裏切り
どうしてここに……
「月野さん」
「姫華さん、手荒な真似をして申し訳ありません」
この状況からして、すべてはこの人が首謀者なのだろうけど、なぜ。なぜ、こんなことをするのだろう。
「なぜという顔をしていますね」
考えていることを見抜かれた。そして、いいでしょう、と訳を話始めた。
「簡単に言うと私は、財閥を憎んでいるのです。もちろん、すべてを、跡取りたちも殺そうとしました。でも、彼らは子供を手にかけたくないと言った」
さっきの人が言っていたことと同じだと思った。やっぱり、さっきの人は子供が好きなんだろう。そういう目をしていた。月野さんは続けた。
「だから、跡取りたちが大人になるまで待った。そして、時が満ちたということです」
「じゃあ、楓さんも殺そうとしたんですか?」
すると、月野さんは悲しそうな辛そうな顔をした。この様子からすると、楓さんを殺すつもりはなかったと思う。
「楓は、妹だから殺すつもりはなかった。でも、運悪く巻き込まれた」
苦虫を噛み潰したような顔をしている。それはもう、不愉快すぎるとでも言うように。
「彼らには連絡しました。すぐにでも、彼女を助けに来るでしょう」
さっきの人は月野さんにそう言った。すると、月野さんはニヤリとする。怖い。ひょっとしなくても彼らを殺すつもりだ。どうにかして止めたい、けど私みたいな無力な人間には何もできない。それが悔しくて、唇を噛みしめる。
「大丈夫です。あなたを殺すつもりは毛頭ありませんから。安心してください」
月野さんはそう言って、どこかへ行ってしまった。ずっと考える。今までのこと、すると、月野さんに関するほとんどのつじつまが合う。始めて襲われたとき、首謀者なら、居場所を教えられる。攻撃をかわしたようにもできる。そう考えていくときりがない。どうして今まで気づかなかったんだろう。城之崎さんにも、月野さんのことで注意を受けていたのに。
「気づかないんじゃなくて、信じたくなかったのかもしれない。月野さんが、なんて」
ああなった、詳しい理由は分からないけど、何とかして間違いに気づかせてあげたい。そうすれば、すべての人を助けられる。
「俺が言うのもなんだが、あいつは悪いやつだと認識した方がいい。助けようなんて、あまっちょろい考えだと、痛い目に遭うぞ」
私は、この人の言葉に何も言い返せずにいた。




