安心と恐怖心
ベッドの上で体育座りをして、丸まっていると玄関のドアが開く音がした。誰かが帰ってきた。その事にほっと胸を撫で下ろす。家に一人じゃないというだけでこんなにも安心するのだと気づいた。誰なのか見に、部屋を出る。
「雪川さん、おかえりなさい」
彼を見たとたん涙が出そうになった。恐怖心がまだ無くなっていない、また心配をかけたくないからぐっとこらえる。
「ただいま戻りました。……? どうしました? 顔が真っ青ですよ。もしかして体調が」
「いえ、大丈夫です……」
これ以上我慢ができない。震えが止まらない。
「……嘘です。大丈夫じゃ、ないです」
我慢の限界がきて両手で顔を覆った。泣く姿を見せたくない。でも、無意味だった。
「姫華さん」
名前を呼ばれて顔をあげるといつの間にか雪川さんに抱きしめられていた。抱きしめられると胸が痛む。最悪のことを想像してしまう。そう考えれば考えるほど涙はどんどん溢れてくる。止めようにも止まらない。
「大丈夫です」
コクコクとうなずく。たった一言なのにこんなにも安心できる。今の私には一番必要な言葉だと思う。どうして私が辛いときに皆、抱きしめるのだろう。私はそんな彼らの優しさが好きだった。全部、包み込んでくれるみたいで。
「落ち着きましたか?」
「はい、すみません。驚かせてしまって」
今の雪川さんの顔を見ているとわかる。すごく驚いているし、心配している。あとは、少しだけ悲しそうな顔をしている。こんな顔をさせてしまって、自分が情けなくなる。迷惑ばかりかけている。
「私たちは家族です。迷惑なんかじゃありません」
「!? どうして分かったんですか」
考えていることを思い切り当てられた。動揺しながら問いかける。すると、微笑んで私の頬に雪川さんの手が触れる。
「そういう顔をしていましたから。よければ理由を話していただけませんか?」
「はい」
「私の部屋に行きましょう。立ち話もなんですから」
彼に言われるまま、部屋に向かう。雪川さんの部屋、きっときれいだろうなとかシンプルそうとかそんなことばかり考えていた。
「どうぞ、入ってください。今、ココア入れますね」
「ありがとうございます」
雪川さんはすぐにココアを入れ私に手渡す。受け取って一口飲んでから話始めた。




