晴れた心
あの日のこと、情報が全然つかめず、月野さんが手を焼いているものだ。怖いのはもちろんだが、頭の中に何かが引っ掛かっている。それが何なのかは分からないけど。皆、私の話を待っている様子だったので早速話に入る。
「実は、月野さんと出掛けたあの日に怪しい人たちに絡まれたんです」
と、あの日の出来事を一つ一つ思い出していく。
「怪しい人たちは私たちを連れ去ろうとしていたみたいなんです。はっきりは目的を言いませんでしたが……」
周りの空気が張り詰めるのが分かった。
「では、何者かは分からないんですね?」
「はい、月野さんが色々調べてくれてはいるんですが、尻尾のしの字すら出さない状況で……」
言いながら気分がどんどん下がっていく。あんなに調べているのに全く情報が掴めないなんて。そこで一つの疑問が浮かび上がる。私はこのゲームを攻略している。その時に皆の過去の犯人が分かっていたはず。それなのに記憶が全くない。それだけじゃなく他のゲームの知識も無くなっている。誰を攻略していたかも覚えていない。私から記憶が抜けていっている。
「では、私たちも調べてみましょう。何か分かるかもしれませんし、一人より二人です」
気がつくと雪川さんがそう言っていた。考え込んでいて皆がどんな会話をしていたのかは分からないけど、どうやら犯人探しを手伝ってくれるみたいだ。皆がいるのならすぐに見つかりそうな気がした。私にも何かできないだろうか。
「姫華さんは何もしないでください。自ら危険に飛び込むのはおすすめしません」
「どうして分かったんですか! あ」
しまった。雪川さんに考えを思い切り読まれてしまった。やっぱり隠し事はできない。というか、図星過ぎて過剰に反応してしまった。雪川さんにああ言われると逆らえなくて、私は月野さんに言われた通り皆の支えになることにする。
「私は皆の支えになります。ですから、何でも言ってください!」
そう言うと、皆が笑顔になった。私もつられて笑顔になる。解決した訳じゃないけど、心が晴れた気がする。一人で抱え込まず、皆に早く相談すればよかった。お陰で、皆との壁はほとんどなくなった。完全になくなった訳じゃないけど今はそれで充分だった。




