報告
「姫華さん、月野さんの報告を言ってくれる?」
佐々木さんに促され彼らの存在について話す。
「彼らの正体はマフィアで間違いないそうです」
たった一言、言うだけなのに妙に緊張した。私からの報告を聞いて、佐々木さん以外の人が驚くのが分かった。多分、佐々木さんはこの事を知っていたんだろう。月野さんに聞いていたとか。それにしてもどうして私に言わせたのかは謎だ。
「次は僕からの報告。この間、姫華さんを襲った人を見たんだ。その事から彼らはこの近辺に潜んでいる可能性がある」
佐々木さんの一言で一気に場の空気が凍りつく。この近辺に彼らがいる、つまりは危険がすぐ近くにあるということ。私は怖くなる。もう、これで外には出られない。出たら、捕らわれてしまう、そう直感で思ったから。
「とにかく、姫華さんは現状を維持してください。僕は調査を続けてみるから」
私は迷わずうなずく。私は迷惑を、皆を危険にさらしたくはない。多分、外に出ようと言われても固く断ると思う。
「じゃあ、俺からも一言」
そう言ったのは城之崎さんだった。
「月野を信用しすぎない方がいい。理由は簡単だ。あいつが何者か調べてもほとんど出てこないからだ」
「まあ、私も彼の意見に一理あります。最近の彼は以前とは違う気がします」
雪川さんは城之崎さんの意見に納得しているみたいだった。
「私も少し気になることがあって……」
幼なじみの雪川さんが言うのだから、何かあるかもしれない。それに、さっきのページの最後の一文が気になる。それを皆に話してみることにした。
「実は、さっきネットで月野さんを調べていたんです。そしたら妙なページを見つけて。皆さんの過去のページが出てきたんです」
そして、事のあらましを説明していく。財閥の消滅についての記事が出てきたこと、そこに書かれていたこと、そして、その記事の最後の一文。
「最後の一文には、マフィアの裏にいるのは財閥の御曹司ではないかと思う、そう書かれていました」
「まあ、御曹司が親を殺すのはよくあるしな」
「そうねぇ、そのマフィア、子供を殺す気はない様子だったし」
私の話を聞いても、皆はそれほど驚いている様子はなく、よくある話だと言った。でも、とシンさんが続ける。
「他人の親まで殺すのは許せないよね。しかも計画した張本人は高みの見物、ますます捕まえたくなるよ」
「皆さんがマフィアの人を追っている理由って何ですか?」
今の皆の反応を見ていると理由が知りたくなった。私は親の敵討ちだとばかり思っていた。でも、そうではないような物言いだ。
「何でって、許せないからだよ。敵討ちとまではいかないけど、恨んではいるよ。そりゃあ、自分の肉親を殺した輩だからね」
シンさんは簡潔に分かりやすく説明してくれた。
「そうだったんですか」
それ以上は言えなかった。言わない方がいい気がしたから。
「……?」
また、胸騒ぎがしてきた。さっきよりもひどい。ざわつきすぎて、気分が悪くなる。これは何か起こる、そう直感で思った。
「それじゃあ、この話はここまでにしよう。僕は仕事があるから、また」
そう言って佐々木さんは席をたつ。他の人も次第にちりじりになって部屋を出ていった。皆が出ると、さらに胸騒ぎがひどくなる。私はその場から動けずに、自身を抱きしめて落ち着こうと頑張った。
「皆、来てくれないか!」
家中に佐々木さんの声が響き渡る。気づけば胸騒ぎは治まり、私は佐々木さんの部屋に急いで向かった。部屋の戸は開いていて、皆は早くも集まっていた。そして、佐々木さんのパソコン画面を見ていた。空気が張りつめている。私も彼のパソコン画面を覗いてみる。そこには文字がずらりと並んでいた。
「これは!?」
私はその正体に気づいて息をのむ。




