救いの手
急いで家に戻り、とりあえず人を探す。あの場所からここまでは走っても一分はかかる。厳密に言えば、実質三分しかないことになる。
「誰かいませんか!」
家のなかを走って人を探すが全くと言っていいほど、人気がない。家は静まり返っていて、私の声がむなしく響く。
「誰か!」
皆、出かける予定はなかったはず。家にいるはず、なのに何で誰も返事しないの。走り回っているせいで、息切れがひどい。それに加えて叫んでいるため呼吸が苦しくなってきた。足はもちろん、喉も悲鳴をあげている。
「ハァ、ハァ……誰か!」
早くしないと、間に合わない。お願い、誰でもいいから、来て。誰もあらわれなかった。こうなったら、私が何とかしないと。捕まらなければ大丈夫、それに、これはゲームの世界。主人公が危なくなるところで助けに来てくれる。強く決心し、彼らのもとへ向かった。すると、
「姫華? どうしたんだ、決心したみたいな顔して」
「!? 城之崎さん!」
私は目の前に現れた人物に驚いた。と同時に安心した。ずっと探していた。
「僕たちもいるよ」
佐々木さんや他の皆もいた。今ならまだ間に合う。私は事のあらましを説明する。
「ということになっていて、探していたんです」
「もう、大丈夫。後は僕たちに任せて」
「私も行きます。邪魔にならないようにしますから」
佐々木さんは許しを出してくれた。そして、私たちはあの場所へ向かった。
「とりあえず、今は捕まえないで追い返す」
「分かった。こっちも準備ができていないからな」
皆も異論はないらしく、各自うなずいていく。私も、もちろん文句はない。
あの場所へ行くと、予想通り、柵にはしごをかけていた。
「何をしている!」
すると、これも予想通りの反応を見せてくれた。
「まずい。バレた。行くぞ」
「チッ」
一瞬の出来事で、数秒で彼らは逃げていった。はしごを取りに行った人がいない。それにしても、あの声の主は誰だろう。ここまで来ているのに思い出せない。よく知っている声なのに。なんか、悔しい。皆に聞きたいけど、あいにく声を聞いていない。聞こうにも聞けない。
「なんか、あっけなかったな」
「そうだね。でも、よかったじゃないか」
皆が安心するのが分かった。大事にならなくてよかった。そして何よりも、皆が来てくれてよかった。
「ありがとうございました」
「どうして?」
「皆さんが来てくれて助かったからです」
本当に、皆がいなかったら、今頃どうなっていたことか。そう考えると、彼らは恩人だ。そして、私たちは家に戻った。




