告白1
私とは縁のないもの。聞き間違いかと思い、もう一度問う。
「あの、今何て……」
「だから、君のことが好きだ。ずっと前から、伝えようと思っていた」
そんな。聞き間違いじゃなかった。私は、玲音さんに告白されたのだ。でも、そんなのあり得ない。第一、人に好かれるような人間じゃない。だって、友達もできなかったくらいだ。乙女ゲームの世界で主人公であろう私がそうなるのは納得できる、けど、選択肢も何もなかった。
「今すぐ返事をしなくてもいい。じゃあ、また」
「……」
玲音さんは私をまっすぐに見てそう言い、家の中に戻っていった。私は、その場に立ち尽くしていた。
落ち着いてから、私も家の中に戻った。今、他の人に会うとまずいと思った私は、急いで自分の部屋を目指す。誰にも会わずに部屋の前に着いた。ドアノブに手をかけたときだった。
「姫華さん、今いいですか?」
「あ、雪川さん……はい」
雪川さんに言われて、部屋の中に入る。さっきのこともあって、平常心が保てない。気づかれないように、何度も何度も繰り返し、深呼吸する。すると、雪川さんは話始めた。
「いきなり、こんなことを言われても困るかもしれませんが……姫華さん、私は、あなたのことが好きです」
「!?」
今、何て。好き? 雪川さんが私の事を?
「困らせているのは承知しています。でも、落ち着いてから、ずっと伝えようとしていました」
彼の言葉でやっとのことで落ち着いた気持ちが、ぶり返してきた。彼を直視できずに、うつむく。色々な感情が混ざりあって、心がぐちゃぐちゃになる。気を抜くと、涙が出そう。下を向いていると、さらに、だ。でも、上を向けなかった。すると、
「今すぐにとは言いません。考えていてください。それでは、失礼します」
そう言って、雪川さんは部屋を出ていった。二人の人に告白されて、何をどうしていいのか分からない。返事はすぐにしなくていい、その言葉で少しは救われたけど、返事をするのはつらい。私の好きな人は誰だろう。そう考えずにはいられなかった。
そのまま、夕食をむかえたが、雪川さんと玲音さんはいつも通り、私に接してくれた。私は、そんなに器用じゃないから、いつものままができなかった。特に何事もなく、食事が終わり、部屋で物思いに更けていた時だった。ドアをノックする音が聞こえた。急いでドアを開ける。
「あ、シンさん。どうしましたか?」
「……」
私が問っても何もしゃべらない。心配していると、急に話始めた。
「僕は、お前のことが好きだ。返事は急がなくていい。じゃあ、また」
一言、二言しゃべって、どこかへ行ってしまった。彼の言葉で今日三度目の動揺する気持ちがぶり返してきた。
「そんな……」
私は、内側のドアノブに手をかけたまま、固まった。何も考えられずに、シンさんが立っていた辺りから目が離せなかった。




