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メリーゴーランド

「そんなに並んでいませんよ」

「大の大人があれは少し恥ずかしい」

いろんな人がぶつぶつと色々言っている。それを聞くと、少し嬉しくなる。

「私は姫ちゃんと乗るわ! いい?」

「はい」

玲音さんはなんというか、予想通りというか、楽しみにしているみたい。それはそれで構わないけど。

「空きました。行きましょう、メリーゴーランド」

「姫ちゃん、こっちこっち!」

いつの間にか玲音さんは乗る場所を決めていた。そして、私を手招きして呼んでいる。私は走って玲音さんの元へ向かう。皆は渋々という感じで、それぞれに乗っている。ついに動き出した。

「二人乗りっていいですね。私、一人でしか乗ったことなかったので」

「本当に。私は姫ちゃんと一緒で嬉しいわ」

と、玲音さんはにっこり笑った。

「……」

「どうしたの? 顔、赤いよ」

玲音さんはそう言って、私の顔を覗きこむ。私はどんどん顔が熱くなっていく。いつの間にか玲音さんは、悪戯っぽい笑みを浮かべている。逃げようにも、乗り物でしかも動いているから、逃げられない。

「ふぅ。姫ちゃん、今はメリーゴーランドを楽しみましょう」

そう言って、距離をとってくれた。私は、気まずさからそっぽを向く。玲音さんを直に見られない。結局、そのままメリーゴーランドは動きを止めた。

「恥ずかしかった」

「でも、久しぶりで楽しかったかもしれない」

「ですね。でも、やっぱり恥ずかしかったです」

皆、口々に感想を述べている。私は、ドキドキして、楽しさをあまり味わえなかった。最初は楽しかったけど。

「姫華さん、次はどうしますか?」

「次は……皆さんが乗りたいものってありますか?」

そう言うと、それぞれ考え込む。すると、シンさんが思い付いたのか、ぱっと明るい表情を見せる。

「いいこと考えた。観覧車に乗ろう」

「観覧車ですか? でも……」

でも、観覧車は皆一緒には乗れない。いったいどうするんだろう。

「だから、姫華ともう一人で乗る。一周、二十分くらいだから二十分交代で乗る」

「つまり私は、観覧車に六回乗るという……」

うん、とシンさんがうなずく。二十分も密室で二人きり……色々とまずい気が。変な意味じゃなく、私の心臓が持つかどうか。最近は皆といるとドキドキするっていうか、あの日から皆の存在が少し変わった気がする。だから……緊張する。

「姫華と乗っているときは、アピールタイムってことで。じゃあ、行こう」

皆、大賛成している。これに関しては、文句を言えず渋々ついていく。観覧車はカップルらしき男女でいっぱいで、余計に緊張する。

「まずは、誠一郎から。次に蓮、晃司、僕、僚、玲音の順番ね」

最初は佐々木さんだった。私は、彼と二人で観覧車の前に並んだ。その間、皆はそれぞれ時間を潰すらしい。緊張するけど、頑張ろう。そして、観覧車に乗り込んだ。

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