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危機一髪

怖い気持ちを無理矢理押さえ込んで、話に耳をかたむける。

「どうしますか。セキュリティが厳しそうですが」

「そうだな」

「柵のてっぺんに触れなければ大丈夫だと」

セキュリティに柵のてっぺんに触れなければって、まさか、侵入する気!? ここで私が出ていけば侵入しないのかも。でも、万が一捕まって人質にでもされたら、それこそ迷惑がかかる。私が悩んでいるうちも、彼らはお構いなしに話を進めている。

「あの娘を人質にすれば早いんじゃ」

「話、聞いてたか? そのつもりで来たんだろうが」

「そうだよ。彼女を捕まえてしまえば彼らはおしまいだ。気づかれると厄介だから早々に終わらせたい」

物騒な話になっていくのが分かる。それにしても聞き覚えのある声の主が気になってしょうがない。顔を出して見つかったらまずいことは、百も承知だ。だから、そんなことはしない。それよりも、だ。娘と言うのは、十中八九私のことだ。確かに私を捕まえれば、彼らは自由に手出しができない。無論、私じゃなくても、手出しできない。

「どうしよう……」

小さく呟く。こちらからの距離は二、三十メートルくらいあるから、小さい声は聞こえない。つまり、彼らは普通の音声で話している。確かにこの辺は家が近くにないため、他の人に聞かれる恐れは極めて低い。

「どうやって潜り込むか、だな」

「柵のてっぺんに触れなければいいと言っただろう」

何だろう、すごく嫌な予感がする。今の一言が妙に引っ掛かっている。どうしよう、震えが……足の力が抜ける。耐えられなくなった私は思い切り、地面に座り込んだ。もちろん、彼らに聞こえるくらいのカサッという音がした。

「誰かいるのか? 隠れていないで出てこい!」

まずい。バレた。このまま隠れれば、色々とまずいことになりそうだ、と思った私は素直に出ていこうと思った。すると、

「ニャー」

ニャー? 隣の木から猫が顔を出す。

「なんだ、猫か」

「驚かしやがって」

「……」

彼らの気がそれるまで動かずにじっとする。そして、少しして、彼らは再び会話を始めた。

「ふぅ」

何とか乗りきった。そして、

「ありがとう、猫ちゃん」

と言葉の分からない猫にお礼を言った。猫がいなければどうなっていたことか。考えるだけで恐ろしい。すると、再び彼らの声が耳に入る。

「てっぺんに触れないように飛び越える。見たところ、横のラインまでは触れても大丈夫だ」

「つまり、はしごかなんかでそこまで登って、飛び越える、て訳か」

「そうだよ。今から持ってくるから、五分くらいここで様子を見ていてほしい」

そして、彼らの一人は、はしごを取りに行った。五分、そのくらいあれば皆に知らせられる。私は彼らに気づかれないように、皆に知らせに行った。タイムリミットは五分。侵入される前になんとしても、誰か一人でも見つけないといけない。私は一目散に駆けていった。気づかれないようにしながら。


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