自分にできること
「落ち着いたか?」
「はい、すみません」
やっと落ち着きを取り戻した私に、城之崎さんはカンジュースを差し出す。それを受け取って飲む。
「こうなることは予想していたんだ。危険にさらして悪かった……でも、これではっきりした」
そこで一旦、言葉を切る。そして、一つ間をおいて続きを話す。
「狙われているのはお前だってことが」
さっと血の気が引く。狙われる理由なんて私自身には分からない。でも、前回と今回のこととをつなぎ合わせると、狙われているのは私だということになる。
「まあ、何かあったら俺や皆が守ってやる。なんたって"家族"だからな」
「家族……」
彼の言葉に胸にのしかかっていた重りが、少しだけ軽くなる。家族という言葉がどれ程大切か、痛感した。守ってもらう代わりに、何ができるだろう。支えるのはもちろんだけど、それだけじゃ足りない。守ってもらうってことは同時に命の危険が生じる。
「私、やっぱり外出は控えます。そうすれば今みたいなことはなくなると思いますし、皆を……」
そう、同時に皆を危険から守ることもできる。そんなことを言ったら、生意気だと言われそうだから言葉を飲み込む。きっと私にできるのはそれだけだ。
「そうだな、でも、俺らはお前が思っているほど弱くはない。さっきだって俺一人で追い払っただろ」
「はい、でも用心に越したことはありませんから」
「言うようになったじゃねぇか」
彼はそう言って私のおでこをつつく。優しさが痛いほど伝わってくる。いつか落ち着いたら彼にも皆にもきちんとお礼がしたい。そのために、いつもは神頼みなんてしないけど、私は祈ることしかできなかった。
「そろそろ帰りましょう。また襲われたりしたら大変ですから」
「じゃあ、少し遠回りをするぞ」
彼の言葉にはっとする。そういえば、話したいことがあるみたいなことを、言っていたような気がする。少しの遠回りなら、と私は彼と帰路につく。
「えっと、話したいことって何ですか?」
なかなか聞かれないので、待ちきれずに、自分から切り出す。彼は少し迷った様子で、口を開く。彼の言葉はかなり意外なもので、私はあっけにとられてしまった。




