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悪い報告

皆のもとへ、早く早くと思いながら走る。どこにいるかもわからず、とりあえず来た道を戻る。もう、足に力が入らない。こういうとき、自分の体力の無さが恨めしい。そして、やっとのことで見覚えのある場所についた。今度は皆を探さないといけない。どこにいるんだろう。とりあえず家のなかで人を探す。すると、誰かが角を曲がるのが見えた。そこに向かって走る。

「……一之瀬さん!」

「どうしたんだ? 息を切らして」

彼は私を見て目を丸くしている。今はそんなことよりも彼らのことを報告しないと。

「彼らが、また何かたくらんでいるみたいなんです。家の近くでそう話しているのを聞いて、それで」

焦りすぎているせいか、うまく言葉が出てこない。それに、息切れもすごくて。

「とりあえず落ち着け。家の近くに彼らがいたんだな」

私はうんうんとうなずく。すると、彼は早急に一人一人に電話をする。

「皆を居間に集めた。俺たちも行くぞ」

「はい」

そして、私たちは居間に向かった。一分もしないうちに全員が揃った。

「姫華、話してくれないか」

一之瀬さんに言われて、さっきのことを話始める。

「実は、敷地内を探索していたら柵の向こうに人影が見えたんです。思わず隠れて話を聞くと、ウイルスの話をしていました」

すべてを話していく。一人の人の声を聞いたことがあって、他の一人の姿は彼らの一人だったこと、何かをしようとしていること。そして話していくうちにみんなの顔は深刻になっていく。最後に佐々木さんがまとめる。

「まだ、何も起きていないようだけど、厳重注意をするように」

皆、しっかりとうなずいて、報告が終了した。彼らを見たことがいいのか、悪いのかは分からない。皆に不安を与えてしまったことは悪い。けど、ある程度体勢を整えられると言う点ではいいと思う。どうしてこう、問題ばかりが起こるのだろう。今回のことがあってまた、皆が笑わなくなるかもしれない。そう考えると、やっぱり探検なんてしなければよかったのかな。

「ありがとう。君のおかげで色々と準備ができる」

「でも、本当によかったのか分からなくて……」

佐々木さんはでも、とさらに重ねる。

「この情報がなかったら、事態がかなり悪くなるかもしれない。だから、いいんだ」

佐々木さんに言われると本当にそんな気がする。彼の言葉で不安が少し薄れた。

「ありがとうございます。じゃあ、私は部屋に戻ります」

私にできることは、皆を信じること。部屋でおとなしくしておこう。下手に動いて迷惑をかけたくはないから。ふと思った。私がこの世界に来てから、成長した気がする。前なら、何かしようとして逆に空回りしていた。でも、今は自分にできることをしっかり把握している。私がいた世界では、こうならなかったと思う。

「帰りたくない」

最近は、本気でそう思うようになっていた。ずっとこの世界にいて、皆と一緒にいたい。

「やっぱり、外を散歩しよう。部屋にいると思考が悪循環になる」

私は再び裏庭に向かう。表の庭ほどきれいじゃないけど、なんだかすごく落ち着く。散歩していくうちにいつの間にか、さっき、彼らを見た場所に来ていた。

「? また誰かがいる……あれはさっきの!」

また、同じ場所に彼らがいた。ここに残れば、何をしようとしているかわかるかもしれない。そして、私は木で身を隠し、彼らの様子を静かにうかがっていた。

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