お兄様は確かに顔も完璧で能力と才能に満ち溢れ、神力も強く、そして中身も完璧ですけど」


 腹黒鬼畜は果たして完璧な中身と言うのか--。


「そんなお兄様を狙う者達はそれはそれは多かったですわ。でも、ロクな者は居なかった」

「いないわね、そりゃ」

「相手の意思を無視して襲いかかる、略奪、拉致監禁する奴らの中に良いのは居ないよね」


 茨戯と朱詩は素直に頷いた。


「ええ。というか、この世にはそういう輩しか居ないとヤサぐれたお兄様。そもそも恋愛に憧れていても、恋愛出来る対象なんてこの世には居ないと思っていたお兄様。そんなお兄様が恋をしたのです! しかもやはりお兄様ですわ。とても見る目がありましたもの」


 そりゃそうだろう--と茨戯と朱詩は思った。


 彼等からしても、涼雪は優良物件だ。


「しかも、お兄様の危機を何度も救う涼雪。にも関わらず、その事について何の見返りも求めず、お兄様を一神の神として尊重して下さる涼雪」

「尊重は良いけど、何度も涼雪に危機を救われてる明睡って」


 それも年下の少女に助けられる、うちの軍のナンバー2。


「という事で、お兄様には是非とも涼雪をゲットして貰わなくては」

「という事でって、かなりはしょったな」

「結局、シスコン妹の明燐は涼雪が兄の妻になっても良いって事なのね」

「当り前ですわ!」


 明燐は力強く頷いた。


「私、涼雪が大好きですもの」


 彼女は明睡が明燐を最優先にしても何も言わなかった。自分達兄妹の絆と関係をそのまま受け入れてくれた。

 誰もが嫉妬し、自分達を引き裂こうとする中で。


 それに、兄の幸せは明燐の幸せ。

 あの兄が好きになったというだけで、明燐にとって涼雪は好きになるだけの相手だ。だが、それ以上に明燐は涼雪を友達としても好きだった。


「お兄様の為に、特性の媚薬を手に入れないと」

「それ身体から始まる関係」

「どこから始めさせる気よ。あと、涼雪はまだ十二なんだからね、まだ手を出したら犯罪なんだからね」

「唾ツケは」

「ダメ」

「ダメよっ」


 明燐は思わず舌打ちをした。が、そんな明燐の耳に泣き声が聞こえてきた。


「はっ! 果竪っ!」


 離れた所で、いつの間にか明睡が果竪のお尻を叩いていた。果竪があのムキムキマッスル林檎を作成したらしく、そのお仕置きを受けていた。


「なんて羨ま--いえ、果竪のお尻は叩くものでなく愛でるものですっ!」


 そのまま彼等に駆け寄る明燐の後ろ姿を見送りながら、朱詩と茨戯は思った。


「愛でるものって、何?」

「とりあえず、あの子が言うと全部エロティックに聞こえるんだけど」

「聞こえるも何も、そもそもエロいよ、あいつは」

「……」




「だから、ムキムキ林檎を作るなって言っただろっ!」

「ごめんなさぁぁぃぃいいいっ」


 駐屯地に悪夢をもたらしたマッスル林檎の作成者は、泣きながら謝った。因みに、明睡もかなり加減してお尻を叩いていた。

 だから、それほど痛くは無いのだが。


「お兄様! 果竪のお尻は叩くものではありませんっ! 撫でて愛でるものですっ!」

「俺がやったらタダのロリコンだろっ」


 お尻叩きは果たしてどうなのか?とツッコムものは居ない。


「明睡様、果竪ちゃんも反省してますからどうかそれ位で」


 涼雪は何とか果竪の減刑を求めていた。元々、涼雪はそれ程迷惑をかけられていなかった。例え、マッスル林檎が涼雪に向かって走ってきたとしても。


「この前も反省してるって言ったのに、同じ事をしたよな?」

「作ろうと思って作ったんじゃないもん。私が作りたかったのはムキムキマッスル大根だもん」

「同じだっ」

「林檎と大根は全然違うよっ」


 そういう問題じゃない。

 問題では無いが、それを突っ込める古参メンバー達やそれに準ずる者達は遠巻きにしながら近づいては来なかった。


「とにかく、お前には術の才能が無い。練習止めろ」


 明睡は冷酷に言い放った。

 しかしそれは果竪の為でもある。


「ヤダ」


 だが、それぐらいで止めるような果竪では無い。普通の神なら、即座に従ってしまいそうな威圧感にも真っ向から立ち向かう。


「ヤダじゃない、危険だ」

「練習したら大丈夫」

「練習の段階で実害を出してるだろっ! 絶対に、しばらく魘される奴らが出てくるからっ」


 確かに古参メンバー達やそれに準ずる者達の神経は図太く、鋼の精神と打たれ強い心を持ってはいるが。

 それでも、あの林檎の前には歯が立たない。


 明睡と果竪はしばし睨み合った。

 最初に動いたのは果竪だった。


「……明睡の馬鹿っ!」

「果竪っ」


 果竪が泣きながらその場を走り去る。


「お兄様、酷いですわ! 果竪が何をしたと言うのですかっ」


 マッスル林檎を作って、目撃した者達の心に深い傷を与えた。


「果竪はあんなに頑張っていると言うのにっ」


 頑張った結果、実害を軍に与えまくった。


「……あいつは守られていれば良いんだ」


 むしろ何もせずに守られていて欲しい。その方が実害が少な--いや、自分達にとってはこの上なく良い。

 それに、術なんて使えなくて良いのだ。そもそも戦わせないのだから。


 --昔ならいざ知らず、今、果竪を危険な場所に放り込もうとする輩は居ない。萩波の後ろで守られていれば良いのだ。


「明睡様」

「……涼雪」

「果竪ちゃんは、少しでもみんなの役に立ちたいんです」


 涼雪は、相手が明睡でもたじろぐ事なく真摯に訴えた。


「それに、あんな素敵なマッスル林檎が現れたらきっと相手も恐れ戦いて逃げ出すと思いますよっ」

「あんなのをうちの軍が飼っていると思われたら恥だ」


 確かに凄まじい生物兵器だ。夢に絶対に出てくる。


「恥、ですか」


 悲しそうに俯く涼雪に、明睡は我に返った。


「いや、その、恥というか--まあ、褒められたものではないし、何よりも敵方に果竪が馬鹿にされかねない」


 あんな、恐ろしい物を作った--そう、恐ろしいものだ。


「いや、馬鹿にではなくて危険視されるかもしれない、いや、絶対にされる。そうなったら、果竪は第一級の排除対象として狙われ」

「既に第一級の排除対象です」

「だよね~」


 涼雪の言葉に、小梅がこくこくと頷いた。


 萩波の軍は、古参メンバーやそれに準ずる者達の大半が美形揃いである。それも、極上級の多種多様な美形集団だ。しかも、とんでもなく優秀だし、強い神力の持ち主達である。戦闘能力やセンスだって桁違いだ。

 だが、大半と言ったように、全部が全部美形でも優秀でも無い。平々凡々な容姿や才能の持ち主達は居たし、神力がそれ程でもない平均以下の者達も居た。


 涼雪、小梅、そして果竪はそれに当てはまる。

 特に三神は、全てが平均以下だった。


 容姿は何とか並だが、神力も、戦いに関する才能その他も涼雪達は秀でた部分が無い。


 ただ、彼女達は同じ様な者達の中に居るならば許されただろう。しかし、萩波の軍の美形集団を拉致監禁しようと虎視眈眈と機会を窺う者達、また羨望と憧れの眼差しを向ける者達は、そんな平凡又は平均以下の者達が萩波達の様な美しい者達の側に居る事を嫌った。

 いや、憎んでいると言っても良い。


 あの様な美しい者達の側に、汚らわしい者達はいらない--そう豪語し、側に居る平凡又は平均以下の者達を排除しようとする。


 それこそ、命ごと排除しようとされるのもいつもの事だった。


「……いや、その」


 その排除の動きは、たぶん、いや、きっと彼等彼女達が萩波達の側から--美しく優秀と謳われる古参メンバーやそれに準ずる者達から離れれば無くなるだろう。


 そう、離れれば良いのだ。

 引き離せば良いのだ。


 分かっている、分かっているのだ。


 でも……誰も、それをしようとはしなかった。いや、出来なかった。


 そうして、ここまでずるずると来てしまった。


「……果竪ちゃんを追いかけますね」

「涼雪」

「後できちんと果竪に謝るんだよ!」


 自分よりも年下の少女達に言われ、明睡は項垂れた。そんな明睡の肩を、修羅が叩く。


「愛が伝わらないって悲しいよね」

「……」

「こ~んなに好きなのにね」

「……」

「そもそも僕も--ていうか、古参メンバーもそれに準ずる美形集団って呼ばれる奴らは基本的に好き嫌いが激しいし、嫌いな奴は側にも寄りつかせない。好きの範囲がとんでもなく狭いからね」

「……」

「そもそも、根本的に自分以外は信用しない奴らだったし、究極の神不信。だよね? お仲間さん」


 修羅はガバリと後ろから明睡の首に腕を回すようにして飛びつく。しかし、明睡はその衝撃にも微動だにしない。


「誰も信用しない、自分以外--明睡みたいに妹とか兄弟姉妹及び身内や、ごく少数の信用出来る奴以外は全部敵。そうやって生きてきた僕達がね」

「……おかしいか?」

「おかしいよ。でも--嫌じゃ無い」

「……」


 修羅はカラカラと笑った。


「僕はこの軍に拾われて始めて安心して眠れるようになった。百合亜と旅をしていた時は常に気を張っていたからね。油断した隙を突かれて、もし百合亜に何かあったら--そう思うと、満足に寝ることも気が休まる事もなかった。当然、他の奴になんて気を許せなかった。なのに、ねぇ?」


 修羅は明睡の耳元で囁く。


「友神、親友、仲間--ねぇ、そんな関係を受け入れ築くなんて思いもしなかった。そしてそれに心地よさを覚えている自分にも驚いてるよ。それが嬉しいとか思うなんて……信頼って言うのかな?」

「さあな?」

「命を預けても良い--そう思える仲間が手に入るなんて思わなかった。まあ、今もこっちを拉致監禁しようとする奴らは掃いて捨てる程居るけど--」

「……」

「昔よりずっと良い」


 それはどこか嬉しそうな口調だった。


「そしてさ、大切な物なんて百合亜以外いらないって思ってたけど。でも、手に持ちきれないぐらい増えてる今の方が、嬉しいと思うんだよね、僕」

「……」

「大事。とっても大事。主君である萩波も、仲間達も、百合亜は特別だけど--古参メンバー達、それに準ずる者達、あと一般的に言われる美形じゃなくても、強い力や才能を持っていない子達の事も」

「……そうだな」

「まあ僕達が言うと嫌味にしか聞こえないけど--容姿とか、才能とか能力とか、神力とか。僕達からすればそんなものはどうだって良いんだ。むしろ飛び抜けたものを持っていたが為に、僕達は地獄に落されてきた。そんなもの、僕達を幸せになんてしてくれなかったじゃないか」


 修羅の言葉に、明睡は小さく溜息をついた。


「なのに、そんな風に僕達を地獄に突き落としてくれた奴らと同じ様な思考の馬鹿達は、果竪達が僕達の側に居るのを嫌がる。ふざけるなって話だよね? なんで、そんな奴らに決められなきゃならないの? しかもさ」


 修羅の赤く濡れた唇が、明睡の耳に近づき、その白く滑らかな肌を赤い舌が舐め上げた。


「数多くの罵倒と嘲笑、揶揄、そして実力行使での排除行動の数々のせいで、すっかり果竪達は萎縮しちゃってる」

「……」

「それだけならまだ良い。でも、果竪達--ううん、みんなは」


 平凡又は平均以下の古参メンバー、又はそれに準ずる者達は。


「……だよねぇ?」

「……ああ」

「許せないよね?」

「……ああ」

「あいつらのせいで、今ではいくら好きだっていったって冗談としか思われない、通じない--まあ、果竪に関しては完全たる僕達自身の自業自得だけど。でも、果竪以外の子達に関しては、ね」


 明睡は大きく溜息をついた。


「まあこれ以上落ちる所はないぐらい、果竪に対しては僕達の印象は最悪だけど--」


 修羅の声が止まる。

 明睡は、近づいてくる気配の方へと顔を向けた。


 パタパタパタとこちらに走ってくる果竪が見えた。手には、支給されたおやつが入った袋がある。明睡と修羅が好物のそれは、残念ながらあまり出されない代物だ。


 果竪は三神分のおやつの入った袋を持って明睡達の所に来ると、お菓子を三神分に分ける。どうやら、元から分ける為に三神分貰ってきたらしい。


 涼雪と小梅はどうしたのか?と聞けば、途中で他の神の手伝いで別れたらしい。


 泣いた子がもう笑った--と言う感じで、果竪はさっきまでの言い合いを忘れたかの様に、おやつを分ける。

 が、どう考えても、果竪の分が少なすぎた。


「お前、おかしいだろ」

「何が?」


 果竪は自分の分をぺろりと食べ終える。そんな果竪に溜息をつきながら、明睡はその隣で支給されたお菓子を食べる。修羅も好物のお菓子を既に頬張っていた。


「あと、これもあげる。涼雪ちゃん手作りのパイと、百合亜ちゃん手作りの饅頭」


 内緒と彼等の想い神の手作りお菓子を分け、果竪はピョンっと立ち上がる。そして「またね~」と手を振って去っていった。


「……これ、涼雪と百合亜の手作りなんだ」

「ああ」

「これって、女の子にだけ特別の分だよね」

「ああ」

「果竪って、こういう所に気が利くというか何というか」

「ああ」

「普通、あんだけの事をされた相手に分けないよね。あと、あんな風にニコニコとしながら来ないよね」

「ああ」

「というか、基本的にあれだけの事をされたら、絶対に泣いて拒絶するし、憎まれるし、恨まれるし……だと思うのは僕だけかな?」

「俺もそう思う」

「なのに、なんで普通に接してくれるかのなぁ……果竪って」


 修羅の疑問に、明睡はこう答えた。


「馬鹿なんだろ」

「それ以上言ったら僕がお前を潰すよ?」

「出来るならな。あと、超特大級の馬鹿じゃなきゃ、絶対に無理だ。これだけは譲らない」


 そう--馬鹿。

 馬鹿でなければ、こんな風に接してなんてくれない。

 それだけの事を、そんな許されない事を自分達は果竪にしたのだ。

 沢山傷つけた。

 心も体も、沢山、沢山--。


「僕達が構うと、嬉しそうにするよね」

「……」

「でも、本当に嬉しいのは、僕達の方なんだ」


 修羅は静かに言った。


「でも忘れちゃダメだよ。だって僕達は--罪神なんだから」

「……ああ」

「僕達は、許されない事を果竪にしたんだから。例え何があっても、その罪は消えない」


 嫉妬、憤怒、怨嗟、憎悪--。


 果竪には一つも非が無いのに、勝手に自分達が幼い少女に嫉妬し、怒り、妬み、怨み憎んだ。そして彼女に対して行った仕打ちは……自分達を何度殺しても殺したり無い程、酷いものだった。



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