表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/128

萌え

「お前はホームシックとかしていないか?」

「え……」

彼の言葉に驚き、言葉がうまくでなかった。まさか、城之崎さんにそんなことを聞かれるなんて思ってもみなかった。

「最近、考え事しているように見えたから、その」

「心配、してくれているんですか?」

問いかけると、彼はそっぽを向いてしまった。耳が少し、赤くなっているように見えた。ツンデレ、かな。そういうキャラクターだし、私からすると、萌えポイントだ。こういうのをみると、いじめたくなる。もしかして私にはSっ気があるのかもしれないと思いながら、彼がこちらを向くまでじっと見ていた。ちょっとして、再び質問された。

「で、どうなんだ」

「全然していませんよ。皆さんといると楽しいですから。それにもう、さすがに親離れしていますよ」

そう言うと、彼は私をじっと見る。

「……じゃあ、考え事は?」

「考え事はしますよ。中身は……内緒です」

私は人差し指を口の前に立てた。内緒のジェスチャーだ。でも、もちろん城之崎さんは納得せず、私に詰め寄ってくる。

「何ですか?」

思わず、数歩後ずさる。しかし、それも運のつきで……行き止まりになってしまった。壁があって逃げられない。しかも、あろうことか、彼は私が逃げないように両手で逃げ道をふさぐ。

「き、城之崎さん、これは……」

「吐くまでこのままだ」

そう言って、ニヤリとする。この状況は、学園ものでよくある、ある意味王道の壁ドンだ。少し、憧れてはいたが、いざ自分がされると軽くパニックになる。でも、実際にされていなくても、こういう状況を見ているだけでドキドキする。それにしてもまさか、自分がされると思ってもいなくて、怯んでしまう。

「早く言わねぇとこのままだぜ。俺は構わねぇが」

「……」

この状況のせいで鼓動が速くなっていく。多分、さっきの仕返しだと思う。心配してくれたのかを聞いたときの。とにかく、このままじゃ心臓がもたない気がして白状する。別に隠したいことではない。ただ単に、いじめたかっただけ、なのに逆になってしまった。その事を後悔した。

「私にできることを考えていただけです」

「できること?」

城之崎さんは首をかしげる。いきなりすぎただろうか。でも、説明するのは面倒だった。彼の頭の上にははてなマークがついている気がする。

「もしかして、さっきのやつらのことか?」

「はい。支える以外に何かないかと思って」

理解するのが思ったよりも早かった。ちゃんと分かっているところを見ると、人をよく見ているな、と感心する。こういう人が気配り上手な人だろうな、とかいうことを考えていた。

「言っておくが、支えてくれているだけで充分だ。お前が思っているよりも自身の存在が大きいってことだ。だから、余計なことは考えるな」

なんだろう、彼の言葉には人をそうさせる力がある。ものすごく説得力がある。彼の言葉通りにすればうまくいくみたいな。

「そうですね。でも、私も家族だと言うのなら、ちゃんと頼ってくださいね。皆さん、待ってるだろうし、早く帰りましょう」

そして、再び二人で歩き始めた。今日は城之崎さんが他人思いの優しい人だということが分かった。あとは、結構根にもつタイプだということも。萌えポイントが二つも見つかったお出かけだった。さすがは乙女ゲームの世界、と思いながら家に帰った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ