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日常

翌日、すごくすっきり起きられた。昨日のことで多分、相当疲れていたんだと思う。まだ、朝食の準備をするには早い時間だ。だから、庭に行くことにする。

庭にある花は朝露に濡れていた。そして、次の瞬間、朝日が昇り、朝露がキラキラと輝いた。

「うわー、きれい……神秘的」

こんなきれいな朝は直に見たことがない。写真集とかには載っているけど、実物は比べ物にならないくらいきれい。朝起きて、こんな景色を見られるなんて……ラッキーだ。少しの限られた時間しか見られないから、すぐにその美しさは消えてしまった。

「今の、きれいだったわね」

「!? 玲音さん、おはようございます」

「おはよう」

ビックリした。まさか、玲音さんが、人がいたなんて思いもしなかった。

「玲音さんも見ていたんですね」

すると、彼はニコッと笑い話始めた。

「私の日課なの。毎日、このくらいの時間にここであの景色を見る」

今まで、全く気がつかなかった。もしかすると、あの日、初めて男の姿で会ったときも、これが目的で庭にいたのかもしれない。あのときは気づかなかった。

「毎日、すごいですね。私だったら起きられないと思います」

「まあ、こういうのは慣れよ。さすがに雨の日とか曇っているときは見られない。ああ、あと冬も。冬は凍っているから」

季節限定の、短いほんの数分限りの景色。そう思うと、見たときの感動は大きいものになる。早く起きたら、ここに来ようと決めた。

「昨夜はよく眠れた?」

「はい、安心したからか、すごくよく眠れました」

そう言うと、またニコッと笑い、私の頭を撫でる。久しぶりにこうされた気がする。

「いつか、問題が解決したら、皆でお出かけしませんか? この前は私のせいで台無しになっちゃいましたから」

そうだ、歓迎会をした日に皆で出かけたけど、私が台無しにしてしまった。こうやって思い返すと色々と皆に迷惑をかけている気がする。

「いいわね。片付いたら皆でぱあっと遊びましょ」

久しぶりに楽しい朝を過ごした。いつもより玲音さんの口数が多かった。というか、前に戻った。彼らの件があって、皆も元気がなかったから、安心する。そして、時間になり、私は朝食の準備をしに行った。

「雪川さん、おはようございます」

「姫華さん、おはようございます。元気ですね」

元気よく返事をして準備に取りかかる。今日は何だろう、と楽しみにしながらメニューを見る。

「洋食か。えっと、パンに目玉焼き、サラダ、ポタージュ。美味しそう」

雪川さんが目玉焼きとポタージュを準備するので私は残りの二つを準備する。準備をしていると

「おはよう」

「一之瀬さん、おはようございます。早いですね」

すると、一之瀬さんのあとに皆が集まってきた。今日は皆、早い。もしかしたら昨日のことが原因かもしれない。それもいい意味で。

「姫華さん、これを運んでください」

「はい」

雪川さんに言われて、盛り付けされたプレートを皆の前に出す。私たちも席につき、朝食を食べ始めた。皆はいつもと違って口数が多かった。やっぱり、昨日のことが原因だ。私は嬉しくて終始ニコニコしていた。そうせずにはいられなかった。

「ごちそうさまでした」

皆が食べ終わってから片付けに取りかかる。雪川さんは仕事があるそうなので一人でやる。やる気がすごくあったため、いつもと同じくらいの時間で終わった。一人なのに……

そして、私は家事に取りかかった。この日はすごくあっという間に過ぎた。充実した"日常"を送ることができた。

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