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はっきりした正体

家族会議があってから一週間経った。一週間の間に有力な情報は何も入らなかった。と同時に何も起こらなかった。何もないのは、嬉しいけど、何も分からないのは残念だ。

「はぁ……」

最近はため息ばかり出る。ため息をつくと幸せが逃げるって言うけど、本当かもしれない。近頃は皆、浮かない顔をしている。私のせいなんだけど。

「姫華、いるか?」

ドアの外から声がした。この声の主は一之瀬さんだとすぐに分かった。ドアを開けると、彼が立っていた。

「今すぐ着替えてくれ。月野さんが会いたいそうだ」

「月野さんですか? なんだろう……分かりました」

一之瀬さんに言われるままに着替える。着替え終わると家の外に連れていかれた。

「あの、私、外出は……」

「大丈夫だ。敷地内で会いたいそうだから」

それなら大丈夫だろう、そう思って彼のあとをついていく。と言っても、腕を引っ張られているからついていかざるを得ないのだけれど。

「一之瀬さんありがとうございます。姫華さん、お久しぶりです」

「こんにちは、月野さん」

ここまで案内してくれた一之瀬さんは気づくといなくなっていた。案内してくれたお礼を言っていないのに、と思いながら月野さんの話に耳を傾ける。

「単刀直入に言うと、実は、彼らの正体が分かりました。というか、はっきりしました」

彼の言葉に息をのむ。正体がはっきりした、ということは……

「彼らはマフィアです。財閥を消している組織です」

やっぱり、嫌な予感は当たった。皆が言っていた通り、犯人は彼らだった。その事実が私の心に負荷をかける。マフィアが絡んでいる、ということはそれだけ危険だということ。私が狙われているだけなら、すぐにでも調べるのを止める。でも、そのマフィアは皆の敵だ。ずっと探し続けていた敵、それを私に止めることはできないだろう。それが余計に心に負荷をかける。

「私も皆さんと同じように、何としても奴等を捕まえたいと思っています。本当に危ないときには手を引きますから、そんな顔をしないでください」

「でも、危険に進むことを選ぶなんて私には分からないです」

止められないと分かっていても、止めたい。危険にさらして、もしものことがあったらと思うと全身から血の気が引く。

「姫華さんがいるから皆、必死なんですよ」

それなら私がいなければ、危険にさらさなくてすんだのかもしれない。

「女性を守ることは、男性にとっては当然なんです。特に大切な女性なら尚更」

そう言って、月野さんは私の頬に優しく手を当てる。彼の真剣な目から逃れられない。私の目をしっかりとつかまえて逃がさなかった。

「月野、さん……」

彼のあとを顔がどんどん近づいてくる。私の鼓動は速さを増していく。そして、彼の吐息がかかるくらいの距離になった。


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