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ゼリー

シンさんとパーティーに向けて練習を始めて、二週間がたった。シンさんの得意なギターとの合わせは順調に進んで、ついに明日になった。初めは、ギターとピアノに違和感を感じていた私も、いつの間にか普通になっていた。意外と二つの音の組み合わせもよく、それにシンさんの歌が入ると、いい感じになる。パーティー前日ということもあって、私はかなり緊張している。

「大丈夫? もう緊張してるの?」

「あの、はい。やっぱり心配で……」

「自信もっていいよって言ったの忘れた?」

その言葉で二週間前のことを思い出す。ピアノを弾くことが楽しくてしょうがなかった。自信は持つようにしてはいる、けど

「それとこれとは別問題です。心配は無くなっても緊張はします」

「まだ時間あるし大丈夫だよ。さあ、練習しよう」

そして私たちは練習を再開する。私の家事とシンさんの仕事のタイミングを合わせて、その合間に練習する。一時間くらい練習して、休憩をとる。

「じゃあ、ちょっと休憩」

「シン、姫華、差し入れだ」

休憩に入ると同時に、一之瀬さんが部屋に入ってきた。手には何かを持っている。カップかな。二つ、両手に一つずつ持っている。

「蓮が二人のためにゼリーを作ったから持ってきた」

そう言って私とシンさんにゼリーを差し出す。赤いゼリー、てことはイチゴかな。私はそれを受け取る。

「ありがとうございます。すごくおいしそうです」

「ゼリーならば口が乾燥しないだろうと言っていた」

「うん、確かにこれなら大丈夫。ありがとう」

私はゼリーを一口、口に運ぶ。シンさんも食べた。

「おいしい! これ、すごくおいしいです」

さすがは雪川さん。ゼラチンの量がちょうどいい。ちょうどよすぎ。シンさんの方を見ると、彼もおいしそうに食べている。一之瀬さんは微笑みながら私たちを見ていた。

「あの、一之瀬さんも食べませんか?」

「いや、俺は何もしていないからな」

「そんなこと言わずに、一口食べてみてください。おいしいですよ」

そう言って、スプーンにゼリーをのせ一之瀬さんに差し出す。彼はどうしようか迷っている様子だったけど、私に根負けしたみたいで、食べた。

「なーんか、カップルみたい。あーんしちゃって」

シンさんはニヤニヤしながら私たちに、皮肉げに言った。今さら、気づいても後の祭りだ。私は一之瀬さんと目があって、顔が熱くなっていくのを感じた。

「す、す、すみません。そういうつもりじゃ……」

「いや、かまわない。シン、からかうな」

シンさんはそれでもニヤニヤしながら私たちを見ている。これはしまった。思わず……私ってば何てことをしてしまったんだろう。

「さ、練習しよう」

「はい。一之瀬さん、雪川さんにおいしかったです、と伝えてください」

「ああ、練習頑張れ」

そう言って、部屋を出た。シンさんは、あれ、不機嫌そう。私には理由が分からなかった。とりあえず練習を再開した。



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