真相
私は必死に訴える。どうしても彼らの過去を知りたかった。すると、社長さんはうなずいて話始める。
「彼らが財閥の子息だったのは知ってるか?」
玲音さんが言っていた話だ。
「はい、彼らがパーティーで知り合って、そのあと色々あって財閥が無くなったって聞きました」
そう言うと社長さんは驚いた顔をした。もしかしたら本当に何も知らないと思っていたのかもしれない。また、気をとりなおして話始める。
「財閥は、何者かによって消されたんだ。経済的な力で。その犯人を探すために今の仕事をしている」
そこで一旦言葉を切った。そのあとを話そうか迷っているように見える。そんなに話しづらい仕事なのだろうか。頭の中にはやっぱり知らないほうがいいかもしれない、という考えが出てくる。
「その仕事は……」
やっぱりためらっている。ここまでためらわれると不安になる。私が話せないならかまわない、そう言おうとしたときだった。社長さんは静かに、低い声で言った。
「マフィア調査だ」
「え……」
自分の耳を疑う。"マフィア"その単語が頭の中をぐるぐるしている。思いもよらぬ答えに絶句した。
「心配しなくてもただの調査だ。情報を集めるだけ。財閥間で噂があるんだ。マフィアの仕業だと」
マフィアに経済的な力があるのだろうか。大手の財閥を消してしまうほどの。
「そいつらの目星はついているみたいだが、尻尾を出さんでな。なかなか今以上の情報は聞き出せてない」
「もしかしたら、経済的な力を持った人物がマフィアの裏にいて、手引きしていると考えられませんか?」
思ったことを言ってみると社長さんは大きく目を見開く。そして、にっと笑う。
「勘がいいな。彼らもそう考えて今、動いている」
経済的な力、それを持つ人は大手企業の人かもしれない。……! この間の会議もその話じゃ……盗作された、もしかしたら勘づいた裏の人がやったんじゃ……
「どうかしたのかね? 顔が真っ青だ」
社長さんは私の顔を覗きこんでくる。そんなに真っ青だったのだろうか。心配をかけないようにわざと明るく振る舞った。
「大丈夫です。思っていたよりスケールが大きい話だったので」
「そうだろう。話は終わりだがあまり気負わんでくれ。何かあったら私のところへ来なさい。手を貸そう」
私はお礼を言って部屋を出る。一之瀬さんをずいぶん待たせてしまった。気づかれないようにまた明るく振る舞う。
「すみません、遅くなりました。帰りましょう」
私は心にいくつもの闇を抱えたまま一之瀬さんと家に帰った。




