久方の外出
翌日、佐々木さんからパーティーがあると言われた。だから、すごく楽しみでならない。何せ、久しぶりの外出だ。楽しみにもなるだろう。それにしても、こんな時期に、外出なんかしても大丈夫だろうか、という考えがある。もし、パーティー会場で何かあったら、多くの人に迷惑や被害が出るかもしれない。そう思うと素直に楽しめそうにもないのが実際のところ。私は着替えを済まして、皆のもとへ向かう。
「準備、できました」
「それじゃあ、行こうか」
私たちは早速、車に乗り込み、会場を目指す。割りと近くて、車で十分もかからないくらいだった。
「今日は、特に優秀な警備員たちがいるから大丈夫だよ。思いきり楽しんで」
「はい! 思い切り楽しみます」
佐々木さんの言葉にほっとする。警備が厳重なら、まさか、彼らが入り込むなんてことはないだろう。今だけは忘れてパーティーを満喫することを決めた。
「姫華さんもいらしていたんですね」
「月野さん! お久しぶりです」
本当に久しぶりだ。最後に会ったのはいつだったかな、と記憶の糸をたどっていく。そうだ、あのとき、楓さんのことを聞いたとき以来だ。私が月野さんの妹の楓さんに似ていると言われたんだ。
「あれから大事はありませんでしたか?」
「大事はなかったんですけど、ちょっと色々あって」
すると、ものすごく心配そうな顔をされた。優しいな、月野さんは。でも、なんだろう、違和感がある。私の頭に浮かんできたのは、侵入未遂事件の時のあの聞き覚えのある声。ううん、今はパーティーを満喫するんだった。
「今は問題はないので大丈夫です」
「そうですか。あ、他の方にも挨拶をしてきますね」
そう言って、月野さんは色々な人に挨拶をして回っていた。
「姫ちゃん、楽しんでる?」
「玲音さん! はい、すごく楽しいです」
すると、彼はにっこり笑った。私もつられて、笑顔になる。
「もうすぐダンスが始まるから、楽しんでね」
そう言うと、玲音さんはどこかへ行ってしまった。皆が色々気にかけてくれているのがすごく嬉しい。優しいな、いつもそう思う。本当にどうしてこんなに優しいんだろう。
「あ、電気が落とされた。ダンスだ」
今回はムードが漂うなかでのダンスだ。いつものことだけど、こういうダンスの時は、曲が楽しみでならない。そして、生演奏される曲が流れ始めた。
「これは、ハチャトゥリアンの仮面舞踏会……」
曲が流れ始めると同時に、私は誰かに腕を引っ張られる。
「あの、何ですか」
腕を引っ張っている人は無言で、答えることはなかった。腕を離させようとしても、力が強いせいで離れない。おそらく男の人だろう。男の人……まさか!?
「話してください!」
「静かにしろ」
一言で制された。なんと言っても威圧感がすごい。それ以上何も言えなくなってしまった。そして、そのまま会場の外まで連れ出されてしまった。そして、そこで私の意識は途切れた。




