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気持ち

「違います……月野さんは、恨みだけの人じゃありません」

「何、今の話聞いて同情した?」

そう言って、月野さんは私を睨み付ける。怖い、けど、ちゃんと伝えたい。私は、精一杯気持ちを伝える。

「月野さんは私と一緒にいるとき、優しい目をしていました。皆の話をしているときも同じように」

「……」

沈黙が続く。自分が言い始めたことなのに、逃げ出したい。震える手を押さえて話を続ける。

「恨みだけの人ならあんな優しくありません。たとえ、あの優しさが嘘だとしても、すべてがそうじゃありません」

「なにも分からないくせに、勝手なことを言うな!」

「分かりません!」

私の声が部屋中に響き渡る。そのせいで、場がしんと静まり返った。悔しい、友達なのに気づいてあげられなかった。苦しみを一人で背負わせてしまった。自分ばかり言い思いをして、人の心の闇に気づけなかった。たった数ヵ月の付き合いだけど、確かに絆というものは存在していた。

「そもそも、人の気持ちが他人に分かりますか? 私は、嬉しかった。友達になろうと言ってくれたとき、悩んでいるときに話を聞いてくれたとき」

言葉が溢れてくる。ただ悔しくて、無力な自分が嫌になって。このまま月野さんの心に闇が残り続けるのが嫌だった。

「私は、月野さんに話を聞いてもらったとき心が軽くなったんです。一緒に悩みを抱えてくれました。今度は私の番なんです」

「……」

「月野さんは私の大切な友達なんです! 自分を追い詰めないでください。十分苦しんだんです。もう、月野さんが苦しむ必要はないんです……」

涙が溢れてきた。言葉を発すればするほど胸が苦しくなって、目尻が熱くなって。自分でも何を言っているのか分からなくなった。涙で視界がぼやけて、皆がどんな顔をしているのか分からない。すると、

「本当に似ているよ。楓と姫華さんは」

「え……」

「君だけは苦しめたくないって思っていたのに、かえって苦しめていたんだね。ごめん」

さっきよりも語気が弱まっている。月野さんはいつも通りに戻っていた。

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