遊園地2
休憩をとってから、ジェットコースター巡りをした。皆はキツかったみたいで、一人ずつ交代で私とジェットコースターに乗った。そして、最後のジェットコースターには、玲音さんと乗った。
「玲音さんは大丈夫ですか?」
「ええ。ジェットコースターは大好きだから」
そう言って、乗り場に向かう。最後のは人気アトラクションらしく、長蛇の列ができていた。
「結構かかりそうね」
「はい。玲音さんはいいんですか? 待っても」
「もちろんよ。言ったでしょ、好きだって」
列の最後には、待ち時間約三十分、の文字が書かれたプレートが立っていた。私たちはそこに並ぶ。他の人は分かっていたみたいで、園内のカフェテリアで待つと言っていた。まさか、ここまでとは思わなかった。これは、超がつくほどの絶叫マシーンだと言う。それを聞いてからは、楽しみでしょうがなかった。本当に中身は子供だなと思う。外見も、そうかもしれないけど。
「そうだ、姫ちゃんの世界ってどんなのだったの?」
「へ!?」
突然話を振られて可笑しな返事をしてしまった。恥ずかしい……
「えっと、こことあまり変わりません。生活はかなり変わりましたけど」
「そうなの? そうだ、学校は通っていたの?」
学校、その言葉を聞いてドキッとする。通っていたけど、好きじゃなかった。友達はいないし、何より楽しくないから。そう思うと返事が暗くなってしまう。
「はい、一応……」
「楽しくなかったのね。友達?」
「!?」
言い当てられて、何も言えなくなる。この話を人にしたことはないから、何を言えばいいのか正直、分からない。それを察したのか、玲音さんは話題を少しそらした。
「私もね、学校はあまり好きじゃなかったわ。小さい頃からこんなだったから、いじめも受けていて」
と、遠い目をして話始めた。
「本当に、いじめばかりで学校に行くのが嫌だった。でも、家が家だし行かないといけなくてね。そんなとき、皆に会ったの。皆は私と普通通りに接してくれて、それがただ嬉しかった」
その話を聞いて羨ましいと思った。私は、本当に一人だったから。でも、辛いとか寂しいと感じたことはなかった。家族がちゃんといたし、毎日ゲームをしていたから。でも、学校は嫌いだった。一人でいるだけで文句を言われて、遠巻きにされて嫌だったから。文句はいい。けど、陰口って言うのが気にくわなくて、学校にいるときは毎日ピリピリしてた。
「今、一緒にいるのはそれが大きいかな。皆、すごく優しいから」
「玲音さんもすごく優しいです!」
気づけば、必死にそう訴えていた。自分は違う、そう言っているように聞こえたから。
「私は、皆さんに出会ってから変わりました。人と交流を持つようになったんです。玲音さんも優しいです。その優しさに何度救われたことか」
「本当に? 心からそう思っている?」
私は、玲音さんの目をしっかり見てから、うなずく。すると、花が綻ぶような優しい笑顔を見せた。
「ありがとう。もうすぐ乗れるわよ!」
玲音さんに言われて、前を見るといつの間にか次になっていた。歩いた記憶があまりなかった。後ろを見ると、相変わらず長蛇の列で……時間の経過があっという間に感じた。
「次の方!」
係員の声で私たちは席につく。話したことでなんか、心がすっきりした。そして、ジェットコースターが動き始めた。
そこからはあまり覚えていなくて、ただ楽しかったとしか覚えていない。でも、玲音さんの意外な一面が見られて良かった、そう思いながら私たちは皆の待つ、カフェテリアに向かった。




