表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/128

遊園地2

休憩をとってから、ジェットコースター巡りをした。皆はキツかったみたいで、一人ずつ交代で私とジェットコースターに乗った。そして、最後のジェットコースターには、玲音さんと乗った。

「玲音さんは大丈夫ですか?」

「ええ。ジェットコースターは大好きだから」

そう言って、乗り場に向かう。最後のは人気アトラクションらしく、長蛇の列ができていた。

「結構かかりそうね」

「はい。玲音さんはいいんですか? 待っても」

「もちろんよ。言ったでしょ、好きだって」

列の最後には、待ち時間約三十分、の文字が書かれたプレートが立っていた。私たちはそこに並ぶ。他の人は分かっていたみたいで、園内のカフェテリアで待つと言っていた。まさか、ここまでとは思わなかった。これは、超がつくほどの絶叫マシーンだと言う。それを聞いてからは、楽しみでしょうがなかった。本当に中身は子供だなと思う。外見も、そうかもしれないけど。

「そうだ、姫ちゃんの世界ってどんなのだったの?」

「へ!?」

突然話を振られて可笑しな返事をしてしまった。恥ずかしい……

「えっと、こことあまり変わりません。生活はかなり変わりましたけど」

「そうなの? そうだ、学校は通っていたの?」

学校、その言葉を聞いてドキッとする。通っていたけど、好きじゃなかった。友達はいないし、何より楽しくないから。そう思うと返事が暗くなってしまう。

「はい、一応……」

「楽しくなかったのね。友達?」

「!?」

言い当てられて、何も言えなくなる。この話を人にしたことはないから、何を言えばいいのか正直、分からない。それを察したのか、玲音さんは話題を少しそらした。

「私もね、学校はあまり好きじゃなかったわ。小さい頃からこんなだったから、いじめも受けていて」

と、遠い目をして話始めた。

「本当に、いじめばかりで学校に行くのが嫌だった。でも、家が家だし行かないといけなくてね。そんなとき、皆に会ったの。皆は私と普通通りに接してくれて、それがただ嬉しかった」

その話を聞いて羨ましいと思った。私は、本当に一人だったから。でも、辛いとか寂しいと感じたことはなかった。家族がちゃんといたし、毎日ゲームをしていたから。でも、学校は嫌いだった。一人でいるだけで文句を言われて、遠巻きにされて嫌だったから。文句はいい。けど、陰口って言うのが気にくわなくて、学校にいるときは毎日ピリピリしてた。

「今、一緒にいるのはそれが大きいかな。皆、すごく優しいから」

「玲音さんもすごく優しいです!」

気づけば、必死にそう訴えていた。自分は違う、そう言っているように聞こえたから。

「私は、皆さんに出会ってから変わりました。人と交流を持つようになったんです。玲音さんも優しいです。その優しさに何度救われたことか」

「本当に? 心からそう思っている?」

私は、玲音さんの目をしっかり見てから、うなずく。すると、花が綻ぶような優しい笑顔を見せた。

「ありがとう。もうすぐ乗れるわよ!」

玲音さんに言われて、前を見るといつの間にか次になっていた。歩いた記憶があまりなかった。後ろを見ると、相変わらず長蛇の列で……時間の経過があっという間に感じた。

「次の方!」

係員の声で私たちは席につく。話したことでなんか、心がすっきりした。そして、ジェットコースターが動き始めた。

そこからはあまり覚えていなくて、ただ楽しかったとしか覚えていない。でも、玲音さんの意外な一面が見られて良かった、そう思いながら私たちは皆の待つ、カフェテリアに向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ