恐怖心
あれから、皆と話をしてから忙しそうにしている。私は皆の邪魔にならないように家事に集中する。しかし、まだ情報はつかめなくて。月野さんの方もまだ何もわかっていないと言う。
「はぁ、何だか複雑だな」
忙しいせいで皆で食事をするどころか、会話もできなくなっている。もう一度ため息をつこうとすると、玄関のチャイムがなる。
「誰だろう?」
急いで玄関に向かう。
「はい。あ、月野さん」
「姫華さん、お久しぶりです。今、大丈夫ですか?」
「はい」
返事をすると、外に出ようと言われた。皆、仕事で家には私一人だったので居間のテーブルにメッセージの紙を置いて家を出る。月野さんの車に乗り、どこかへ向かった。
「少しだけ分かったことがあって」
そう言って、あの公園に向かっていることを告げられた。彼いわく、公園に手がかりがあるみたいだ。それから公園まで会話はなく、公園に着いた。
「ここです」
案内されてきたのは、あの日に座っていたベンチだった。ベンチに何の手がかりがあるのだろうと思いながら、月野さんが指差すところを見る。
「ガム、ですか?」
「はい、でもただのガムではありません」
そう言ってベンチにくっついているガムを取る。すると、そこにはレンズのようなものがついていた。
「カメラ? ……! まさか」
「はい、おそらく私たちを監視していたのだと。他にも、私の車には盗聴器がありました。それは車を掃除したときに気づきました」
カメラだけならまだしも、盗聴器があったのなら狙われているのは間違いない。月野さんが狙われているのか、それとも私の方なのかは分からない。でも……
「狙われているのは月野さんじゃないですか?」
「車に仕掛けられていたことを踏まえるとそうなりますね。でも、あの日のことを聞かれていたら」
そう言われてドキッとする。でも私はついこの間、ここに、この世界に来た。狙われる理由がどうしても見つからない。もしかしてバレた……? 怖い、怖い……
「姫華さん? 顔が真っ青ですよ。大丈夫ですか?」
月野さんに名前を呼ばれてはっとする。
「だ、大丈夫です。すみませんボーッとしちゃって」
「今日は帰りましょう。こんな顔をさせたかったわけではないんです。この事を雪川さんたちにも伝えてください」
うなずいて、月野さんの車に向かう。口が異様に乾いて、うまく話せない。家についてから車から降りる。
「私が言うのもアレですが、無理をしないように」
「はい」
やっとのことで言い、月野さんと別れる。家にはまだ誰も帰っていなくて一人で部屋にこもっていた。今日のことが頭のなかでぐるぐるしている。しばらく私から恐怖心が離れないでいた。




