役割そして決意
私と6人は今後のことについて話し合っていた。いかにも高級そうなソファーに座っている。コの字形をした珍しいソファーだった。
「姫華さんはお料理出来ますか?」
「料理ですか?出来ます。あ、家事なら大体何でも」
「おお、頼りになるじゃん」
「そおねぇ、姫ちゃんいいお嫁さんになるわぁ」
皆口々に私をほめる。ほめなれてない私は、と言うと顔を赤くしているだろう。自分でも分かるほどに。だから、気づかれないようにうつむく。すると、私の目の前にきれいな顔が現れた。
「きゃっ! あ、シンさん……」
「可愛いね、君。顔をこんなに赤くして」
と、私を見ながらケラケラ笑っている。恥ずかしさのあまり顔を覆おうとした両手を制された。
「確かに赤いな」
「ですね、真っ赤です」
「城之崎さん、雪川さんまで……」
私の恥ずかしさはマックスを通り越し泣きそうになってしまった。目尻が熱くなり、涙が溜まっていくのが自分でも分かる。その様子に気づいた相川さんが私の手を掴み、自分の方へ引っ張り寄せた。私は彼の胸にすっぽり収まった。
「姫ちゃん、大丈夫? ほおら、困ってるじゃない。女の子をあんまりいじめちゃダメよ!」
相川さんはやっぱり男の人なんだなぁ、と思いながら彼の胸に顔を埋めていた。恥ずかしいし、申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、今の顔を見られるよりはいい、と割りきって相川さんの優しさに頼ることにした。
落ち着いてから皆を見ると、すごく心配そうな顔をしていた。マズイ、直感でそう思ったので恥ずかしいけど謝って訳を話す。
「すみません……ただ、その、恥ずかしくて……」
言いながら顔が熱くなっていく。
「いや、その悪かった。からかって」
「城之崎さん?」
「私もすみません。珍しい方でしたのでついはしゃいでしまい」
城之崎さんが思っていたよりも優しく、驚いた。雪川さんは何となく分かるけど……まだ始めたばかりのゲームだから攻略キャラクターの人間性しかまだ分からない。
「いえ、謝らないでください。実を言うと私、嬉しかったので」
そう、嬉しかった。学校ではあんまりしゃべらないし、友達なんていない。私を相手してくれる人がいる、例えからかわれていても嬉しいと感じた。皆は初め、驚いた顔をしていたが微笑んでくれた。私もつられて笑みがこぼれた。心配していたけど、この人たちと過ごすのは楽しいかもしれない。やっぱり乙女ゲーム世界はいい。私はこれも私の人生の一部だと思う。だから、自分の人生を精一杯楽しむことにする。